自分で歌わないという部分で、普段の作詞よりはかなり緊張感はありました
──今回お二人が手がけた歌詞は、キャラクターにしっかり寄り添いつつも、それぞれのクリエイターとしてのカラーも感じられるものになっているような気がします。
みさこ あー、そうですね。私はお酒を飲んだりごはんを食べたりする女の子を見るのが大好きで、そういう内容の曲をバンもん!でもわりと書いたりしてるんですよ。で、今回SPAS(-12)ちゃんがごはんを食べるのが好きなキャラだったので、あ、これは私の好きな感じで書けば大丈夫かなと思って。実際、「Sweet♥Guardian」の歌詞はすぐに書けたし、特に直しもなくスッとOKをいただけました。
理姫 私の場合は歌詞のテーマというよりも、楽曲のテイストで書きやすかった部分はあったと思います。普段からバンドスタイルで活動している私にとって、今回作詞させていただいた楽曲はそこまで大きくかけ離れたサウンドではなかったので、いただいたキャラクターの個性やテーマを添えつつも、普段に近い感覚で作詞できたのかなって。とは言え、自分で歌わないという部分で、普段の作詞よりはかなり緊張感がありましたけどね(笑)。
みさこ 理姫ちゃんが書く歌詞ってわりと恋愛ものが多いじゃないですか。バンもん!に提供してもらったのもそういったテーマの歌詞だったし。で、今回の「Клятва」もそういう曲になってたからちょっとうれしかったんですよね。理姫ちゃんの書く歌詞には、誰かを思うことで生まれる喜怒哀楽が込められていて、そこが胸にグッと染みてくる。この曲もまさにそういった歌詞になってたから、これもまたさすがだなって。
理姫 ありがとうございます(笑)。「Клятва」は、アルバムに入っている「Волчий клык(ヴォールチィ クリーク)」と姉妹曲みたいな関係性なんですよ。「Клятва」を歌うAN-94ちゃんは、「Волчий клык」を歌うAK-12ちゃんに対して崇拝に近い気持ちを持っていて、彼女のことしか見えていないっていう。なので自分自身について歌うっていうよりは、彼女についての気持ちを歌うイメージで歌詞を書きました。仕上げるまでに1週間くらい。自分としてはけっこう時間がかかったと思います。
みさこ いい歌詞ですよねえ。めちゃめちゃトキメキました!
実はみさこさんがデモとして歌った音源をこっそり聴かせてもらっていたんですよ
──コロナ禍ということもあり、レコーディングには立ち会うことができなかったそうですが、声優さんが録音されたボーカルはどう受け止めましたか?
みさこ いやー、さすがだなって思いましたよ!「Alles OK!」はサビの息継ぎがけっこうタイトな曲なので、最初は416ちゃんとGr G11ちゃんの2人で歌い分けできるような歌詞の書き方をしていたんです。でも、先方からの要望で1番を416ちゃん、2番をG11ちゃん、ラストのサビを2人一緒に歌う構成に変更することになって。
──息継ぎがタイトなサビを1人で歌いきらなきゃいけなくなったと。
みさこ そうそう。だから私としてはちょっと心配していたんですけど、完成したのを聴いてみたらお二人ともまったく違和感なく歌ってらっしゃって。「あ、声優さんってすごくお上手なんだな。そんなに考えすぎることなかったんだな」って思いました(笑)。
理姫 うん、ホントに皆さんお上手ですよね。この曲に関しては私、実はみさこさんがデモとして歌った音源をこっそり聴かせてもらっていたんですよ。
みさこ え、そうなんだ! なんか照れる(笑)。
理姫 それがホントにもうかわいすぎて、しばらくずーっとこればっかり聴いてたんですよね(笑)。だから、みさこさん独特の世界観を声優さんがどう歌うんだろうっていうのもすごく気になっていたんです。もちろんみさこさんもプロなんですけど、それとはまた違ったベクトルでのプロの歌を聴かせていただけた気がしましたね。
みさこ 声優さんの歌にはキャラクターとしての演技みたいなものが盛り込まれているから、そこにすごく感動しちゃうんですよね。
理姫 そうそう。その感じ、すごくわかります。純粋にすごいなあって思っちゃう歌ですよね。ただ、私はみさこさんのデモの歌もやっぱりすごく好き(笑)。
みさこ えー、私も理姫ちゃんの歌ったデモ聴いてみたい!
理姫 イヤです(笑)。
みさこ あはははは(笑)。理姫ちゃんが作詞した「【絶叫】Follow me★!!」は歌うのがめっちゃ難しそうだなって思った。
理姫 そうなんですよ。言葉を畳みかける歌詞にしてくださいって要望もあったし、私自身言葉をギュッと詰め込んで早口で歌う手法はよくやっていたことだったので、この曲にも盛り込んでみたんですけど……仮歌を録ろうと思ったら自分でも全然歌えなくて(笑)。だから完成したものを聴いたときは、声優さんってホントにすごいなって私も思いましたね。もうちょっと言葉数少なくしないと歌えないかな、みたいな心配はまったく必要なかったっていう。
みさこ こういった作品に参加させていただくと、完成品が上がってくるまでの時間がいつも以上にすごく楽しいですよね。
理姫 うん。待ってる時間が楽しいというか。で、仕上がった曲を自分のバンド以上に何回も何回も聴いちゃうっていう(笑)。
みさこ わかる! 自分のバンドのときよりも純粋にリスナー目線で聴けるしね。
理姫 そうそう。どこかちょっと不思議な感覚があってうれしいんですよね。
一緒にがんばってきた人たちだからこその不思議な融合
──アルバムには全11曲が収録されています。ご自身が作詞で参加された以外の曲たちはお聴きになりました?
みさこ はい、聴かせていただきました。もともとのドルフロさんの世界観はわりとシリアスですけど、このアルバムには明るい曲もあれば、シリアスなロック、バラードなんかもあって、レパートリーが幅広いところが楽しかったですね。個人的にはゲームをやってちょっとシリアスで悲しい気持ちになったときに、このアルバムを聴いたらまた気分を一新させてゲームに向き合えるような気がしました。
理姫 関わられている作家陣がすごい方ばかりだし、だからこそ楽曲のクオリティがどれもめちゃめちゃ高くて。そこがまず1つ大きな聴きどころだと思います。あとはみさこさんや私に加え、元ふぇのたすの(ヤマモト)ショウさんだったり、比較的近い界隈で活動してる人たちが参加しているのも私としてはちょっと感慨深くて。
みさこ あー、確かにそうですね、うん。
理姫 一緒にがんばってきた人たちだからこその不思議な融合が生まれているし、どの曲にもこの作品に対しての愛情がしっかり満ちているなって思います。
みさこ 私は個人的に、リリックビデオも公開されていたSOPMOD(II)ちゃんの「add ME」がかなり好きなんですよ。ものすごくカッコいい!
──作詞を真部脩一(集団行動)さん、作曲を上田剛士(AA=)さんが手がけた曲ですね。
みさこ そうです、そうです。アニメやゲームのキャラソンには今までもなじみはあったんですけど、こういったタイプの曲はあまり聴いたことがなかったのですごく感動しました。めちゃめちゃ攻めてる曲だけど、めちゃめちゃキャラに合ってるっていう。ホントにカッコいいです!
理姫、ゲームもイケますよ
──理姫さんは特に気になった曲はありました?
理姫 私はやっぱりみさこさんが作詞された「Alles OK!」ですよ。「そう奇跡(ミラクル)とか完璧(パーフェクト)だとか~」ですよ。ホントにもうかわいすぎる(笑)。Aメロから歌詞が衝撃的ですからね。私はみさこさんが書くような癖のある歌詞が好きなんだなって改めて思いました。
みさこ うれしいです(笑)。自分以外の方が書いた歌詞って、私もすごく気になるんですよ。自分では書けない歌詞に対しては尊敬の気持ちが湧くし、聴いてて純粋に楽しい気持ちになるし。ただ、モノによっては「あ、この人はこのキャラにそこまで思い入れがないのかもしれないな」って思ってしまうような歌詞も世の中にはあったりして。それって作品のファンの方々はもちろん、いちクリエイターとしてもすごく切ないことなので、私は今回の作品に関わることになったときに、絶対そうはなりたくないなってすごく思いました。ドルフロファンの方の愛がより深まるような歌詞を書きたいなって思っていたので、アルバム全体がそういった仕上がりになっていたことがすごくうれしかったんですよね。
理姫 私が最初に抱いた不安はまさにそういうことだったんですよ。たくさんのファンの方がいらっしゃる作品に対して、まったく無知識の私が参加してどこまで感動してもらうことができるんだろうかっていう不安。でも私は今回、強い責任を感じながら、でき得る限り作品のこと、キャラクターのことを調べて歌詞を書いたので、そこはきっとファンの方にもちゃんと受け取ってもらえるんじゃないかなとは思っているんですけど。
みさこ うん。理姫ちゃんの歌詞、めっちゃよかったですから! アルバム全体にもドルフロ愛がめっちゃ詰まっているので、ゲームのファンの方は絶対に楽しんでもらえると思います。ゲームの世界を知っていることで、より深く感じ取れる歌詞もあったりしますので。
理姫 バラバラな個性を持った方々が参加しているのに、アルバムとして統一感があるのも面白いですよね。それぞれの楽曲にブレがないのは、ドルフロという作品の世界観がしっかりしているからだし、参加した皆さんのドルフロ愛があってこそだと思いますね。
みさこ 個人的にはゲームに触れたことがない方にも届いたらうれしいですね。予備知識なく曲だけ聴いても素敵だと感じてもらえるはずなので。で、音楽きっかけでゲームの世界に入って行ってもいいわけですから。
理姫 やっぱり音楽があると日常ってキラキラすると思うので、気分転換とか元気を出すきっかけになり得る1枚に参加できたことがとても光栄ですね。最近はずっとメインの活動ができていなかったので、正直毎日お酒飲んでばっかりだったんですよ(笑)。そんな中で今回のお話をいただけたことで、自分の生活にもハリが出ましたし、人のお役に立てた感がすごくある。今まで関わってこなかったゲーム関連の作詞もできることがわかったので、これからもがんばりたいです。理姫、ゲームもイケますよ!(笑)
みさこ あははは(笑)。もしコロナ禍じゃなく、メインのグループで駆け抜けているタイミングだったら、もしかすると今回のお話をお受けすることができなかったかもしれないわけで。そういう意味ではドルフロさんには今だからこその縁みたいなものも感じますね。この作品をきっかけに作詞家としてもがんばっていきたいです。