ライブもゲームも“ガチンコ”だったDAY2
初日の熱気が冷めやらぬ中で迎えた2日目も、ライブやゲームイベントが目白押し。LIVE AREAでトップバッターを飾ったのは水曜日のカンパネラだ。ピンクと黄緑のボリューミーなドレスを身にまとい、ステージに現れた詩羽は「ティンカーベル」で軽やかにライブをスタートさせると、そのままの勢いでアップテンポな「バッキンガム」を披露。「折角の日曜日だから一緒にテンションを上げていけたらいいなと思います!」と挨拶し、今欲しいゲームが話題作「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」であることを明かした。MCが終わり、次に届けられたのは、「ピザハット」のテレビCMソング「七福神」をはじめとする、最新EP「RABBIT STAR ★」の収録曲の数々。水カンの最新形を提示した詩羽は続いて「皆さんがきっと知っている曲をやっていこうかなと思います!」と宣言し、TikTokを中心に大きな広がりを見せた楽曲「エジソン」を歌唱する。ラストの「招き猫」では観客を巻き込んでの“万歳ポーズ”でLIVE AREAに一体感を生み出した。
昼過ぎには、ホロライブよりVTuberの角巻わためと獅白ぼたんが登場。初日公演のAPOKIのようにステージ上に臨場感あふれる姿を見せた2人は、角巻の楽曲「愛昧ショコラーテ」でライブの幕を開けたのち、調理学校をコンセプトにしたデュエットナンバー「ししわたクッキング」をポップにパフォーマンスする。ソロコーナーでは角巻が情感のこもった歌声を響かせ、獅白はホロライブの先輩・AZKiの楽曲「Intersection」を力強くカバー。再びそろってステージに姿を見せた角巻と獅白は、ラストにhololive IDOL PROJECTの楽曲「STARDUST SONG」を披露し、疾走感あふれるサウンドの上に息ぴったりの歌声を重ねた。
JO1、INIが所属するLAPONEエンタテインメント発の6人組ボーイズグループで、5月10日にCDデビューしたばかりのDXTEENは、ステージに登場するやいなや、デビュー曲「Brand New Day」を勢いよくパフォーマンス。さらにシングルのカップリング曲「Come Over」や、JO1の川尻蓮が振付を手がけたヒップホップナンバー「Sail Away」も歌い、客席のファンに手を振って笑顔を振りまいた。
「iCON Z STAGE」と題したブロックに登場したのは、LDH JAPANによるオーディション「iCON Z ~Dreams For Children~」から生まれ、8月23日に同時メジャーデビューを果たすことが決定しているKID PHENOMENON、THE JET BOY BANGERZ、WOLF HOWL HARMONYの3組。トップバッターKID PHENOMENONの7人は「C'mon」をクールにパフォーマンスして会場を盛り上げると、WOLF HOWL HARMONYへバトンをつなぐ。入れ替わるように登場したWOLF HOWL HARMONYの4人は「LOVE RED」で熱のこもった歌声を響かせ、続くTHE JET BOY BANGERZの10人は「RAGING BULL」をダイナミックに歌い踊ってみせた。
2日目にLIVE AREAで行われたゲームイベントのうち、フェス開演前から特に注目されていた企画の1つが、影山優佳(日向坂46)率いる一夜限りのドリームチームと、岡崎体育がキャプテンを務めるゲームチーム・サンドバッグスFCが11対11でサッカーゲーム「EA SPORTS FIFA23」の“ガチンコ対決”を繰り広げる「FIFA23 影山優佳チームvs岡崎体育チーム」だ。アイドル界随一のサッカー好きで知られ、昨年の「2022 FIFAワールドカップ」を機に知名度を大きく上げた影山が率いるチームは、元プロサッカー選手の岡野雅行や坪井慶介もメンバーに名を連ねる豪華さ。FWのポジションを担当する影山は「この豪華メンバーの中でどう足を引っ張らないかがポイントになると思います!」と緊張を顔ににじませていたが、それに対して岡崎体育は「我々はもう5年ほどプロクラブモードで遊んでいるので、連携はバッチリだと思います!」と自信をのぞかせた。そしていよいよ試合が始まると、熱の入った声がチーム内で飛び交い、好プレーのたびに客席から拍手が沸き起こる。岡崎体育チームは影山にも容赦なくタックルをお見舞いし、華麗なパス回しとロングシュートで2点を先制。終盤に影山チームも強烈なシュートをゴールに突き刺して1点を返すも、日頃の試合でチームワークを培ってきた岡崎体育チームに一歩及ばす。影山が「リベンジする機会をいただけないでしょうか……?」と再戦を望む形で手に汗握る“ガチンコ対決”が終了した。
LIVE AREAの終盤も、注目のアーティストが次々とステージへ。ドラムとギターの生バンド編成で観客の前に現れたanoは、スモークが立ち込める中、自身の気持ちを赤裸々につづったソロデビュー曲「デリート」を熱唱。シャウトも交えつつ、ステージを鋭く彩る照明とバンドの演奏を味方にエネルギッシュな歌声を轟かせた。アニメ「TIGER & BUNNY 2」のエンディングテーマであるメジャーデビュー曲「AIDA」では、anoの感情があふれ出すようなパフォーマンスに観客の視線はステージに釘付けに。「ここからはノンストップでぶち上げていくんで!」という言葉を合図にライブは瞬く間にラストスパートへ突入し、ラストの「ちゅ、多様性。」ではanoがダンサーとともに“ゲロチューダンス”を繰り広げた。
トリ前に登場したyamaも、バンドが生み出す迫力のサウンドに力強くも繊細な歌声を乗せる。「色彩」「春を告げる」と代表曲を連発したあと、バラードナンバー「ライカ」を歌い、透き通るような声で客席を包み込んだ。さらにyamaはアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」Season2のオープニングテーマで、4月に配信リリースしたばかりの「slash」も歌唱し、アグレッシブなパフォーマンスで観客を圧倒した。
そして、とうとう「DreamHack Japan 2023」のライブアクトは残り1組に。初日も2日目もゲームイベントで活躍した日向坂46が華やかにフェスを締めくくる。夜遅い時間にもかかわらず、2日間で一番とも思える数の観客が幕張イベントホールに集まり、客席にはおひさま(日向坂46ファンの呼称)のペンライトが放つ無数の“空色”の光が。丹生明里がセンターを務める「One choice」でライブが始まると、場内に盛大なコールがこだました。「スプラトゥーン3 坂道グループ対抗戦」での優勝を改めて喜んだ加藤史帆が「またゲームのイベントに出演できたらうれしいです」と声を弾ませるなど、まだまだ元気いっぱいの日向坂46。観客を勢いよく煽ると、ここでシングル曲の「ドレミソラシド」「君しか勝たん」を惜しみなくパフォーマンス。「キツネ」ではステージ上に火花が舞い、ラストナンバー「誰よりも高く跳べ!」の曲中にはキャプテン佐々木久美が「『DreamHack Japan』跳べ!」と叫ぶ。日向坂46は大盛況のうちにフェスをフィナーレへと導いた。
この記事でレポートした通り、「ゲーミングのカーニバル」という印象が強いのと同時に、音楽イベントとしても大いに充実していた「DreamHack Japan 2023」。来年以降も開催が続くのであれば、“複合型エンタメゲーミングフェス”ならではの魅力がさらに深まっていくことだろう。ゲームと音楽、どちらかに興味がある人は、ほかにはない「DreamHack」独特の空気感を体験するだけでも、このフェスを十分に楽しめるかもしれない。