ナタリー PowerPush - FUNKIST

メンバーの死を乗り越え語る新曲に込めた意味と思い

被災地の子供たちが寄り添える曲を作ろう

──2曲目の「NEW DAYS」は、「何回だって君の名を呼ぶよ」というリフレインに思わず泣きそうになる1曲で、ものすごくあたたかい内容ですね。

染谷 この曲は東日本大震災のあとに書きました。4月の頭にボランティアで被災地に行ったんですけど、そこで歌ったときにPSPをずっとやってる子供がいたんですよ。歌い終わったら近づいてきて「お兄ちゃんたち、ほんとに有名なん?」みたいなことを言ってくる、ちょっと生意気なヤツだったんですけど(笑)。でも、その子がゲームをずっとやっていたのって、きっと現実を受け入れられないからなのかもなって思ったんです。家が倒れてて、車が横倒しになってて、自衛隊の人が走り回ってる状況の中、ゲームの世界だけが震災前とは変わらないものなんだなって。で、僕らは幸運にもゲームの曲をやらせてもらえることになってたんで、じゃその子供に歌を届けるチャンスだと。じゃものすごくあったかい、寄り添える1曲を作ろうって思って作ったのが「NEW DAYS」なんです。

インタビュー写真

オガチ あったかさは僕の得意分野なんでね、思いっきりあたたかさ注入しましたよ。これ(腕)が違いますから。(ザワザワするメンバーたちに気付いて)ん? どうした?

宮田 いや、胸に大きく「YES」って書いてあるからさ(笑)。

ヨシロウ めちゃめちゃやる気あるなと思って(笑)。

──アハハ。オガチさんのTシャツにでっかく「YES」の文字が(笑)。

オガチ (無視しつつ)やっぱりね、僕は普段から信じ合ったりつながったりすればいいって派なんですよ、考え方として。そういう考えを全面に押し出していきたい人間なんで、この曲でもそういうところを出したんですよね。この曲、最高だと思ってます。大好きです!(と言いながら上着を脱いで「YES」Tシャツ1枚に)

ヨシロウ すげえ脱いでるけど、なんで!?

染谷 まさかの「YES」推し!(笑) でも、これ作ったときにオガチがすげえ気に入ってくれて、「この曲も絶対やろうよ」って言ってくれたんですよ。それはすごくうれしかったですね。

オガチ そうそう。こっちをオープニングテーマにしようって3日に1回くらい言ってましたよ。なんかね、パーカッションってドラムとかギターとかの接着剤だと思うんですよ。アレンジ的にもそうだし。だから「SHINE」でも「NEW DAYS」でも、そこを意識してうまくつなげたと思います。それが俺の友情かなって思いながらレコーディングしてました。これ初出しトークですよ!

染谷 オガチはなかなかインタビューしてもらえないから浮かれちゃってるね(笑)。

食い気味に入るフルートソロは陽子ちゃんの十八番

──住職さんはこの曲、どんなイメージでレコーディングしました?

インタビュー写真

住職 曲調がすごく優しいので、その繊細さを意識しつつ、でも力強くというか、そういうイメージでしたね。いい感じにできました。

染谷 そうだね。ドラムのクレッシェンド感は今までにない感じだよね。

──繊細なプレイも得意なんですか?

住職 はい?

染谷 今、夜ごはんのこと考えてたね(笑)。繊細なプレイも得意かって。

住職 あ、得意なほうではないので、新しい挑戦ではありましたね。うまくいって良かったなって。

染谷 住職は叩くと勝手に人間味が出てしまうタイプなんで、そういう空気はちゃんと出てると思いますね。

──先程もお話に出た、長めのフルートソロも素晴らしいですね。ちょっと食い気味で入ってくるところにグッときます。

染谷 そこはけっこう陽子ちゃんの十八番だよね。あそこは食うためにわざわざ小節空けて伸ばしてますからね。陽子ちゃんのピックアップで全員が入るっていうのをしたいがために小節を足してるっていう。

オガチ あれだけの小節をしっかり聴かせるのはさすがですよね。僕なんかだったら2小節でダメですよ。いや本当に素晴らしいです。

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FUNKIST盤 CD収録曲
  1. SHINE
  2. NEW DAYS
  3. Brave
  4. Waiting for your call
テイルズ盤 CD収録曲
  1. SHINE(OPテーマ)
  2. NEW DAYS(EDテーマ)
  3. Brave(挿入歌)
  4. スペシャルミニドラマ
FUNKIST(ふぁんきすと)

染谷西郷(Vo)、宮田泰治(G)、ヨシロウ(G)、JOTARO(B)、オガチ(Per)、春日井陽子(Fl)、住職(Dr)による7人組バンド。2001年結成以来、年間100本を越えるライブで、多くのファンの心を掴んできた。インディーではアルバムを3枚、シングルを4枚のほか、染谷の母親の故郷である南アフリカでのツアードキュメンタリーDVDをリリース。2008年7月にシングル「my girl」でメジャーデビューを果たした。2009年2月にはメジャー1stアルバム「SUNRISE 7」を発売。同年4月には2度目となる南アフリカツアーも実施された。しかし、7月から春日井が体調不良のためバンド活動から離脱。その後は6人で活動を続けてきたが、2011年10月に春日井が逝去。バンドはそのまま残された6人でバンド活動を継続している。2012年2月には、春日井もレコーディングに参加した7人で最後のシングル「SHINE」をリリース。