等身大のひとつめ様を登場させたい
──アルバムの1曲目に収録されているインスト曲「fanfare」を聴いて、1つ思ったことがあって。Eveさん、ステージに立つの好きですよね?
はい。ライブをするのは大好きです。
──「fanfare」という曲はそのままライブの最初にSEとして流れそうな曲だなと思いまして。
まさにライブの冒頭を意識して作った曲です(笑)。僕自身、ライブに行ったときにアーティストが登場するまでのワクワク感、高揚感がすごく好きなので、そのときに流れる音楽っていうのを考えて作りました。1曲目に限らず、今回のアルバムは1つのコンセプトとしてライブをイメージして作っていった部分があるんです。例えばMVで登場人物に踊ってもらったり、曲によってはハンドクラップや合いの手みたいなものが入ってますし。この曲たちはライブでやって初めて完成すると思うので、実際にステージに立って歌うのがすごく楽しみですね。
──3月23日には東京・新宿ReNYで「お茶会」というタイトルのワンマンライブが開催されることが決定しています。変わったタイトルのライブですよね。
アルバムタイトルが「文化」で、ジャケット周りのアートワークも謎めいてると思うんです。それでライブタイトルはもっと崩した感じにしようと思って「お茶会」にしました(笑)。
──どんなライブになりそうですか?
今回のライブで実現できるかはわからないんですけど、等身大のひとつめ様を登場させたいんです(笑)。映像だけに留まらず、彼を現実世界に立たせたいなってのはずっと思ってます。3月の「お茶会」に彼が登場するかはわかりませんが、アルバムの曲中心にこれまで僕が歌ってきた曲も披露して、みんなで盛り上がるライブにしたいですね。僕がメインと言うよりはお客さんも一体になって、「ナンセンス文学」の歌詞にあるように“馬鹿になって 踊りあかしたい”ですね。
僕は「好きなことをしてる人」
──アルバムやライブの話からは逸れてしまうんですが、Eveさんには「はらぺこ商店」というアパレルブランドの店主としての側面もあります。お話を聞いた感じだと、これまで服飾関係の仕事に携わっていたというわけでは……。
ないですね。
──なぜブランドを立ち上げて、服を売ることを始めたんでしょうか?
僕、毎年できることを1つずつ増やしたくて、目標を決めていて。それで去年できるようになりたかったのが「服を作ってみる」ことだったんです。もちろん、自分1人でできるようになったわけではなくて、いろんな方の協力があって、ブランドを立ち上げるに至ったんですけど、1つずつ形を作っていって徐々にアイテムを増やしていくのは楽しいですね。
──はらぺこ商店のアイテムは“ゆるさ”がテーマで、性別や体型を選ばない服であるというコンセプトがしっかりしていますよね。
僕自身、自分が楽だなって思う服を着るのが好きで。おしゃれかどうかって、人によって基準が曖昧だと思うんですけど、楽かどうかは、けっこうみんな共通していると思うんです。かつ、男の子にも女の子にも関係なく身に着けてもらいたいって希望が強かったから、ブランドのコンセプトとして掲げています。
──期間限定で原宿にポップアップショップがオープンするなど、ブランドは好評のようですね。
今月からは全国のPARCOなどのファッションビルでも売ってもらえることになっていて。CDとかと違って、服は実際に手で触れて、着てみて買ってほしいと思うので、実際に店舗で展開していただけるのはすごくありがたいと思っています。
──ちなみに、先ほどおっしゃっていた毎年立てている目標なんですが、今年の目標はなんだったんですか?
「オリジナル曲で構成されたアルバムを作る」でした。なので「文化」がリリースされて目標達成です。
──では来年の目標は?
まだ考えているところですが、1つ候補になってるのが「ちょっとだけダンスできるようになる」です(笑)。
──Eveさんの楽曲のMVにはダンスがたびたび出てきますし。
MVで踊っている彼らを観ていると、自分も踊りたいなって思うことが多くて。僕もいろんなアーティストのMVを観るんですけど、ダンスがしっかりしてるMVって観ていてテンションが上がるんですよね。ああいうことが僕もできたらなって。
──ボーカリストであり、シンガーソングライターであり、デザイナーでもあるEveさんにとって自分自身を言い表すのに適切な言葉ってなんですか?
なんでしょうね……「好きなことをしてる人」って感じかな。(笑)。
──なるほど。確かにそうですね。
最近服から僕のことを知ってくれる人とかも出てきて、そういう人からしたら僕は服を作ってる人だし、僕のボカロ曲を聴いてくれてる人からしたら僕はボカロPになるのかもしれない。もちろんシンガーソングライターだと思ってくれてる人もいるだろうし、昔から僕の歌を聴いていてくれた人からしたら僕は歌い手。そういう捉えられ方って人それぞれでいいと思ってるから、僕自身が「これだ」って決めなくてもいいかなって。
──これから先も好きなことをやるわけですから、どれかに定めることもないわけですね。
はい。ただやりたいことの中心が音楽であり続けたらいいなって思っています。やっぱり一番好きなことですから。
- Eve「文化」
- 2017年12月13日発売 / harapeco records
-
初回限定盤 [CD+DVD]
2700円 / TEI-74 -
通常盤 [CD]
2160円 / TEI-75
- CD収録曲
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- fanfare(instrumental)
- ナンセンス文学
- ドラマツルギー
- ホームシック
- あの娘シークレット
- 会心劇
- ふりをした。
- 羊を数えて
- お気に召すまま
- paradigm(instrumental)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- ナンセンス文学
- ドラマツルギー
- あの娘シークレット
- お気に召すまま
ライブ情報
- お茶会
- 2018年3月23日(金)東京都 新宿ReNY
- Eve(イヴ)
- シンガーソングライター、デザイナー。2009年10月にニコニコ動画に“歌ってみた”動画を投稿し、以降定期的に歌唱動画を公開している。2016年10月には初の全国流通盤「OFFICIAL NUMBER」をリリース。同年11月には自身がデザインを手がけたアイテムを販売するブランド「はらぺこ商店」を立ち上げた。2017年5月には作詞作曲を手がけたオリジナル曲「ナンセンス文学」を公開し、YouTubeで350万回以上(2017年11月現在)再生されるなど大きな話題を呼ぶ。同年12月、すべて自作曲で構成されたオリジナルアルバム「文化」を発表した。