ファンキー加藤「My BEST」インタビュー|ソロ活動10年を振り返る (2/2)

ももクロ&マー君の追い風を受けて

──今回のベストには、初CD化の楽曲が5曲入ります。冒頭を飾るのが、デビュー曲「My VOICE」の新録バージョンです。

僕からの提案で、デビュー曲の「My VOICE」だけは、10年を経てリテイクしたいと伝えました。デビューシングルとして出したときには、不安の中で先行きが不透明な中で書いた曲だったんですけど、10年の月日を経てファンの皆さんとの曲になったというか。以前は「元気に過ごしてますか?」という僕1人の問いかけだったんですけど、今はファンの皆さんと僕とで「元気に過ごしてる?」って交歓できるような曲になったので。新しいバージョンは最後のほうにライブでのお客さんの歌声を入れて、ライブさながらのアレンジにしました。

──合唱パートはいつ録ったんですか?

武道館のときですね。きれいに録れていたので、それを使わせてもらいました。結局、お客さんの声が欲しかったんでしょうね、「My VOICE」には。それでこの曲は完成するんだろうなと。

──そして、ももいろクローバーZに提供し、ヤンキース時代の田中将大投手の入場曲として知られる「吼えろ」のセルフカバーも初めて音源になります。

「吼えろ」は、自分で言うのもなんですけど、すごくよくできているなと。メロディも歌詞もすごくいい。この曲のセルフカバーを先行配信したのは、ももクロさんと田中マー君の追い風を背中に受けながら、ベストアルバムをよりたくさんの人に届けたいという思いもあります。ももクロさんのファンの人たち、モノノフさんたちも「吼えろ」をすごく愛してくれているのですが、オリジナルバージョンとは違った「吼えろ」を皆さんに聴いてもらえたらなと思います。

──「ぼくらのうた」は、同じ事務所だったあゆみくりかまきへの提供曲のセルフカバーです。

2021年にあゆくまのラストライブを観に行ったら、そこで「ぼくらのうた」を歌ってくれたんです(参照:「あゆみくりかまきは青春でした」“あなた”への感謝の思いと笑顔にあふれたライブで7年の活動に幕)。すごくかわいがっていた後輩たちなので、自分なりにあゆみくりかまきというグループのレガシーというか、「そういう3人組がいたんだぜ」ということを、自分の中でもいつまでも忘れないようにセルフカバーしました。

ファンキー加藤

10年間歩んできた証

──そして「VOYAGE」は、2022年にプロレス団体のNOAHに提供した楽曲で、これもCDに収録されるのは初めてです。今まで聴ける場が少なかったけれど、いい曲ですね。

この曲は僕もすごく気に入っていて。プロレスファンだけに伝わる裏のメッセージもあるし、それを知らなくてもアップテンポの応援ソングとして成り立っていると思います。

──この10年、ファンキー加藤はプロレス業界にもかなり助けられていましたよね……と言うとちょっと変な言い方になるけど。

いや、本当にそうですよ。俺が大変だった時期に、プロレスラー、プロレス業界団体、プロレスファンがファンキー加藤を救ってくれたんです。それは自分の中ではすごく大きいです。本当に落ち込んだときとかに、最初に連絡をくれたりするのってプロレスラーが多いんですよ。つまづいてしまったところから立ち上がっていくことの大切さだったり、立ち上がっていくときの心構えとか、どんな職業の人よりも理解しているような気がします。

──アルバムの最後を飾るのは、今年の2月に配信リリースされた「優しい光」。母親に心からの感謝を伝える、とてもパーソナルな歌でありつつ、誰にとっても普遍的な歌でもある。これも10年経った今だからこそ歌える歌だと思います。

実は今年の初め頃、おふくろが病気になって。今は復活したんですけど、一時ちょっとヤバいかもという感じになっていたんですよ。人によっては後遺症が残ったり、命を落とすぐらいの重めな病気にかかって、まだ73歳だから10年ぐらいは平気だろうとか思っていたのに。いつ何が起きるかわからないものだなと思って、怖くなったんです。結果的に早期の治療ができて、後遺症もなくてよかったんだけど、ちょうど「優しい光」を出した直後だったから……。

──いろいろ考えちゃいますよね。

そう。だから、歌えるタイミングで歌いたい曲は歌うべきだなと思ったし、ほかのことに置き換えても、「やりたいことは、できるときにやっとけ」と。何が起こるかわからないですからね。だからあのタイミングで「優しい光」を作れてよかったなと思います。

ファンキー加藤
ファンキー加藤

──「My BEST」は、ファンキー加藤が関わったすべての人への感謝のベストアルバムだと思います。

ファンキー加藤としても、人としても、10年間歩んできた証が形になればいいなと思っていたので、ベストアルバムとしてまとめることができてすごくうれしいです。

──ただここに「急性ラブコール中毒」とかが入っていたら、アルバムの性格が変わりそうですけどね(笑)。応援歌も歌うけど、下ネタも歌うファンキー加藤。

それはね、最後まで迷ったんですよ(笑)。「Good Show」とか入れないの?ってスタッフに言われたんですけど、これでCD収録可能時間80分ギリギリなんですよ。2枚組にすることも考えたけど、今どき2枚組は売れないだろうという話になって、泣く泣く1枚に収めました。だからベストを聴いて興味を持った方は、ほかの曲も聴いていただければと思います。これを入口にして、ほかの楽曲にも触れてもらえるのがベストですね。

自分の誕生日はとことん使う

──9月から始まる10周年記念ツアーはライブハウスツアーですが、あえてこの規模で各地を回りたいということでしょうか。

そうです。去年はファンモンでホールツアーをやって、最後にアンコールライブと銘打って沖縄でやったんですけど、それがすごくよかったんです。モン吉とも話したんですけど、ライブハウスならではの生々しさや汗の匂い、お客さんの呼吸音だとか、すべてに生命を感じて。ライブハウスにはライブハウスにしかない音や景色があるんです。今回ソロで全国のライブハウスを回れるのはさっきの原点回帰の話じゃないですけど、またいろんなことを学べるだろうし、もしかしたら自分の体力のなさを実感して明日からもうちょっと走ろうかなと思うかもしれない。すべての経験をその後に生かせるツアーになるような気がします。もちろん来てくれるお客さんにしっかりと歌を届けながらも、自分自身もしっかり楽しんだり学べたりするツアーにしたいなと思っています。

──ツアーファイナルは、12月18日の恵比寿LIQUIDROOM。ファンキー加藤、46歳の誕生日です。

もうね、自分の誕生日はとことん使う(笑)。平日ですけど、「ここをツアーのファイナルにしてくれ」とスタッフに言いました。やっぱり、ちやほやされたいじゃないですか。みんなにおめでとうと言われたいし、おいしいケーキも食べたいし。この日はきっとスタッフが用意してくれるでしょう。サプライズじゃなくて当たり前に。

(マネージャー) サプライズで「ケーキなし」かもしれないですよ。

それはライブ後に緊急ミーティングですよ。「全員集合!」って(笑)。

ファンキー加藤

ツアー情報

FUNKY KATO 10th Anniversary LIVE TOUR Your VOICE

  • 2024年9月14日(土)神奈川県 SUPERNOVA KAWASAKI
  • 2024年9月23日(月・祝)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2024年10月4日(金)大阪府 BIGCAT
  • 2024年10月12日(土)香川県 DIME
  • 2024年10月19日(土)宮城県 darwin
  • 2024年11月3日(日・祝)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2024年11月16日(土)北海道 BESSIE HALL
  • 2024年11月29日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2024年12月7日(土)福岡県 BEAT STATION
  • 2024月12月18日(水)東京都 LIQUIDROOM

プロフィール

ファンキー加藤(ファンキーカトウ)

1978年、東京都八王子市生まれ。2004年にFUNKY MONKEY BABYSを結成し、2006年1月にメジャーデビュー。多くのヒット曲を生み出し、「NHK紅白歌合戦」に4年連続出演するなどして幅広い人気を集める。2013年6月のFUNKY MONKEY BABYS解散後にソロ活動をスタートさせ、2014年2月にソロデビューシングル「My VOICE」、同年9月に1stソロアルバム「ONE」を発表。2021年3月にデビュー15周年を記念したワンマンライブ「爛漫ライブ」を行う。2024年4月にソロデビュー10周年を記念したワンマンライブ「I LIVE YOU 2024 in 日比谷野外音楽堂」を開催し、7月にはベストアルバム「My BEST」をリリース。9月からは全国ツアー「FUNKY KATO 10th Anniversary LIVE TOUR Your VOICE」を行う。