僕らにはまだ伸びしろがある

──元々幅広いルーツやメロディメーカーとしての才能は持っているバンドでしたが、最近は、それらをより自分たちらしく昇華するやり方を覚えてきたのでは？

石坪　そうですね。前作のミニアルバム「TRIAD」（2010年5月発売）で、1人ひとりができることを認め合えるようになったんですよ。それまでの音源はメンバーが4人だったときに作った曲も多かったんですけど、「TRIAD」は今の3人だけで作った作品で。その後3人でツアーを回って、トライアングルとして自信を持てるようになったんですよね。……どうなんですかね、ほかのバンドさんは。そういうの早く見つけたほうが成長は早い気もするんですけど、僕らは何ができるか常に試行錯誤しながら生きているんですよね。ただ、自分で言うのもなんですけど、僕らにはまだ伸びしろがあると思うので、やれることがあればどんどん挑戦していきたいと思っています。

──智恵さんがメインで歌うことに関しても、1つの挑戦だったんですか？

石坪　以前から選択肢としてはあったけど、まだ自分たちでは納得がいってなかったんです。ただ、活動していく中で、自分たちはこういうことができるかもしれないって思えるようになって。

──きっと周りからは「智恵さんも歌ってもいいんじゃない？」って言われてきたと思うんですよ。でも、このバンドの場合、3人全員が納得できないとやらない気がして。

高橋　うん。3人が口を揃えてうんって言えないとダメですね。1人でも不満を持っていたら止めます。

──メンバーの中に「俺が俺が」っていう人はいないんですか？

石坪　3人とも実はそうなんだと思うんです（笑）。ただ、1人が輝いていて、ほかの2人がバックバンドみたいになるじゃなく、3人とも輝きたいんですよね。1人がしゅんとしていても、それを2人が引き上げたいっていう。

──3人が納得できるようにするとなると、曲作りも一筋縄ではいかないんじゃ？

高橋　今回は、ここ（高橋、石坪）は時間かかったよね。

石坪　まず2人がネタを持ってきて、そこからドラムに投げて作っていくんです。

阿部　待ってますよ（笑）。メロディに関しては任せていますから。歌い手が納得しないといい曲にはならないと思うんで。自分の役目は、そのメロディをどんだけ引き立てて、いい曲にするかだから。

いろんな風景が見られる作品になった

──こうやって内側が固まったことによって、次は外側に発信していく段階になったっていう意識が、今作には歌詞のメッセージ性にも表れていると思うんですよね。

石坪　年相応な言葉で、今自分に対して言いたいこと、人に言いたいことを書いていますね。英語だからストレートにはわかりにくいのかもしれないですけど、歌詞を読んで聴いてもらいたいです。聴いてくれた人が思い出に照らし合わせられるようにも考えているので、1人ひとりが何か思いを持ってライブを観に来てくれたらいいなって。

──そういう伝えたい思いが、曲の幅を広げているところもあると思うんですよね。

石坪　それは、言われてみるとあるかもしれないですね。「SILVER LINING」はいろんな風景が見られる作品になったと思います。

──それでいてばらついていない。曲にも歌詞にも、ナチュラルに今のFOUR GET ME A NOTSが表れた1枚になりましたね。

石坪　そうですね。自分たちがいいと思うものを素直に出したので。

高橋　自然体で作れるようになったよね。

──あとはライブで表現していくだけですね！

石坪　はい。この後はツアーもあるので楽しみですね。