DIALOGUE+|プロデューサー田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)と語る、声優8人組ユニットの成長詰まった1stミニアルバム

8人組声優ユニット・DIALOGUE+が、4月8日に1stミニアルバム「DREAMY-LOGUE」をリリースした。

2019年6月の結成以降、アニメソングイベント「Animelo Summer Live 2019 -STORY-」のけやきひろばステージへの出演やデビューシングル「はじめてのかくめい!」のリリースなど精力的な活動を展開してきたDIALOGUE+。初のミニアルバムとなる今作には、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)が作曲およびプロデュースを手がけた全6曲を収録している。楽曲制作には田淵のみならず、三森すずこ、津野米咲(赤い公園)、大胡田なつき(パスピエ)というアーティストとしても活躍する3人の女性が作家として携わっている。

音楽ナタリーでは、DIALOGUE+から稗田寧々、守屋亨香、飯塚麻結、村上まなつの4名に、プロデューサー田淵を交えてインタビュー。グループに対してのそれぞれの思い、「DREAMY-LOGUE」の制作についてたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 森好弘

左から村上まなつ、飯塚麻結、守屋亨香、稗田寧々、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)。

結成からこれまで

──DIALOGUE+は昨年6月に声優ユニットとして結成されたわけですが(参照:女性声優ユニット・DIALOGUE+結成、デビュー曲で田淵智也×田中秀和が初タッグ)、これまでの活動を振り返ってみていかがですか?

村上まなつ 結成から8カ月が経ちますが、いろんなことを経験させていただいて、成長を実感しています(インタビューは2月下旬に実施)。

稗田寧々 「8カ月しか経ってないんだ?」という印象ですね。1つひとつの活動が濃密すぎて、何年もかけてやってきた感じがします。

飯塚麻結 今年1月にやった「DIALOGUE+JAM」というイベントは、とても思い出深いものになりました。デビューシングルに入っている2曲と新曲の「好きだよ、好き。」を歌わせてもらったし、いろんなアニソンのカバーもさせてもらって。あんなにたくさん歌ったのは初めてだったし、バンドを背負ってパフォーマンスするのも初めてでした。でもみんなでがんばったことで、グループとしてさらに強くなったと思います。

守屋亨香 私は今回のミニアルバムの楽曲「大冒険をよろしく」のミュージックビデオ撮影で行ったグアムがとても印象に残っています。メンバーの半分以上が初めての海外だったけど、すごく楽しかった(笑)。

村上 実は田淵さん見に来てくれたんです。

田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN) 僕は休暇として行ったんですけど、少しだけ撮影も見させてもらって。

役者も歌も踊りも全部がんばれ

──田淵さんがDIALOGUE+に関わることになった経緯は?

田淵 去年の1月にオファーをもらって、「はじめてのかくめい!」のデモを作ったのが4月です。

飯塚 そうだったんですね。初めて知りました(笑)。

稗田 オーディションが2、3月だったもんね。

田淵 まず「超余裕!」の原作を読んで(「はじめてのかくめい!」はテレビアニメ「超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!」のオープニングテーマ)、メンバーが決まっていない段階で曲を書いて、6月にボーカルのレコーディングをしたのかな。もちろん“アニメ作品の主題歌として失礼のないもの”というところから作り始めたんですが、彼女たちにとってはスタートの曲になるわけだし、グループのストーリーに合致した曲にしたかったんです。彼女たちの未来に対する根拠のない無敵感というか、「私たちめちゃくちゃいい感じだから、いっちゃうぜ!」というムードを落とし込んだ曲がふさわしいのかなって。アニメで使われない2番の歌詞は特に「私たちはすごい」という感じを出したし、それを歌うことで「この歌詞に恥じないようにがんばろう」という自覚が育つといいなと。

飯塚 歌ってると「やるぞ!」という気持ちになります。

村上 しかも歌っていてすごく楽しいよね。最初の「れぼるじゃーん」という歌詞から、すごくワクワクして飛び跳ねるように歌ってるので。聴いてくださる方にもその楽しさを伝えたいです。

稗田 社会人1年目の友達が、会社に行くときに聴いてるって言ってました。「今日も1日がんばろう」って。

守屋 素敵! ライブでもたくさん披露させてもらってるんですけど、歌うたびに私たちもやる気になります。

稗田 しかも楽しいだけじゃなくて、ちょっとうるっとくるんですよ。ステージで歌ったときに、泣いてるファンの方もいて。レコーディングやライブなど、私たちにとってもいろんな初めてを経験させてくれた曲ですし、たくさんの思い出が詰まっています。

DIALOGUE+(左から稗田寧々、守屋亨香、飯塚麻結、村上まなつ)

田淵 去年「アニサマ」(「Animelo Summer Live 2019 -STORY-」)のけやきひろばステージに彼女たちが出演する映像がメールで送られてきたんですけど、すごく感じるものがあったんです。シングルに参加してくれた田中秀和(MONACA)くん、ZAQさん、堀江晶太くんも同時送信に入っていたんですけど、めちゃくちゃ感動してたみたいで。ZAQさんは「みんなが一生懸命で、がんばる姿を見て泣いてしまいました」って返信が来ました。

飯塚 えー!

稗田 (涙を浮かべながら)なんかヤバい……。

田淵 僕も「みんながんばってるな」と思ったし、曲を作ってる身としてはそのがんばりを見られたことがうれしかったんですよ。それにMVも「こんなに踊るんだ!?」とビックリしました。ここまで歌と踊りをがんばってる声優ユニットって突き詰めればすごいことになるんじゃないかなって思ったんですよね。声優ユニットは役者が本業という言われ方もしますけど、そうじゃなくて、「役者も歌も踊りも全部がんばれ」というか。それができれば今のアニソンシーンにはいない存在になるんじゃないかというワクワク感があるんですよね。とにかく楽曲をみんなのものにしようとがんばっていて、かつ現場を盛り上げようとしていることに感銘を受けました。それで「彼女たちがここから未来に向けてがんばるんだったら、僕にアイデアがあります」とプロデューサーの方に話したんです。僕が受けた感動を、次はお客さんに感じてもらいたかったので。

稗田 うれしいです。私、田淵さんの曲を歌うことが夢の1つだったんです。田淵さんが手がけた内田真礼さんやLiSAさんの曲も好きで聴いていたし、こんなふうに言ってもらえて、すごく……(泣)。

田淵 もらい泣きしちゃうからやめて(笑)。僕自身もこの人数で歌う曲を書くのが初めてに近くて、楽しかったんですよね。ソロアーティストの場合「息継ぎができない」と言われることもあって、そりゃそうだよなと(笑)。でも8人ならそこもあまり考えなくていいじゃないですか。これは裏話だけど、メンバーのオーディションでみんなが歌ってくれた曲があって。

村上 「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」でした!

田淵 あれは2017年にひさしぶりに1人で好き勝手に作った曲で、かなり気に入っていたんです。それをプロデューサーから最初に話をもらったときに聞かせたら、オーディションの曲にしてくれたみたいです。「複数人のユニットだったら、ああいう感じでやりたい」と想像していて。

田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)

──なるほど。田淵さんが作る曲、歌うのはかなりハードルが高いですよね?

守屋 毎回挑戦です(笑)。リズムも難しいし。でもやりがいがあります。

村上 デモ音源を何度も何度も聴いていくと「そうか、ここで切って、こうやって歌ってるんだ」と少しずつわかってきて。

稗田 みんなはどれくらいの段階で細かいところを詰めていく? 私はレコーディングの前日なんだけど(笑)。

村上 私も細かい部分は前日かな。それまではとにかくずっと聴いて、曲を体に入れる作業というか。

守屋 私もそう。ほかのことをしているときも、ずっとリピートしてます。

村上 ハモリ用のメロディが入ったデモ音源も別にあって。まずはメインのメロディを覚えてから、ハモリを聴くようにしてますね。

飯塚 メインをちゃんと覚えないと、ハモリのパートに引っ張られちゃうもんね。

田淵 へー、そうなんだ。こういう努力してる部分もお客さんに知ってもらいたいですね。

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8人だから歌える