「電話してこないでね」というメッセージソング

──タイトル曲の「テレフォン No.1」はキラキラしたラブソングですね。内田さんの恋愛観が反映されているんでしょうか？

内田　いや、「テレフォン No.1」はよく電話してくる西田くんっていう人がいて、それがすっごいイヤで（笑）。これはその西田くんに「電話してこないでね」って伝えたくて書いたメッセージソングです。

──でも最終的には「電話待ってるの」って歌ってますよね。

内田　待ってないって言うわけにもいかないなと思って。私そういうところあるんですよ。失敗した（笑）。

安西　「明日こそ電話来るかな」って言ってるしね（笑）。

内田　いや、来ないでほしいんだけど。

──めんどくさいですね（笑）。

内田　そうなんです（笑）。

石井　でもこれ前より物語っぽくなったんじゃない？

内田　うーん、これはそうかも。私、女の人の感性が苦手で、男の人の作るもののほうが好きなんです。そっちのほうが冷静で物事を俯瞰して見てるものが多いと思う。自分の作品を振り返っても、ものすごく直情的で自分の感情の話ばっかりしてるし。で、それはもうさんざんやったし、せっかくメンバーに男の子がいるから、もう少し俯瞰の表現がしたくなったんです。

売れてる音楽＝迎合ではない

──前回のインタビューで「ポップスであるからには、普通の田舎の中学生にも届けたい」と話していましたが（参照：ふくろうず「砂漠の流刑地」インタビュー）、今回はそういう場所に近付いたんじゃないでしょうか。

内田　届くかどうかはわからないですけど……。でも「砂漠の流刑地」とかは、たぶん自意識過剰な人じゃないとあれを突然聴いて「いい！」ってあんまり思わないと思うんですよね。やっぱりちょっとひねくれた人じゃないと（笑）。

──僕はいきなりすごくいいと思いましたけど……。

内田　それはナタリーの人だからそう思うんですよ。もう一般の感覚とズレちゃってるんです（笑）。

──すみません（笑）。

内田　でもだからってそういう一般の、普通の人のことを舐めてるわけでは全然ないんです。普通に生活してると疲れることもたくさんあるし、ああいう重い曲がすっと入ってくるほど気持ちに余裕がないと思うので。

石井　俺の話なんですけど、最近生活をちゃんとするようになって、たぶん前よりちょっとだけ家で音楽聴くようになったんですけど、やっぱりなんか超売れてるやつのほうがよかったりして……。

安西　あはは（笑）。

内田　うん、わかる。私もやっぱりTHE BEATLESが好きだし。

石井　今日はOASIS聴いてから来た（笑）。

内田　好きな音楽で売れてないのってないもんね。

安西　ないね。

内田　100％ないです。売れてるものイコール迎合しているものではないって私は信じてるので。だから普通に軽くていい曲をリード曲にしてもいいかなって思って「テレフォン No.1」にした感じです。

──じゃあ自分たちの深さみたいなものは、特に打ち出さなくてもいい？

内田　深さというか、私の自意識はもうイヤっていうほど打ち出させてもらったから。今回のアルバムも1曲目と最後の曲はものすごく主張してるし。「テレフォン No.1」でも気付いてもらえるかわからないんですけど、自意識みたいなものをほんのちょっと散りばめてるつもりなので。ずっと変わってないと思うんです。

──ひねくれた部分も届けたい？

内田　というか、自分がものすごい平凡なほうだっていう自覚があって。ひねくれてる部分も含めてすごく普通だと思ってるから、普通に自分のことを書いたら当然共感してもらえるものと信じていたんです。でもまああんまりそういうことでもないみたいで（笑）。世間の人たちはみんなもうちょっとひねくれてるのかと思ってたんですよね。