音楽ナタリー Power Push - Faint★Star
目指すは宇宙!? トマパイの遺伝子引き継ぐガールポップデュオ
HINAとYURIAからなるガールポップデュオ・Faint★Star(フェイントスター)が、7月7日の七夕に1stアルバム「PL4E」を発表した。
HINAがかつて所属したTomato n' Pineの“散開”からおよそ1年。多数のヒットソングを世に送り出すプロデューサー集団・agehaspringsのトータルプロデュースにより誕生したFaint★Starは、Tomato n' Pineの遺伝子を引き継ぐハイクオリティな楽曲が大きな注目を集めている。満を持してリリースされるフルアルバム「PL4E」は、2枚のシングル「koboreteshimattamizunoyouni」「フィルム!フィルム!フィルム!」で見せたフレキシブルな音楽性を一段と広げるバラエティ豊かな1枚に仕上がった。音楽ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、結成前夜からアルバム完成までの道のり、さらには今後の目標までをメンバー2人にじっくりと語ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 小原啓樹
HINAとYURIAの関係性
──まずは自己紹介ではなく他己紹介、それぞれお互いのことを紹介していただけますでしょうか。最初に会ったときの印象と、一緒にいるうちに変わってきたところなどあれば教えてください。
HINA YURIAちゃんはサバサバしてしっかりした子だけど、女の子らしい部分もいっぱいあって。一緒に行動していると、ごはんのメニューを決めるのにすごく時間がかかったり(笑)、けっこう優柔不断な女の子だと思います。
YURIA HINAちゃんは最初おっとりしたお姉さんという印象だったんですけど、だんだん「こんな一面もあったんだ!」という面白い部分がいっぱい見えてきて。
HINA 最初はバレないようにしてたんですけど(笑)。
YURIA いい意味でマイペースな、自分の世界を持ってる人ですね。でもおっとりしているようで、私と違って決断は早いんですよ。
HINA (折よくドリンクのメニューが届く)どれにする? 私ジャスミンティで。
YURIA どうしよう。えー、ヘーゼルナッツラテにするかアサイースムージーにするか……。
HINA これです、これ(笑)。
──さっそく確認できました(笑)。最初にユニット結成の知らせが届いたときは、アーティスト写真の印象だと完全なクールビューティ路線というか、本人のキャラクターを押し出さないユニットになるんだろうと思ってたんです。
HINA 最初の写真は特にクールな印象でしたよね。
──楽曲やパフォーマンススタイルを見るとFaint★Starはやはりその路線であることは間違いないと思うんですよ。で、YURIAさんは初めてのアーティスト活動だし、HINAさんがお姉さんとして引っ張っていくのかなと思っていたんですが、HINAさんのキャラが明るみになるうちに……。
HINA 早々に崩れましたね(笑)。
──どちらかと言うとYURIAさんが引っ張っているような印象があって。HINAさんはTomato n' Pine時代、3人の中でどちらかと言うとクールな立ち位置でしたよね。
HINA 3人の中でも年上だし、しっかりしなきゃという気持ちはありました。今もしっかりしてますよ?
YURIA 自分では、ってこと?
──YURIAさん異論はありますか?
YURIA えっと、ない……です(笑)。
──MCを回すのはYURIAさんで、HINAさんがちょいちょい別次元なことを言うみたいなスタイルが1年で定着しつつありますよね。
YURIA 次元は違いますね。
HINA ライブ中、どこか旅に出ちゃうんですよ。ついね。
YURIA ついね(笑)。
トマパイで経験したことを無駄にしたくなかった
──Tomato n' Pineのメンバーが新しくユニットを始めると聞いたとき、それがHINAさんだったのが個人的には少し意外だったんですね。あまりガツガツしたタイプじゃなさそうだし、特に何かを必死でがんばらなくても幸せな生活が送れそうな、リア充的な印象があったので。
HINA そんなことないですよ!
──音楽活動が単純に楽しいだけではないことは身に沁みて感じてきただろうし、その上でまた音楽をやる道を選んだんだなあと。
HINA はい。それをトマパイで経験してきて、“散開”(参照:Tomato n' Pineが年末ライブをもって“散開”)からFaint★Star結成まで1年間のブランクがあったんですよ。その間に単体でお芝居のお仕事などをさせてもらう中で、どこか自分の中にぽっこり穴が空いたような気持ちがずっとあって。この穴を埋めるのは音楽なんだなと自分でも感じていたし、やっぱりトマパイで経験したことを無駄にしたくなくて、絶対にまた音楽で成し遂げてやるぞという気持ちは常に持っていました。
──Faint★Starの結成はagehaspringsのアイデアで?
HINA はい。トマパイ散開ライブの前から「HINAはこれから何がやりたい?」と親身になってお話してくださっていて、私は「やっぱり音楽がやりたいです」って答えてたんです。ストレートに気持ちをぶつけていたので、それが強烈だったのか、思いが伝わったんだと思います。
──こちらの勝手なイメージとは裏腹な、熱い決断ですね。
HINA 音楽に関しては燃えちゃうんですよね。
──YURIAさんはこれまでモデルとして活動していたんですよね。なぜ音楽ユニットのオーディションを受けることに?
YURIA 子供の頃から歌は好きだったんです。近所に障碍者の子たちと一緒に歌ったり踊ったり絵を描いたりする地域の教室があって、そこに3歳の頃から通っていて。そこに通っているうちに、歌はいろんな壁を超えてくれるんだなと身に沁みて感じたんですよ。ダンスも習っていて体全体で何かを表現することは好きだったので、高校ではミュージカルの勉強をしました。リスナーとして音楽は好きだったけど、歌手になるとは思っていなくて。モデルは高校卒業後に始めて、未来予想図としては普通に結婚して子供を育てて……と漠然と考えていたんですけど、ある日モデルの事務所から突然「歌のオーディションがあるから行っておいで」と言われたんです。歌が好きだということは伝えてたので、「プロデューサーに歌を聴いてもらえる機会なんてめったにないから行ってきなよ」って。
──それがFaint★Starのオーディションだったと。
YURIA はい。そんなきっかけで受けてスタジオに行ってプロデューサーさん……玉井(健二。agehasprings代表)さんに歌を聴いていただいて。そのあと2次審査だって言われたときに「あれっ、1次審査通ったの?」って。審査を重ねるうちにだんだんどういうオーディションかわかってきて、トマパイのHINAちゃんと一緒に組むユニットだと聞いて、トマパイのことを調べたりしてたんです。だから最初にHINAちゃんに会ったときは「あ、ネットで見た人だ!」って(笑)。気付いたらトントンと話が進み……最初は実感が湧かなかったです。
──どこがよかったからYURIAさんを選んだのか、のちに理由は聞きましたか?
YURIA 聞いてないですね。オーディションでは「どんな音楽をやりたいですか?」って聞かれたんですけど、答えが出なくて、「とにかく歌える環境があればどんな音楽でもいいです」って答えたんです。今思うに、なんにも染まってないのがよかったのかなあって。
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- 1stアルバム「PL4E」 / 2015年7月7日発売 / Faint Star Tokyo
- CD+DVD盤 / 4500円 / FST-003~4
- 通常盤 [CD] / 3000円 / FST-005
- アメリカ盤 [CD] / 2000円 / FSUSA-002
- インドネシア盤 [CD] / 2000円 / FSIN-002
- 台湾盤 [CD] / 2000円 / FSTW-002
国内盤CD収録曲
- Hurly-Burly
- メナイ
- Boyfriend -A.S.A.P-
- エレクトロニックフラッシュ
- ス ラ イ
- フィルム!フィルム!フィルム!
- 今夜はRIDE ON TIME
- Sleeping in your car
- Lips!!
- koboreteshimattamizunoyouni
- Spilt Milk
- レ・ミ・ラ
- Tip Tap
- スーパー・サマー・ワンダー
- Boyfriend -A.S.A.P- Favourite Wild Summer Remix(好き好きサマーREMIX) remixed by カジヒデキ
DVD収録内容
- 「koboreteshimattamizunoyouni」MV
- 「Sleeping In Your Car」MV
- 「レ・ミ・ラ」MV
- 「フィルム!フィルム!フィルム!」MV
- 「Boyfriend -A.S.A.P-」MV
- 「Lips!!」MV ※インドネシアライブの映像で制作
- 「メナイ」MV ※リリックMV
海外盤特典
インドネシア盤にはIkkubaru、台湾盤にはBoys Get Hurt、アメリカ盤にはCOLOUR VISIONによるリミックス音源がそれぞれ収録される。
- Faint★Star 1stアルバム「PL4E」リリース記念
「Faint★Star × 2.5D Tokyo Sound Collection vol.5」 - 2015年7月7日(火)東京都 2.5Dスタジオ
<出演者>
Faint★Star
ゲスト:カジヒデキ / DJ ABO
Faint★Star(フェイントスター)
agehaspringsがトータルプロデュースを手がけるガールポップデュオとして、HINA(ex. Tomato n' Pine)とYURIAの2人で2013年12月に結成。2014年5月に東京・タワーレコード新宿店でお披露目ライブを行い、同年7月に4曲入りシングル「koboreteshimattamizunoyouni」でCDデビューを果たす。「TOKYO IDOL FESTIVAL 2014」「@JAMEXPO 2014」などへの出演を経て、2015年2月には2ndシングル「フィルム!フィルム!フィルム!」を発表。シングル発売直後にはagehasprings主催のライブイベント「Synapples 2.0 ~no border between sounds~」に出演し、ゆず、JUJU、back numberらと競演した。同年5月にはインドネシアで初の海外公演を行い、7月に1stフルアルバム「PL4E」をリリース。8月にはアメリカ・サンフランシスコにて開催される「J-POP SUMMIT 2015」への出演が決定している。