EMPiRE約2年ぶりフルアルバム「BRiGHT FUTURE」完成、幕張イベントホールワンマンを目前に6人が思い語る

WACK所属のアイドルグループとして2017年にavex traxからデビューしたEMPiRE。メンバーチェンジを経て現在はエレクトロサウンドを基調としたダンサブルな楽曲でキレのあるパフォーマンスが注目されており、今の6人だからこそできる表現を日々進化させている。

そんなEMPiREが11月10日に3rdアルバム「BRiGHT FUTURE」をリリースする。11月23日にはグループ史上最大規模となる千葉・幕張メッセイベントホールでのワンマンライブ「EMPiRE'S SUPER ULTRA SPECTACULAR SHOW」を行うが、チケットは即日完売。全国のファンのグループへの関心がこれまでにも増して高まっている。

音楽ナタリーではアルバム発売を控え、来たるワンマンライブに向けてクラブツアー「EMPiRE'S GREAT PARTY CARAVANS」で各地を回っている最中のEMPiREにインタビュー。彼女たちは今、来たる大一番に向けてどんなことを思い、活動しているのか。アルバムが示す“明るい未来”にエージェント(EMPiREファンの呼称)とたどり着くために何が必要だと考えているのか。歌詞からも感じるメンバーそれぞれの変化などに触れつつ、グループの現状を聞いた。

取材・文 / 田中和宏撮影 / 中野修也

最近のEMPiRE、行き詰まったことはあったのか?

──シングル「HON-NO / IZA!!」のインタビュー(参照:EMPiRE「HON-NO / IZA!!」インタビュー)から半年経ちます。この夏はどのように過ごしていましたか?

MAYU EMPiRE アルバム制作を軸に活動していました。ライブ活動があまりなかったので、ファンの方には「もうちょっとだけ待って!」と思いながら過ごしてました。

MiDORiKO EMPiRE BiSHさんの代打で北海道(「ROCK CIRCUIT 2021 in EZO」)と東京(「TOKYO BiSH SHiNE 7」代替公演)のライブに出る機会がありました。

EMPiRE

EMPiRE

──北海道のイベントはアイドルがあまり出ないロック系のイベントだったと思うんですけど、手応えはありましたか?

MiKiNA EMPiRE バンド好きなお客さんが多かったので、私たちは異色な存在ではあったんです。でもみんな楽しそうにしてくれたよね。

MiDORiKO 思っていた以上に一緒に踊ってくれたから、もっといろんなイベントに出たいなと思いました。

MAHO EMPiRE わかりやすい振り付けを意識して作ってきたことが、いい結果につながりました。EMPiREを知らない人たちにもEMPiREを知ってもらいたい気持ちがより強くなったので、あの札幌での経験には可能性を感じました。

──1月の東京国際フォーラムでの3時間ライブ「EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE」、通称「限界突破ライブ」もすごかったですが、夏前の5月、Zepp Tokyoでの「EMPiRE ULTRA ViBES TOUR」ツアーファイナルでも皆さんはバシッと決めていました。観るたびに新しい発見があって、進化しているなと。

MiDORiKO そのあたりから自分たちで考えることがより多くなったんですよね。お客さんと一緒にもっと楽しめる振りにするにはどうしたらいいかとか。そういう面でも前と変わったのかな。

MAYU メンバー同士で話す機会も増えたので、「このほうがお客さんはノリやすいかもね」とか「見栄え的にこうしたほうがいいかも」と意見を交わして、ツアー中にブラッシュアップできました。

──ブラッシュアップの過程で行き詰まるようなことはなかった?

MAYU 「自分たちのやっていることは間違っていないから大丈夫」と自信を持てる機会が、今年に入って増えてきました。春ツアーでも、突然舞い込んだライブでもしっかりとやり切れましたし。その状態を前提として、さらによくするためにどうするかというポジティブな議論をしていたので、そんなに行き詰まった感じはないですね。

MiDORiKO みんなが同じほうを向いている感じはこのところさらに強くなったと思います。みんなでよりよいものを作り出そうという雰囲気があります。

NOW EMPiRE

NOW EMPiRE

MiKiNA EMPiRE

MiKiNA EMPiRE

MiDORiKO EMPiRE

MiDORiKO EMPiRE

思いを届けるための言葉が増えた

──メンバーも作詞をしていますが、耳が痛いと感じるような曲もありました。MiKiNAさんとMAYUさんが歌詞を書いた「I don't care」なんですが、「もううんざりです 虚無の昔話」「ああうるせー」など、自分がこう言われたら嫌だなという(笑)。

一同 ははは(笑)。

MiKiNA めっちゃネガティブじゃないですか(笑)。

──でも歌詞の内容を紐解くと、自分自身をちょっと卑下して、強めの言葉を投げかけているようにも受け取れます。「I don't care」はどんな思いで書いたんですか?

MiKiNA 悩んでる人、うんざりしてる人のことを思って書きました。仕事でもなんでも、上から無責任な圧をかけられることって、けっこうあるのかなとか。私は口に出して反抗するタイプじゃないけど、もし思い詰めている人がいたら、皮肉っぽいこの曲を聴いてちょっとでも楽になってほしいし、こう思うことがあっても別にいいんだよって。

MAYU そうだね。「がんばれない」って言いながらも、やることをやってれば別にいいと思うから。弱音を吐かないでやる人のほうがカッコいいけど、常にカッコよくもいられないので、人間(笑)。この曲は「がんばれない」と歌ってますけど、最後にはやっぱり進もうとしているし。

──誰かのことを思って作詞しているという点で、コロナ禍以前から言い続けてきたエージェントと一緒に進んでいく思いがアルバム全体にも色濃く反映されていますね。

MAYU 今作の歌詞は「あなた」という相手が見えるものが多いし、自分に向けた言葉でもありつつ、第三者がいる割合が高いですね。初めて歌詞を書くときは自分のことしか書けなかったけど、今は誰かに思いを届けるための言葉が多く出てくるようになりました。

──グループとしての4年の経験が歌詞の表現にも生きていますね。より直球だし、コロナ禍の影響もあってシリアスさもあれば、何気ない日常を愛おしく思う気持ちもあって。今のEMPiREの伝えたいことがわかりやすく入っている作品という点でも聴き応えがありました。

MAYU 確かに今作ではいろんな感情に寄り添えたし、振り幅が広くなりました。前作(2019年12月発表の2ndアルバム「the GREAT JOURNEY ALBUM」)ではアルバム全体でとにかく突き進むことだけ考えていたというか(笑)。もちろん前作が素晴らしいアルバムになったのは確かで、その当時は私たちも「一緒に行こう」「一緒に戦おう」と思ってました。

──最近になってそのモードが変わってきた?

MAYU そうですね。コロナ禍をなんとか乗り越えながら、改めて自分たちがメンバーや周りの人、エージェントと一緒にいることで自分の存在そのものや、人とのつながりを強く感じることが増えてきて。誰かに対する気持ちも、日常の感情も1つひとつ大事にできるようになったからこその表現になっていると思います。しかもこのアルバムは2020年の4月くらいからデモ楽曲があって、ずっと練りに練って制作をしてきたんです。なので「今やっと出せる!」って作品でもあります。

MAHO EMPiRE

MAHO EMPiRE

YU-Ki EMPiRE

YU-Ki EMPiRE

MAYU EMPiRE

MAYU EMPiRE

MAHO EMPiREから見た今のEMPiRE

──MAHO EMPiREさんの作詞した曲が先行リリース曲やリード曲になっているので、MAHOさんについていくつか聞かせてください。まず先行配信された「ERROR」「LET'S SHOW」はMAHOさん作詞です。EMPiREのサウンドにぴったりな響きというか、英語のフレーズもオケの雰囲気にかっちりハマっていてカッコいいなと。

MiDORiKO 芯があるし、見てくれている人。周りがどう感じるかも考えて歌詞を書いているからそれがすごい。

MAYU MAHO EMPiREはカッコいいです! この歌詞は誰が歌ったらいいか、エージェントの思い、ライブのシチュエーションも想定して書いてるって以前話していてすごいと思った。

MAHO 自分が作詞で大切にしていることは、EMPiREが歌っている姿を想像して、EMPiREが一番カッコよく歌える歌詞を書くこと。いつも楽しく書いてますよ。最近はタイミングとか曲調にもよるんですけど、「LET'S SHOW」はアルバムの1曲目だったから、始まりにふさわしいイメージで書きました。

──歌詞の内容って振り付けにも反映されますよね?

NOW EMPiRE 例えば「ERROR」の振りは、おおまかには私が考えたんですけど、間奏のところはMAHOちゃんが「こういう思いで私はこの歌詞を書いたから、こっちの振り付けのほうがいいかもね」と提案してくれました。

MAHO 「ERROR」はコロナ禍で最初のツアーを経て、1月の限界突破ライブで披露する曲だったから、やっぱり「EMPiREはここから突っ走っていく」という気持ちが見える振り付けじゃなきゃいけないと思っていたんです。だから「6人で行くぞ」という思いが伝わる振りを入れたいって話をしたんですよね。

EMPiRE

EMPiRE

──MAHOさんから見て、今のEMPiREはどういう状況ですか?

MAHO どんどん強くなってます。EMPiREは6人1つのパワーで突き進んでいく、そんな結束力があるし。6人で突き進んでいく力を、いつも全力で表現していきたいというのは、昔から変わらずに思っていることです。

MiDORiKO MAHOちゃんはいっぱい考えているよね。

MAYU MAHOちゃんはいつも「霧が晴れている感じ」の考え方なんですよね。「こっちのほうがいいんじゃない?」ってスパッと意見してくれるけど、それって日々考えてないとなかなかすぐ言葉にならないと思うんです。見ている感じだと、自分が気持ちいいほうに向かってる感じ。

YU-Ki 練習中もいろいろ試しているよね。MAHOちゃんはどんな自分を見せたいかが一番ハッキリしてる気がします。それに向かって練習してるから表現にすごみを感じるのかなって。

MAHO 特にコロナ禍になってからなんですけど、どんどんやっていかないとという気持ちが強くなって今に至ってます。理想像が特別あるとかそういうことではなくて。