ナタリー PowerPush - レミオロメン 藤巻亮太

本人が告白、ソロ始動の真意とバンドへの思い

ライブが終わったらそれぞれで活動してみるのもいいんじゃないか

──藤巻くんのその考えを、メンバーにはいつ頃伝えたの?

「花鳥風月」のツアーが終わって、僕、アルピニストの野口健さんとヒマラヤに行ったんですよ。冬山を黙々と歩きながらいろんなことを考えて。その後帰ってきて、確か最初のミーティングで、「Your Song」のストリングスライブ(※2011年3月に行われた「レミオロメン SPECIAL CONCERT“Your Songs” with Strings」)が終わったらそれぞれで活動してみるのもいいんじゃないか、って話をしたんですよね。1回それぞれがそれぞれの音楽ともう一度向き合って、見つめ直してとことんやってみるのも、長い目で見たらバンドとして良いことなんじゃないかって。だけど、いつからそれをやるかとか、時期的なものは何も決めてなかったです。

──2人はどんな反応でしたか?

啓介は一貫して僕と同じなんですよ。オサもそのあたりから、自分の中の音楽に対して、とても自覚的になってきたというか。自分にとって気持ちのいいものに対して、すごく貪欲になっていきましたね。で、「Your Song」のライブの横浜アリーナ公演が終わってすぐ、震災があったんです。

──そうでしたね。まだ神戸での公演を残している状態で。

そのライブをやるかやらないか、何度も何度も話し合ったんです。その上で開催を決行したんですけど、その後、自分にやれることはなんだろうって考え始めて……。

届いてる実感を得た先に何かがきっとある

──その時期から「歌の炊き出し」(※「ap bank Fund for Japan」が行っている、被災地の学校を中心にライブを行う活動)に参加し始めましたね。

そうですね。最初は4月7日に本当に炊き出しのお手伝いに行っただけだったんですけど、歌が求められているんだな、音楽ができることってあるんだな、というのを実感する出来事があって。そこからは自分が動ける範囲でその活動に参加しました。

──そこで1人アコギだけを持って歌を歌ったことが、今回のソロ活動にどんな影響を与えましたか?

僕は自分1人で何にも守られてないような状況でステージに上がることを、久しく経験してなかったなと思いました。常にバンドのメンバーがいて、みんなで音を鳴らす強みがあって、それが安心感も与えてくれたけど、同時にバランスをとって遠慮した部分もあったよなって感じたんです。

──それがさっき言ってたそれぞれの“役割”ってことですよね。

そう。そういうことじゃないよなって。被災地のいろいろな場所で歌わせてもらって、自分は肌で感じる人の声とか反応にもっとぶつかって、身の丈に合った感覚で喜んでもらいたいんだなって思いました。手触りのある感覚で作りたかったっていうかね。

──100万人に届けようとする、大げさなものでもないし。

それはそれですごく素晴らしいことなんだけど、自分の音楽が人に届いてるという実感が欲しかったのかもしれない。届いてる実感を得た、その一歩先に何かがきっとあるって思って踏み出したんですよね。

いつだって新鮮な気持ちでやりたい

──ちなみに「光をあつめて」には、どんなメンバーが参加してるんですか?

ピアノは小林武史さんで、ドラムがあらきゆうこさん、ベースがキタダマキさん。ギターは自分で弾いていますね。自然とこうなってました。曲自体は、ソロでやることを強く意識して作ったわけじゃないんですよ。

──じゃあこの曲は、震災をきっかけに生まれてきた曲?

そうなんです。でも、当時の自分には曲にするエネルギーがなくて、なかなか形にはできなかったんです。その後夏くらいに完成したんですけど、そこで初めて「よし、これはソロでやろう」って見えたんですよね。

──どんなときでも共に何かを紡いでいこう、という気持ちが表れてますよね。

やっぱりね、自分の中には共有していくことへの思いが根底にあるんですよ。自分だけのものにしたいなんて全く思ってない。ただ、それに縛られすぎちゃうときがある(笑)。だから「光をあつめて」も、なんのために光を集めるのか?っていったら、最後にみんなでちょっとずつ分け合ったりできることに価値があると思っていて。その姿勢はソロでも崩さないで、もっと突き詰めていけたらなって思うんです。でも最大公約数を自分で考えるんじゃなくて、結果的にそうなる人たちと共有できればいいというか。

──そこがバンドでの活動と一番違うと思います。

それに、レコーディングしてるととても新鮮なんですよね。レミオロメンの引き出しにはないプレイに触れる楽しさがすごくあります。

──同時に、啓介くんはlego big morlのアルバムをプロデュースしたりSMAPに曲を提供したりしているし、治くんも積極的にドラムセッションとかに参加していて、3人それぞれ活発に動いていますね。

ええ。こういうふうに1人ひとりが充実していければいいなって思ってますね。いつだって新鮮な気持ちでやりたいんですよ。それが新しいものを生んでいくと思うし、また何かを切り開いていくはずだから。

Amazon.co.jpへ

  • ソロデビューシングル「光をあつめて」 / 2012年1月29日発売 / 1050円(税込) / OORONG RECORDS / AVCO-36072
収録曲
  1. 光をあつめて
  2. ひとりぼっち
  3. キャッチ&ボール(Live version)

藤巻亮太(ふじまきりょうた)

2000年12月、前田啓介(B)、神宮司治(Dr)とともにレミオロメン結成。ギター&ボーカルを担当。インディーズを経てメジャーデビューを果たし、「3月9日」「南風」「粉雪」などのヒットを飛ばして多くのファンから支持を得る。レミオロメンが結成10周年を迎えた2010年には、セルフプロデュースアルバム「花鳥風月」をリリースしたほか、全国47都道府県を回る全国ツアーを敢行。その後2011年3月に東日本大震災が発生してからは、1人で被災地へ赴き歌を届ける活動を続けてきた。2012年2月29日に初のソロシングル「光をあつめて」をリリースする。