ナタリー PowerPush - 欧陽菲菲

Jeff Miyaharaと奇跡のコラボ実現
名曲が現代的に生まれ変わる

来年、日本デビュー40周年を迎える欧陽菲菲。彼女の代表曲「ラヴ・イズ・オーヴァー」がこのたび新バージョンでリリースされた。もともとシングルのB面曲として1979年に発表されたこの曲は、翌1980年にA面曲として再リリースされ、その後、1982年に再レコーディングされたものがロングセラーを記録した。

ジャパニーズR&Bのクラシックチューンとも言われているその名曲名唱が、このたび当代きってのサウンドプロデューサー、Jeff Miyaharaのリアレンジによって新たな生命を得た。1982年にレコーディングされたボーカルトラックを活かし、“Now”なトラックに仕立てられた新生「ラヴ・イズ・オーヴァー」。時を越えたコラボレーションを果たした2人の、初顔合わせが実現した。

取材・文/久保田泰平 撮影/中西求 ヘア&メイクアップ/曽我和彦(欧陽菲菲)

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どの時代の人が聴いても心に響く曲

──おふたりが並んでいらっしゃるのを見てると、歴史に立ち会ってるような気持ちになります。

インタビュー風景

Jeff ワォッ!

菲菲 そんなこと言われるとドキドキするよね(笑)。

──こちらこそドキドキしてます(笑)。さて、「ラヴ・イズ・オーヴァー」は1983年に大ヒットしましたが、Jeffさんはこの曲にどういう印象を持たれていましたか?

Jeff 僕は17歳までLAに住んでいたので、日本語もしゃべれず、両親はアメリカ人として僕を育てようとしていて。

菲菲 うんうん。

Jeff でも、両親がよく聴いていた音楽、車で出かけるときによくかけていたのは日本の音楽だったんですよ。そのときに「ラヴ・イズ・オーヴァー」も流れてまして。

菲菲 あっ、あちらにいた頃から知っていたんですか! てっきり日本に来てから聴いたものだと思ってた。

Jeff 「ラヴ・イズ・オーヴァー」は、アメリカにいた頃に触れた数少ない日本の曲の中でもすごく印象に残った曲で。

菲菲 でも、「Love is over」って実際の英語にはないフレーズなんでしょ?

Jeff No, No! パーフェクト・イングリッシュ!

菲菲 えっ、そうなの? 昔、誰かに「これは英語じゃない、アメリカ人に言っても通じないよ」って言われたの。

Jeff すごい曲ですよね。どの時代の人が聴いても心に響く曲だと思います。

菲菲 ありがとうございます!

Jeff いえいえ、こちらこそご一緒できて光栄です。たぶん、僕も小さい頃に鼻歌で歌ってたんじゃないかな。日本語の部分はよくわからなかったけど、「Love is over」の部分だけはちゃんと歌ってたと思います。

歌詞の世界観や表情が男性にフィットしやすい

──「ラヴ・イズ・オーヴァー」は当初、シングルのB面だった曲なんですよね。

菲菲 そう、A面が「うわさのディスコ・クィーン」で1979年に出したのね。最初のアレンジは、その後に出し直してヒットしたバージョンとは全然違って、ピアノから始まるちょっとシックな感じで。1年後にA面にして出し直したんだけど、それはあまり売れなくて(笑)、1982年にリアレンジして出したのが、みなさんがよくご存知の「ラヴ・イズ・オーヴァー」。

──B面の曲がヒットするっていう例は結構ありますけど、A面にして出し直して、それで売れなかったら普通はそこで終わりですよね。

菲菲 そう、普通はバイバイね(笑)。でも1982年にまた出してヒットして。その後10年経って紅白歌合戦で歌ったり、ここ何年かはカバーする人もいっぱい出てきたり、しかも若い人たちが歌ってたりするでしょ。CHEMISTRYとか徳永英明さんとかつるの剛士さんとか、男性にもカバーされてるしね。

──曲自体も生沢佑一さんやニック・ニューサー、やしきたかじんさんといった男性アーティストとの競作ですよね。

Jeff 歌詞の世界観や表情が男性にフィットしやすいんですよ。

菲菲 当時ね、他の女性歌手から「この曲はなかなか歌えない」って言われてたの。「泣くな男だろう」なんて実際には言えないし、歌詞が日本女性には大胆なのよね。何年か前にテレビで昔の私の映像が流れていて、「私はあなたを忘れはしない/誰に抱かれても忘れはしない」っていうフレーズをあらためて耳にしたときに、「ひょっとしてこれってかなり大胆な歌詞?」ってやっとわかったの。日本語の深い意味がずっとわかっていないまま歌ってたから(笑)。今の女性が聴いたらそうでもないと思うんですけど、当時は大胆な歌詞だったと思うね。

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欧陽菲菲(おーやんふぃふぃ)

台湾出身の女性シンガー。1971年9月にシングル「雨の御堂筋」で日本デビューを果たし、オリコンチャートでアジア人初の9週連続1位を獲得する。同年末には第13回日本レコード大賞新人賞、第4回レコード大賞有線放送国際賞などを受賞。その後も「雨のエアポート」「恋の追跡」などのヒット曲を生み出し、1972年には第23回NHK紅白歌合戦に外国人として初出場する。1970年代半ばからは、海外での活動も積極化。台湾、香港、アメリカなどで大々的にコンサートを行い、アジアの歌姫として地位を確立していく。1983年に「ラヴ・イズ・オーヴァー」が大ヒットとなり、第25回日本レコード大賞ロングセラー賞などを受賞。1993年には台湾でアルバム「抱擁(ユンパオ)」をリリースし、アジア各国で話題となる。近年も、日本のみならず海外でも大規模なコンサートを開催。2010年1月には台湾最大級のコンサートホール「台北アリーナ」(1万2000人規模)でソロコンサートを行い、大成功を収めた。

Jeff Miyahara(じぇふみやはら)

アメリカ・ロサンゼルス生まれ。父親が日本人、母親が韓国人である。学生時代に韓国へ渡り、本格的に音楽活動を開始するべく1999年、日本へ。そして2002年、ワールドカップ日韓共同開催チャリティとして「翼をください」(山本潤子、小田和正、長渕剛などのアーティストが参加。サッカー日本代表の応援歌にもなった)を制作。これが人生初のプロデュース作品となる。その後、2005年にはBOYZ II MEN、2007年はARRESTED DEVELOPMENTのスピーチ、ティンバランドなどの海外アーティストの作品を手がける傍ら、日本ではSpontania、JUJU、伊藤由奈、青山テルマ、加藤ミリヤ、JASMINE、Crystal Kay、黒木メイサ、西野カナといったアーティストをプロデュースしてヒット作を生んだ。2008年8月にリリースしたSpontania feat. JUJUの「君のすべてに」は、音楽配信で350万以上のダウンロードを記録。2009年にはJUJU with JAY'ED「明日がくるなら」でも着うたチャートで第1位を獲得し大ヒットさせた。