ナタリー PowerPush - fumika
初代レコチョクオーディション歌姫 1stアルバムついに完成
最後はどうしても前向きな涙を描きたかった
──涙ソング第3弾の「旅立ちのベル feat. 福田桃代」は、どんなふうに作っていきましたか?
第1弾、第2弾って完成して、最後は大エンディングのような感じにしたいと思ったんです。あの……少し話は逸れるんですが、涙って本当にたくさん種類があるんですよ。科学的にも証明されてて、例えばうれしい涙と悲しい涙は成分が全然違うんです。そんなところから、前2作は1人で泣いて1人で立ち上がるっていう歌だったけど、最後はどうしても前向きな涙を描きたいなって。
──確かに、第3弾だけ同じ涙でもアプローチが違いますもんね。
「私の前向きな涙って何?」って改めて考えたときに、上京の日の光景を思い浮かべたんです。「アーティストとしてがんばってきます!」って空港で家族や友達とお別れをして、最後はみんなで泣いたんですよ。でもそれって悲しい涙じゃなく、希望というか、前向きな涙じゃないですか。イメージとしては、そうやってみんなで泣ける涙というものをテーマにしたいなって思いました。
──コラボの相手も、この曲だけ女性シンガーの福田桃代さんですよね。
はい。前の2曲が男性で、次はちょっと違うカラーを出したいなって思って。歌詞も身近を人を感じられるような内容だったので、同世代の女性と歌いたかったんです。福田桃代ちゃんは私が第1回でグランプリをいただいた「レコチョクオーディション」の第3回グランプリなんですけど、たまたま大阪でライブで一緒になったときに同い年ってことがわかって、アーティストとしても友達としても仲良くさせてもらってて。それで私のほうからオファーさせていただいたんです。
──2人の異なる声質が溶け合って、奥行きのあるハーモニーがすごくきれいだなって思いました。
私の声は結構高めというか(キーが)上のほうかなと思うんですけど、桃代ちゃんはわりと深くて芯のある、底を支えるような歌声なんです。だからその高低差もうまく活かせた曲になったのかなって。桃代ちゃんは最初かなり緊張してたんですけど、徐々に彼女のいい声が出てきて、最終的には高いヒールを脱ぎ捨てて裸足で踏みしめて歌ってました(笑)。私も歌ってる途中に涙があふれそうになったし、誰かと聴いて泣ける、とても温かい楽曲に仕上がったなって思ってます。
柏原芳恵の「春なのに」をカバー
──バラエティ豊かなアルバムの中でも、特に異彩を放っているのが「春なのに」。中島みゆきさんが作詞作曲を手がけ、柏原芳恵さんが歌った昭和の名曲ですね。
元々は私が「1曲カバーしたいです」って言ってたことから実現したんですけど、「春なのに」はスタッフサイドから「この曲どう?」って提案をもらって。プロデューサーの玉井(健二 / agehasprings)さんが、昔の曲にR&B的な音をサウンドを当てはめたら面白いんじゃないかって思ったみたいなんです。
──オリジナルの「春なのに」には、どんな印象がありましたか?
実は今回で初めて聴かせていただいたんですけど、すごく切ない曲だなって。あと柏原さんはこの曲を今の私より若い年齢で歌われているんですよね。それもあって「これを今の私が歌ったらどうなるんだろう?」って好奇心が湧いたんです。だから「やってみたいです」ってお返事をしました。
──ただ、アレンジは原曲から想像が付かないようなテンポ感のあるR&B。すごく斬新で面白いですけど、歌は難しかったんじゃないですか?
はい、難しかったです。歌は……最初はとにかく切ない感じかなと思ったんですけど、アレンジも全然違いますし、私がまたオリジナルのように歌うのはちょっと違うのかなって。原曲に柏原さんにしか出せない声と初々しさがあるなら、私は今の23歳という年齢も考えてもっとクールに歌ったほうが、より悲観的に胸に染みるんじゃないかなって。
──なるほど。
とは言いつつ、どうしても演歌っぽい節回しになっちゃったんですけどね(笑)。でも、すごく面白い挑戦で、元々あるものをどう自分なりにアレンジするか考えるのも楽しかったし、カバーはまたやってみたいです。私、親の影響で昔の曲も結構聴くんですよ。イルカさんとか大好きだし。私たちの世代が知らないような曲をカバーして、その子たちにその曲の存在や魅力を改めて知ってもらうきっかけにもなれたらなあと思います。
初のワンマンライブは“23”づくし
──最後に、タイトル「POP SISTER」にはどんな意味があるんですか?
私の中で“POP”いう言葉がすごくカラフルなイメージなんです。ロック、バラード、ダンスチューン……デビューから今までいろんな楽曲をやってきたので、そこがPOPのイメージとリンクするかなってまず思いました。“SISTER”は、よく映画とかで「Hey, brother!」って親しみを込めて呼ぶシーンがありますよね。私、その響きがすごく好きで。でも“BROTHER”だと男っぽいから、そこを私らしく“SISTER”にアレンジしてみたんです。あとは、私と出会ってくれた人、支えてくれた人、私の歌を聴いてくれる人たちをいつでもそのくらいの近い距離で感じていたいという意味や、リスナーの方々にとっても常に隣にいるような、友達のような作品であってほしいという願いも込めています。
──2月23日には初のワンマンライブも決定していますね。セットリストは今作を軸にした内容になるようですし、今から楽しみです。
まず、2月23日というfumikaの日にできることが本当にうれしいです!(笑) しかも今23歳で、全部が23づくしということにもテンションが上がってます(笑)。ライブは初のワンマンということで、私を観に来てくれる方々とみんなで音を楽しめたらなって。あとは生バンドを入れる予定だったり、他にも用意してることがあるので、ぜひ楽しみにしててほしいです。
──緊張はしてますか?
もちろん! どんなライブも緊張しないことはないですね。始まればそうでもないんですけど、出るまでがもーひどい!(笑)
──どんなにキャリアのあるアーティストでもライブ前は緊張するって言いますもんね。JUJUさんは、緊張をほぐすためにステージ袖でスタッフに背中を叩いてもらうそうですよ。
え! それ私も一緒です。すごーい! いつも壁に手をついてマネージャーさんに叩いてもらうんですけど、体育会系なので力がハンパなくて。背中が空いた服だと、真っ赤になってステージに出てることもあります(笑)。でもそれをやると、不思議とビクビクする気持ちがストーンって抜けて、「よし行くぞ!」って気持ちになれるんですよね。
- 1stアルバム「POP SISTER」 / 2013年2月6日発売 アリオラジャパン
- 「POP SISTER」初回限定盤[CD+DVD] 3675円 / BVCL-490~1
- 「POP SISTER」通常盤[CD] 3000円 / BVCL-492
CD収録曲
- snowflakes
- たいせつな光
- Baby Blossom
- 隣にいたかった feat. WISE
- その声消えないよ feat. Sunya
- 旅立ちのベル feat. 福田桃代
- 7days
- アオイトリ
- 時を越えて
- Round and Round
- 海風のブレイブ
- 春なのに
- Change the world
- 天国のドア
初回限定盤DVD収録内容
- アオイトリ(MUSIC VIDEO)
- たいせつな光(なでしこver.)(MUSIC VIDEO)
- 隣にいたかった feat. WISE(MUSIC VIDEO)
- Baby Blossom(MUSIC VIDEO)
- その声消えないよ feat. Sunya(MUSIC VIDEO)
- 海風のブレイブ(MUSIC VIDEO)
- 旅立ちのベル feat. 福田桃代(MUSIC VIDEO)
- Documentary of 青い鳥を探して、、、(MUSIC VIDEO)
fumika(ふみか)
1989年12月16日生まれ、福岡県出身のシンガー。両親の影響で幼少時から洋邦問わずさまざまな音楽に慣れ親しみ、高校生の頃より本格的なボイストレーニングを始める。2010年にはagehaspringsがトータルプロデュースを手がけた「第1回レコチョクオーディション」に応募し、1万人を超えるエントリーの中からグランプリを獲得。2011年6月にシングル「アオイトリ」でメジャーデビューを果たした。同年9月発売の2ndシングル「たいせつな光」が映画「はやぶさ / HAYABUSA」の主題歌に抜擢され、新人ながら大きな注目を集める。2012年には「涙ソング3部作」と題したプロジェクトを始動し、「隣にいたかった feat. WISE」「その声消えないよ feat. Sunya」とコラボレーション楽曲を立て続けに発表。2013年2月6日には「涙ソング3部作」完結編となる「旅立ちのベル feat. 福田桃代」やアニメ「ロボティクス・ノーツ」エンディングテーマ「海風のブレイブ」を含む1stアルバム「POP SISTER」がリリースされる。