音楽ナタリー Power Push - カスタマイZ
バンドの闘いと4人の絆
カスタマイZが11月18日にメジャー3rdシングル「解」をリリースした。
リード曲の「解」はテレビアニメ「K RETURN OF KINGS」のエンディングテーマとしてオンエアされているナンバー。アニメの内容を色濃く反映したこの楽曲はHAMA(Vo, Key)とGORO(Vo, G)によるボーカルの激しい掛け合いが印象的で、ジャケットやミュージックビデオも「闘い」をキーワードとした世界観で統一されている。
今回音楽ナタリーでは、肺気胸により療養中のHAMAを除くメンバー3人にインタビューを実施。「解」の収録曲や活動3年目を迎えたバンドの現状について話を聞いた。
取材・文 / 三橋あずみ
2年間を振り返って
──10月31日にカスタマイZは結成2周年を迎えました。ここまでのバンドの活動を振り返ってみて、どんなことを思いますか?
DAICHI(Dr) 「まだ2年なのか」って感覚かもしれません。2年前の10月31日にHAMAが入って「カスタマイZ」としての活動がスタートする前に僕たちは一度バンドの解散も経験しているので、そういう出来事も含めると「まだ2年なのか」って。時間の感覚があいまいだなって思いますね。
HIROKI(B) 僕もDAICHIと同じような感覚ですね。HAMAが入ったのはもっともっと昔のような気がします。
GORO(Vo, G) 自分はあっという間だったなって思います。カスタマイZとして再始動してからは、いろんなことがポンポンポンと進んで行って、止まることなく突き進んできたので……あっという間に2年経っちゃいましたね。
──今までのバンドの活動の中で、特に印象に残っている思い出はなんですか?
GORO 僕は最近の出来事なんですけど、この夏の小豆島での八十八カ所巡りは、この先何年経っても忘れないだろうなって。
──それはつらかったから忘れないということ?
GORO 完全にそうですね(笑)。体力的にも、後半になってくると精神的にも。1週間かけて回ったんですけど、5日目あたりからは本当にヤバかったです。それに、この先の人生でこんな経験をすることもないだろうなって。一番インパクトのあるイベントだったなって思います。
DAICHI 僕は今年の6月の「KING SUPER LIVE 2015」が一番思い出に残っています。さいたまスーパーアリーナの舞台に初めて立ったっていうのもあるし、HAMAがいない3人でのライブだったから、4人で立てなかった悔しさもあるし……。あと、本ステージにはまだ立てなくて、サブステージで演奏したっていうことにも意味があると思う。この日のステージはバンドが1つ成長できた、意味のあるライブだったんじゃないかなって。
HIROKI 僕も一番の思い出は「KING SUPER LIVE 2015」のステージですね。僕の中で考えが変わったライブだったんです。今までだと僕、緊張すると楽しむことが後回しになっていたんですけど、さいたまスーパーアリーナのステージに初めて立ってお客さんの顔やたくさんのサイリウムの光を見たら「やべえ、なんだこれ! 楽しい!」って思えた。「めちゃくちゃ気持ちいいな」っていう感覚をつかめたんです。
──ステージに立つときの意識が変わったんですね。
HIROKI そうですね。前よりももっと楽しめるようになりました。
──さいたまスーパーアリーナと言えば、今年の「Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-」では初めて本ステージでパフォーマンスをしましたね。
GORO そうですね! アニサマはアニソンをやるアーティストにとっては1番大きな目標になるような舞台だと思うし、僕らも去年は(野外の)けやき広場で3日間連続ライブをして「次は本ステージに立ちたい」ってずっと思っていたので、その夢が今年叶って、しかも4人で舞台に立てたっていうのはすごくうれしかったです。ただ、いざ本ステージに立ってみると、すごいことのはずなのに、逆にそのすごさがわからなかったというか。自分がいっぱいいっぱいになってしまったので、「本ステージに立っているんだ」っていう実感がないままパフォーマンスしていたなって。
──非現実的な感じだったんですね。
GORO そうなんですよ! うれしいはずなんですけど、冷静に喜べなくて。この先2回、3回と出演できるようになったら余裕が出てきて、「アニサマに出られているんだ」っていう喜びを感じられるのかなって思いました。
3人で立った2周年ライブのステージ
──結成記念日の10月31日には2周年ライブが行われました(参照:カスタマイZ「ピンチをチャンスに!」HAMAの分まで熱演届けた2周年ワンマン )。療養中のHAMAさんの出演は叶わず3人でのステージになりましたが、振り返ってみていかがでしょう。
GORO 3人でやるって決まったのが10月に入ってからだったんです。残り1カ月もない状態でHAMAが出られないと決まったので、3人で演奏するためにセットリストを考え直したりだとか、そのあたりの準備は少し大変でした。でもいざやってみると、チームZ(ファンの総称)は僕ら3人を迎え入れて楽しんでくれて。僕らもやっていてめちゃくちゃ楽しかったので、大成功だったんじゃないかなと思います。
──ホールでのワンマンライブは初めてでしたね。
DAICHI なんだか初めての感覚でしたね。ホール独特の距離感が新鮮でした。何よりたくさんのチームZが集まってくれたのがうれしかったです。
──担当楽器をシャッフルして「もののけ姫」を披露されてましたが、あれは皆さんのアイデアで?
DAICHI そうですね。「楽器をシャッフルしてみたら面白いんじゃない?」って。
──ほかのメンバーの楽器を演奏してみて、いかがでしたか?
DAICHI 俺はギターをやったんですが、見える景色が違うのが新鮮でしたね! ドラムだと普段は動けないですし。あと、GOROの叩くドラムを聴いて「ドラムってこんなふうに聞こえてるんだ。ドラムって大事なんだな」っていう発見がありました(笑)。でもギターも楽しいね。
GORO 楽器は何をやっても楽しいなって思ったよね。
DAICHI ホントにそう。新たな楽しみを発見しました。
──GOROさん、ドラムはどうでしたか?
GORO 爽快ですね! 最初は思うように体が動かなかったんですけど、ある程度できるようになってきてからがすごい楽しくて。シンバルやスネアを叩きながら「ドラムって気持ちいいな」って思ってました。でもうまく力を抜く方法がわからなくて、腕がめっちゃ疲れた(笑)。ドラムも奥が深いなって思いました。
DAICHI 「もののけ姫」のドラムってけっこう難しいんですよ。だからGORO、よく間に合わせたなあと思って。
GORO 俺はDAICHIにギターソロのある曲をやってほしかったよ。
DAICHI それはだいぶ時間かかりそうだな(笑)。
──HIROKIさんはいつもと同じベースだったけど、途中から演奏を放棄してメインボーカルに専念してましたね。
HIROKI そう、楽しくなっちゃって途中からベースを置いたんですけど、やっぱベースがないと体が軽くて軽くて!「俺、なんでもできそうだ!」って思いました(笑)。
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- ニューシングル「解」 / 2015年11月18日発売 / STARCHILD
- 期間限定盤 [CD+DVD] 2484円 / KICM-91636
- アニメ盤 [CD] 1296円 / KICM-1637
- 通常盤 [CD] 1296円 / KICM-1638
期間限定盤CD収録曲
- 解
- バンヴィーナス
期間限定盤DVD収録内容
- 解 Music Clip
- 「カスタマイZ 真夏の“お遍路×Returns”小豆島88ヵ所めぐり」ドキュメント映像
アニメ盤CD収録曲
- 解
- バンヴィーナス
- 解 TV Size
通常盤CD収録曲
- 解
- バンヴィーナス
- 絆の音楽(オト)
カスタマイZ(カスタマイズ)
スターダストプロモーションに所属する「EBiDAN」メンバーで結成された、「アニソンで天下を獲る!」をモットーに活動するロックバンド。「ハレ晴レユカイ」「もののけ姫」のカバーや、多数のライブ出演で注目を集めるも、2013年8月に解散を発表。その後メンバーのGORO(Vo, G)、HIROKI(B)、DAICHI(Dr)の3人は再始動を目指し、ボーカルにHAMAを迎えて4人体制のバンドとして活動を再開する。このタイミングでバンド名の表記を「カスタマイズ」から「カスタマイZ」へ変更した。2014年3月にキングレコード内のレーベル・スターチャイルドと仮契約の調印式を行い、6月に本契約をかけたライブに臨むも、条件を満たせず惜しくもメジャーデビューを逃す。8月にはデビューの再チャンスとして“メジャーデビューしたい”シングルと銘打ったニューシングル「Life and death」をリリースした。2カ月以上にわたって行った、108カ所の店頭を巡るイベントツアーの成果が認められ、2015年2月にシングル「一筋の光明」でスターチャイルドよりメジャーデビューを果たす。同年6月にはテレビアニメ「シドニアの騎士 第九惑星戦役」のエンディングテーマ「鎮魂歌 -レクイエム-」をメジャー2ndシングルとしてリリース。11月にテレビアニメ「K RETURN OF KINGS」のエンディングテーマを表題曲とする3rdシングル「解」を発表した。