FRIENDSHIP.特集 第3弾|楽曲試聴会を通過したPablo Haikuのリリース前打ち合わせに密着 インタビュー&キュレーターたちによるコメントも

挑戦の中で生まれた「park」

──そもそもなぜFRIENDSHIP.に応募しようと思ったんですか?

Pablo Haiku

 僕の知人であるVivaOlaというアーティストがFRIENDSHIP.から音源をリリースしていて、気になっていたんです。で、FRIENDSHIP.のサイトを見たら音源を募集していたので試しに1曲送ってみようと。

──では「park」が初めて応募した音源だったんですか?

 そうです。

──「park」は4月に行われたFRIENDSHIP.の楽曲試聴会で最も多い投票数を獲得しました。この曲はどのように作っていったのでしょう。

 自分の中でクラブミュージックとバンドサウンドをどれだけ近付けられるかという意識があって。「park」は今僕が一番興味のあるUKガラージの音を、どうすればいわゆるバンドサウンドの方に組み込んでいけるかという挑戦の中でできた曲ですね。

足立 最初はUKガラージのビートと歌モノ的なものが合うのかな?と自分の中で疑問だったんですけど、その2つががっちりと合わさって曲が完成したときは達成感がありました。

──納得できる作品ができたと。

足立 いえ、森くんはまだ納得してないみたいです(笑)。やりたいことはそこにあるんだけど、クラブミュージックをバンドサウンドに組み込む精度をもっと高くできるんじゃないかってよく話してます。

 例えば音源を聴いて「あっ、この曲あのアーティストっぽいな」と思うことってあるじゃないですか。僕らもいろんなアーティストに影響を受けてますけど、せっかく自分たちで曲を作るならオリジナリティのあるものにしたいという思いがあるんです。「park」はまだまだその目標に達してないというか。もちろん参照元が見える音楽が悪いわけじゃないんですけど、僕らはまだそこを自分たちでコントロールできていないので、もっと努力しないといけないなと思います。

mabanuaの言葉について

──“オリジナリティ”というのは、4月の試聴会でも1つのキーワードになっていました。その中でゲストキュレーターとして試聴会に参加したmabanuaさんが「自分がレーベルの社長だったら『一緒にやっていきたい』と思えるようなバンド」と皆さんの作品と可能性を評価していましたけど、あの記事は読まれましたか?(参照:FRIENDSHIP.特集第2弾|ゲストにmabanua迎えて楽曲試聴会実施、キュレーターたちが選出したアーティスト2組決定

Pablo Haiku

 もちろん読みました。日本の音楽シーンの第一線にいる方に、自分たちの音楽を聴いてもらって評価していただけたのはうれしかったです。

足立 あの記事の中でmabanuaさんが「コード進行が流れていく中でメロディも展開していく作品が多かったけど、Pablo Haikuの場合はメロディが反復している状態で展開や表情を付けていて、それがすごく気持ちよかった」と言ってくださっていたのがうれしかったです。自分たちがこだわった部分をしっかりと聴いてくださったんだなって。

永田 音源としてのクオリティを褒めていただいて、ミックスをやってる身としてはうれしかったです。ほかの人たちの感想も聞いてみたいなって思いました。

──リリース後の周囲のリアクションが楽しみですね。今回のタイラさんとの打ち合わせはいかがでしたか? FRIENDSHIP.から音源をリリースするにあたっての説明やアドバイスがあったと思いますが。

 僕らはそういうのに疎いというか、曲をリリースする側としてプレイリスト対策であったり知らないことばかりですごく勉強になりました。僕たちみたいに始めたばかりのバンドにはありがたいんじゃないかと思います。すごく信頼できるなと思いました。

すべての作業を自分たちで

──Pablo Haikuとして今後のスケジュールは決まっているんですか?

 年内にアルバムを1枚出したいなとは思っています。ほぼほぼ完成してるのが1曲、あと少しでトラックの面では完成するだろうというのが12曲くらいあるので。あと6月29日に下北沢THREEで初ライブをやります(※6月29日に東京・下北沢THREEで開催されるイベント「PUNCH!」に出演。競演はHELLO'S、THE TREES)。

──どちらも楽しみですね。

 あとミュージックビデオを自分たちで作ろうと思ってます。

──3人だけで作るんですか?

 そうです。僕らは作曲から作詞、ミックス、マスタリング、アートワークまでできるだけすべての作業を自分たちでやろうと思っています。幸いそれができるメンバーがそろっているので。

──ビジュアル面の制作はどなたがやるんですか?

足立 永田が映像系の仕事をPablo Haiku以外でもやっているので、ビジュアル周りは彼に任せています。3人で相談しながら方向性を決めていって。

永田 自分は音楽に付随する映像やグラフィックにも興味があるので、そういうところで面白いことができたらなと思います。

──では最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。

 まだ始めたばかりのバンドで、僕の気が変わりやすいというのもあって音楽性もいろいろと変化すると思うんですけど、そういう部分も楽しんでいただけたらうれしいです(笑)。

Pablo Haiku
FRIENDSHIP.楽曲試聴会 選出作品 キュレーターコメント

Pablo Haiku「park」
2021年6月16日配信

Pablo Haiku
金子厚武(音楽ライター)
金子厚武(音楽ライター)

バンド名の由来が「Pablo Honey」かどうかは定かではないけど、RadioheadからThe 1975に至るUKロック×エレクトロニクスの系譜に連なるような、ひんやりとした質感とメランコリックなメロディの組み合わせが好みです。メンバーはまだ20歳そこそこということで、これからに期待大。

Yuto Uchino(The fin.)
Yuto Uchino(The fin.)

スケール感があるのがいいなと思ったのと個人的に現代的なThe Postal Serviceみたいな感じが面白いなと思いました。

奥冨直人(ビンテージセレクトショップ「BOY」オーナー)
奥冨直人(ビンテージセレクトショップ「BOY」オーナー)

滑らかなメロディラインと心地よいトラックの進行に、これからが楽しみになりました。

MIZUKI MASUDA(miida)
MIZUKI MASUDA(miida)

一聴して好印象でした。ループするメロディはエレクトロとヒップホップの中間のような印象で、個性がしっかりあるので、ほかにどんな曲が聴けるか楽しみです。

スウ「手を繋げないままさようなら」
配信日未定

スウ
Yuto Uchino(The fin.)
Yuto Uchino(The fin.)

コードの展開やメロディがしっかりしていてきれいだなと思いました。
レコーディングプロダクションとアレンジをしっかりすると化けると思います。

奥冨直人(ビンテージセレクトショップ「BOY」オーナー)
奥冨直人(ビンテージセレクトショップ「BOY」オーナー)

柔らかい歌声とポップスとして受け皿の広い楽曲の展開に、他楽曲への興味もわきました。

MIZUKI MASUDA(miida)
MIZUKI MASUDA(miida)

ドラマチックな展開やメロディの緩急の付け方にも工夫が見えたので、アレンジからもメロからも可能性を感じました。

井澤惇(LITE)
井澤惇(LITE)

歌、アレンジ含めて、伸びしろをすごい感じました。あと単純に曲がいい!