Devil ANTHEM.メジャーデビューシングル「ar」発売記念インタビュー+関係者お祝いコメント (2/3)

ひねくれ具合がデビアンらしい

──続いて、カップリング曲「PA PA PA」についてもお話を聞かせてください。

あいり 「出た! デビアンならではの難しい歌詞!」って感じですね(笑)。伝えたいことはシンプルなんだろうけど、あえて遠回りしていろんな解釈を持たせようとしていて……。

くるみ ひねくれてるよね(笑)。

 あまのじゃく(笑)。

あいり でも、ファンの方は歌詞カードを見ながら分析してくれるんですよ。「この歌詞ってこういう意味?」と聞いてくれて、いつも「そうだよ!」って答えてるんですけど、なんだか後付けみたいになっちゃって(笑)。みんな歌詞を読み解く力がすごいんです。でも、私たちもパフォーマンスしていくうちに、曲の世界観をつかんでいって。「PA PA PA」も一生懸命、歌やダンスを練習しているところです。

くるみ 「Dark"s"side」(2019年発表の楽曲)に似てるなっていうのが第一印象でした。「Dark"s"side」はデビアンに初めて闇っぽい曲を歌わせてみたいという狙いで作られた曲で、当時はデモ音源を聴いてもわけがわからなかったんですよ。いまだに解釈しきれていなくて、曲のカッコいい雰囲気をパフォーマンスに落とし込むのが本当に難しかったです。それと似たような思いを「PA PA PA」にも感じていて。とにかく難しくて、メジャーデビューにあたって新しい課題ができました。

Devil ANTHEM.

Devil ANTHEM.

──メジャーデビューシングルだからと言って、わかりやすい曲で固めないのがなんともデビアンらしいですね。

くるみ 「Dark"s"side」も、「Days」っていう青春感のある曲のカップリングでしたからね(笑)。

 デビアンあるあるですね(笑)。いろんなことできちゃいますよっていうアピールになっています。

くるみ 「PA PA PA」は読みが「パパパ」じゃなくて、「パッパッパ」なのも変わってるポイントです。

──タイトルだけ見るとかわいらしい曲をイメージしますが、そこを裏切ってくるのも面白いですね。

くるみ どういう表情でパフォーマンスすればいいのか、そこが難しくて。上半身を反らしながら回すような振りが何カ所かあるんですけど、見た目以上に大変なんですよ。裏腿がすぐに筋肉痛になるんです。

 手首を折りたたむところとか、音を細かく拾って振付に落とし込んでいるんです。ダサかわいい感じもあって、ライブで見ていて飽きないと思います。デビアンはいろんな振りを踊れるんですよ、ということをアピールできる曲ですね。

くるみ 全体的に細かくて忙しい振付で、この曲もフォーメーションの移動が激しいです。その中でもサビの振りは頭の上で腕がわちゃわちゃ動いてるイメージで、お客さんも真似しやすいんじゃないかな。

──この曲の作詞作曲はデビアンの楽曲でおなじみの山下智輝さん、編曲は蜜柑拉麺とRelectさんです。「ar」も作詞作曲が今城沙々さん、編曲がAILIさんというデビアンと関わりが深い作家陣で、メジャーデビューのタイミングで新しい作曲家の方に依頼しないところから、グループとしての矜持を感じられます。ここまで築いてきたものに対して確かな自信を持っているというか。

くるみ メジャーデビューのタイミングで、ずっと支えてきてくださった今城さんにお願いするというのがなんだか佐藤さんらしいなと思います。情の深さが表れてますよね。

安藤楓

安藤楓

竹越くるみ

竹越くるみ

天狗にならないのがデビアン

──現在開催中の春ツアー「Devil ANTHEM. SPRING TOUR 2023」の手応えはいかがですか? ファイナルは6月27日にZepp Shinjuku(TOKYO)で行われます。

あいり 正直、手応えや心境としては今までと変わらないんですよ。それがいいことなのか、悪いことなのか……きっと両方なんですけど、前向きに捉えるなら、自信を持ちつつも謙虚な姿勢でいられているのかなって。ちょっと気が抜けていると佐藤さんからガツンと言われるので、常に初心を忘れずに活動できているんです。だから、メジャーデビューのタイミングだからと言って今回のツアーで図に乗ることもなく、1つひとつのライブを大事にできていると思います。その一方で、これを機に加速してかなきゃいけないのに、このままでいいんだろうかという不安も正直あるんですけど、制作陣を変えずにメジャーデビューシングルを出すように、今までやってきたことは間違いじゃなかったんだということを示すためにはこれでいいのかなって。

竹本あいり

竹本あいり

──初日公演のMCでも「無理に頭を使って考えなくても私たちがやってきていることは間違いじゃないし、みんなを信じて私たちのやるべきことを素直にまっすぐやっていくのが一番いいんだなって今日思いました」と語っていましたね(参照:Devil ANTHEM.“桜満開”の春ツアー開幕!笑顔あり涙ありの初日公演)。

くるみ ひたむきにライブを重ねて、自然と周りからの評価が付いてくるのが理想なのかなと思っています。

──現段階では自分たち自身もデビアンをどう評価していいのかわからない、というところもあるんでしょうか。

くるみ 「今のデビアン、めっちゃいいじゃん!」って自分たちで思っているときのほうが、佐藤さんから怒られがちなんですよ。「今ヤバいよ」って。

 わかる!

くるみ 逆に全然天狗になってなくて、「これからどうやってファンの方を増やしていけばいいんだろう……」と落ち込んでいるときに褒められるんです(笑)。「今日のライブ、めっちゃよかったよ」と言われても、メンバー自身は全然そう思ってなかったり。これもデビアンあるあるで、そういう経験をしてきているからこそ、うぬぼれちゃいけないという意識がメンバーみんなの中にあって。活動に対してずっと焦っていて、常にあれこれ考えてるんです。

あいり 本当にそう! これは強調しておきたいですね。

 天狗になってない!って(笑)。

水野瞳

水野瞳

くるみ だからツアーの会場が大きくなっても、喜びより「うわ、どうしよう」という気持ちのほうが強くて。ファンの方の「デビアンの成長がうれしい! 絶対に行くよ!」という言葉を聞いて初めて喜べるんです。いつ落ちるかわからない細い道を歩いているイメージで、メンバーみんな気持ちが張っていて、デビアンをよくすることを考えている。浅瀬でも沖でもずっとバタバタしていて落ち着くことがない、そんなグループですね。でも、今回のツアーに関して言うと、すごく楽しくライブをできています。初日はO-WESTだったんですけど、お客さんに「今のデビアンにはもうO-WESTは小さいんじゃないか」と言ってもらえたし、来てくれた人みんなが笑顔でした。

あいり 「自分が応援していたグループがついにメジャーに!」みたいな気持ちがきっとファンの方にあって、ワクワク感にあふれてました。そういうお客さんの姿を見るとより一層がんばれます。

くるみ デビアンの現場って“沸ける”イメージが強いと思うんですけど、ファンの方はみんな礼儀正しくて、「暴れてやるぜ!」みたいな人がいないんですよ。メジャーデビューを機に、新しいお客さんにも安心してライブに来てほしいですね。

侑芽 あと、今回のツアーでは全公演でイヤモニを着けていて。デビアンのライブは爆音の中でパフォーマンスするので、イヤモニのおかげで歌いやすい環境になったのがうれしいです。衣装のかわいさもレベルアップしましたし、ツアーに対して気合いが入っています。この熱量のまま駆け抜けていきたいです。

橋本侑芽

橋本侑芽

──ステージ上の桜の飾り付けや桜色の衣装も相まって、華やかなムードの中でツアーの幕が開けた印象です。

くるみ 私たちが「イエーイ!」ってなってたら佐藤さんが気を引き締めてくれるし、逆だったら私たちが自分で気を引き締めるし。このいいバランスのまま、今回のツアーも笑顔で完走したいです。

──慢心することがないからこそ、簡単なことで転ばないグループなのかもしれないですね。メジャーデビューする今、デビアンのアイデンティティを改めて言葉にするとなんだと思いますか? デビアンならではの強み、グループの特徴と言い換えてもいいですが。

くるみ 例えば……ビジュアル?

あいり 出たー! これはいつものノリ、冗談ですから(笑)。真面目に答えると、ライブに真剣なところですかね。ライブの振り返りもきちんとしますし、ボイトレのときもどうやったらお客さんに歌で思いを伝えられるのか、いつも考えてます。

くるみ メンバーみんな真面目ですね。それがパフォーマンスにもしっかり表れてると思うので、ぜひ多くの人にライブを観てもらいたいです。「TIF」(「TOKYO IDOL FESTIVAL」)をはじめ、今年の夏フェスではお客さんの声出しが解禁されると思うので、デビアンの本領が発揮されると思います!