自由に聴いてもらえるのがインスト音楽の魅力

──共演と言えば、バンドセッションも印象的で。特にブラスセクションを取り入れた「Reflection」は、とてもダンサブルな仕上がりです。

徳岡　16ビートは得意分野だったりするので、普通に曲を作っているうちに完成したものですね。それを今の僕らに合うアレンジにしてもらった結果、歌えるというより踊れる1曲に仕上がりました。

──EDMをはじめ、メロディの際立つ現在のダンスミュージックの流れとしっかりリンクしていますよね。ブラスセクションのアイデアはどこから？

徳岡　アレンジャーの方が「ここに入れてみませんか？」とアイデアをくださったので、お任せで。アレンジャーの方にお願いすると自分にはない発想をしてくださるから、面白いですよね。結果、すごくカッコいい仕上がりになったと思います。

──ほかの収録曲も、お二人のさまざまな表情を楽しむことができます。

徳岡　僕らの楽曲は歌詞がないので、聴いていただく方のペースで自由に聴いてもらえたらいいですよね。その人の感じ方によって、どんな言葉やメッセージにもなれるところがインスト音楽の魅力だと思うので。

忘れられないデビュー前のフリーライブ

──アルバム発売後まもなく、全国ツアーもスタートします。今回はどんなステージになりそうですか？

三浦　まだ具体的な構成は言えないんですが、アルバム収録曲を1曲でも多く披露したいと思っています。

──本作の初回限定盤に付属するDVDには、昨年の日比谷野外音楽堂でのライブの様子がダイジェストで収録されています。あのライブはベスト盤（2015年12月リリースの「DEPAPEPE ALL TIME BEST～INDIGO BLUE～」「DEPAPEPE ALL TIME BEST～COBALT GREEN～」）の発売を受けて、これまでのDEPAPEPEが集約された内容でしたよね。なので、今回のツアーからは新たな試みも用意されるのかな？という期待もあるのですが。

三浦　ああ、確かに。それはあったほうがいいのかも。

徳岡　2人とも歳とったから2部構成にするとか。あとは飲みながらとかね（笑）。

三浦　あはは（笑）。でも、これからの方向性を考えながらライブを構成してみるのはアリですね。

──ちなみに、お二人がこれまでの活動の中で特に印象に残っているステージはなんですか？

徳岡　メジャーデビュー直前の2005年5月に日比谷野外音楽堂で行ったフリーライブですね。あの経験があったからこそ、今もDEPAPEPEは活動できていると思います。

三浦　僕も野音のフリーライブですね。文字通り、入場無料だから当日まで何人のお客さんが集まってくれるのかわからないんですよ。不安を感じながらステージに立ってみたら、3000人もの人々が集まってくださっていて。本当に感動的でした。あの景色は忘れられなくて、今もステージに上がる瞬間に思い出すほどで。だから、どんなステージだろうと、常に同じ気持ちで臨むことができるんです。

さわやかさとは真逆の2人

──その経験が、初心を忘れずに着実に前進していくという姿勢につながっているんですね。デビュー当初からそうですが、三浦さんと徳岡さんのさわやかな人柄は音楽の中からうかがえるようで……。

徳岡　……いや、実はイメージとはほぼ真逆でして。ないものねだりで、こういう音が生まれているんだと思いますよ（笑）。

三浦　決してさわやかとは言い難いですよね、実際は（笑）。そういうものに憧れる気持ちを持ち続けて楽曲制作しているから、15年も活動を続けられているのかな。

──そうなんですか？ 曲の雰囲気から、ビーチ沿いのスタジオなんかで楽曲制作されてそうなイメージですが。

徳岡　ああ、それはないですね（笑）。もう「どこでも作ります！」って感じ。それに一定の景色が入ってしまうと想像の幅が限られてしまって、そこに合うBGMだけになってしまう感じがしていて。逆に何もない質素な環境のほうが、いろいろと想像しやすい音楽になるのかなって。

三浦　音と実際に作っている環境は、僕らの中ではまったくリンクしていないんです。できれば制作環境のことは考えたくないくらい。

徳岡　やさぐれてますよね。

三浦　でも、聴き手の人に夢を持っていただかないといけないから「湘南で曲作ってます！」くらい言っておかないと。

──あはは（笑）。それ大切です。

徳岡　ここで「海外でレコーディングしてます」って言うたら、連れて行ってもらえるんかな？（笑） でも、以前ニューヨークで曲作りしようとしたことがあったけど、1曲もできへんかったで。

三浦　プレッシャーに押し潰されてね（笑）。