あなたのために戦う

──今作「バトルフォーユー」は、皆さんにとってどういうアルバムになりましたか？

ハヤシング　総決算できたなあという。今までもいろいろイベントに出たり、CD出したりっていうのはやってきたんですけど、今回は初めての全国流通なので。

──言うなれば今まではライブに来てくれる人に向けて、ですもんね。

ハヤシング　はい。そこから全国で僕らのCDが買えるっていうところに一歩足を伸ばすということで、「僕らってこういうバンドですよ」っていう名刺としてはすごくいいCDができたなって思いますね。あとこのアルバム、制作スパンがめちゃくちゃ長いというか。さっき言った「ニュースキャスター」をはじめ、昔の曲からも持ってきてるんで、「僕らの3年間です」っていうアルバムでもあって。

──フィッシュライフのこれまでの活動が凝縮されているんですね。

ハヤシング　はい。でも実は僕的にはアルバムっていうもんには、そのときの瞬発力を残したいなっていう思いもあって。そう考えると今回のアルバムは次作に向けての通過点としても、いいアルバムになったなって思います。

──テラオカさんはどうですか？

テラオカ　最初の「ニュースキャスター」は大学1回生の5月ぐらいにできた曲で。今大学4回でバンドをずっと続けていて。なんていうか……大学4年間の卒論っていうか。

一同　あははははは（笑）。

ミヤチ　これって卒論やったんやっけ？（笑）

──4年間の思いが込められたアルバムということですね（笑）。ミヤチさんはどうですか？

ミヤチ　今はもう完売していて買えない会場限定盤の音源も入っていて。「フィッシュライフってどんなバンドなんだろう？」って思ってる人に届けたい曲を、このアルバムでそろえられたなって思いますね。

──そんな“総決算”のアルバムを引っさげて全国ツアーに出られるわけですが、どんなツアーにしていきたいですか？

ハヤシング　たぶんこのCDを聴いて「こういうバンドなんだろうな」ってイメージして、お客さんはライブに来てくれると思うんですけど。その期待にいい形で応えたいというか。

──それはどういう形で？

ハヤシング　そのときどきのベストを尽くしていきたいなっていうのを最近すごく思っていて。気付いたんですけど、僕歌詞を書くときに「今」って言葉めっちゃ使うんですよ。

──その「今」にはどんな意味合いが？

ハヤシング　そのときにしかない感情っていうものが無意識に現れているんだと思います。俺らはいろんな賞をもらって注目されたり、それでよかったこともあったけど、変に自分たちを客観視しようとしすぎて縮こまってしまった部分も実はあって。だから今回のツアーでは僕らが僕らを型にはめずに、好きにやっていく姿をお客さんに見せられたらなって思います。

テラオカ　そうやな。いつもの自分でいようっていうのも変なんですけど、僕らはたぶん変にカッコつけるのは似合わないというか。単純に楽しめるツアーになったらいいなあって思いますね。

ハヤシング　「バトルフォーユー」っていう言葉はノリで出てきた言葉なんですけど、直訳したら「あなたのために戦う」っていう意味で。音楽をやってる人って1人ひとりいろんな考え方を持ってるじゃないですか。お客さんに対してやる人もいれば、「自分のために歌ってんねん」とか言う人もおるし。自分ってどうなんやろうなって考えたときに、やっぱり観てくれる人、CDを買ってくれる人のためにやりたいんです。で、それを広めるための今回のミニアルバムなわけなんですけど。お客さんとフィッシュライフの1対1の関わりを考えたときに、「バトルフォーユー」っていうのはこれからもすごく大事な合言葉だなあって思いますね。