言葉に宿るつんく♂っぽさ

9太郎　歌詞の中に「大人の事情でなかったことになんてされぬように」という一節があるんですけど、実際に福田さんの活動であったことなんですか？

福田　それはまあ……いっぱいありましたね（笑）。

TAKA　いっぱいあるんですね。

福田　歌う予定だった曲がいつの間にかなくなっていたこともあったし。でもそれってCUBERSさんにもあるんじゃないかな。

優　僕らの場合、そんなに大きいことではないんですけど、確かにありますね。「あれ、あの話どうなったんだっけ？」みたいな。

9太郎　福田さんはハロプロの中でもちょっと強めの発言をする方だったじゃないですか。

福田　はい。

9太郎　だからきっとそういう反骨心みたいな感情がこの歌詞に表れているのかなって。

福田　私、落ち込んでるときとか、何かにムカついてるときのほうが歌詞がスラスラ書けるんですよ。

TAKA　え、じゃあ「Yeah! 僕らは変わらない」を書いたときもムカついていたんですか？

福田　例えば「愛を確かめる為に わざと傷つけ合うだなんて」という歌詞のところ。握手会で推し変を匂わせてくるファンの方っているんですよ。推し変するつもりないくせに。

9太郎　気を引きたいからそう言ってるわけですよね。

福田　そう。あとSNSで気になるアイドルを傷付けるような発言をする人も、どんどん増えてきていると思う。それが本当は応援する気持ちの裏返しだった、みたいな話ってすごく多いんですよ。なんで素直に応援できないんだろう、みたいなことを考えながらお風呂場でバーッと書いたのが「Yeah! 僕らは変わらない」の歌詞ですね。

TAKA　僕らは一度だけみんなで作詞をしたことがあるんですけど、そのときは何から手を付けていいか全然わからなくて。福田さんは作詞をするときにまず何から始めるんですか？ 例えばタイトルって先に決めたりするんですか？

福田　タイトルはいつも最後に決めますね。私は感覚的に言いたいことがバーッと書けるタイプではないので、思い付いたことを常にメモするようにしているんです。だから作詞をすると言っても、過去に残したメモをもとに書きたいことをじっくり考えていくことが多くて。

春斗　福田さんの書いた歌詞の中で「愛は統計学じゃない」という言葉に感動しました。こんな素敵な言葉がどうやって出てくるんだろうって。

優　明るい曲調でするっと聴ける曲なんですけど、実は歌詞に「社会の不条理 理不尽に目を瞑る」とか「時に僕の正義が 誰かを苦しめる」とか、強いメッセージ性が込められた曲なんですよね。そこもすごいなと思いました。

福田　もともとそんなに本を読むタイプでもなかったし、ボキャブラリーも少なかったんですけど、以前家入レオさんが「本を読んで感想文を書く癖を付けたほうがいい」とおっしゃっていたのを聞いて、本を少しずつ読むようになったんです。今挙げていただいた「愛は統計学じゃない」という言葉は、私が個人的に好きな占いのことをいろいろ調べているときに思い浮かんだ言葉でした。占いは一般的に統計学だと言われるんですけど、例えば誰かを思う気持ちは特別なものなはずだし、これは自惚れじゃなく、私自身もCUBERSの皆さんも統計的なものに収まらないような人生を歩んでいるんじゃないかなと思って。いつか歌詞に使おうと思っていたので、CUBERSさんの歌詞に使ってみました。

TAKA　ありがとうございます。曲のタイトルはどうやって決めたんですか？

福田　いつもタイトルを決めるのに苦労するんですけど、この曲はわりとすぐ「僕らは変わらない」をタイトルにすることは決まっていて。スタッフさんと話していたら「『Yeah!』を付けたらちょっとつんく♂さんっぽくなるかも」というアイデアが出てきて、スパイスとして「Yeah!」を付けてみました。

9太郎　つんく♂さんっぽさ、すごくわかる。

福田　CUBERSさんの「メジャーボーイ」の歌詞の中で「都市伝説」と書いて「ふしぎ」と読ませる部分があるんですよね。こういうありえない当て字をするのがつんく♂さんのすごいところだと思っていて。こういう歌詞が書けるようになるくらい、たくさんの実績を積みたいですね。

新しいアイドルシーンを作るために

──ここまでは作詞家・福田花音としてお話を伺っていましたが、福田さんは3月にZOCの一員として活動することを発表して、ファンを驚かせました（参照：ZOCに新メンバー・巫まろ加入、新体制による「SHINEMAGIC」）。せっかくなので、福田さんのアーティスト活動についても伺えればと思いますが……。

9太郎　実は発表の数日前に、雑誌の対談で福田さんとお会いする機会があったんですよ。そのとき「これからどうするんですか？」と伺ったら「どうしようかは決めてないんです」って、すごく澄ました顔で言われたんですよ。そうしたら数日後に「ZOC加入」ですよ。もう本当にビックリしちゃって。

福田　取材をしてくださったライターさんもすごくお世話になっていた方だったので現場で言いたかったんですけど、逆にみんなを驚かせたいという思いも強くて。必死に黙っていました。

9太郎　さすがだなあと思っちゃいました。

福田　でも「音楽に携わっていきたい」というのは、そのときも話していたんです。

9太郎　確かにお話ししていました。でもまさかZOCに加入してアイドルとして復帰するとは……。

福田　思わなかったですよね（笑）。私が前にアイドルをやっていたときにネットでは“25歳定年説”みたいなことをすごく言われていたんです。実際にはそんなものなくて、年齢が理由で卒業を勧められたりすることもなくて。なんて言うか、みんな年齢に縛られすぎているんですよね。私は今25歳ですけど、年齢関係なく自分が自分のままで評価される人間になっていきたいなと思うし、新しいアイドルシーンを作りたいという思いがあって、ZOCとして活動させてもらうことにしたんです。

綾介　自粛期間の真っ最中の加入だったので、思うように活動できなくて大変だったんじゃないですか？

福田　それこそZOCに加入してからライブができていないので、ZOCのファンの方にまだお会いしたことがない状態なんですよね。まだSNSを通じてしかファンの方との交流ができていないから「早く会いたいな」という気持ちが募っています。ただこういう状況のときに何をするかで自粛が明けたあとのアイドル人生が決まるとも思っているので、自分で企画動画やMVを作って投稿したり、今だからできることを常に探してやるようにしています。もっとできることを増やしたいですね。

TAKA　僕も家にいてできることはなんだろうと考えて、いろんなことに挑戦する時間になりました。朝起きてストレッチをするとか、生活習慣でいろいろ改善できた点もあるので、この自粛期間をきっかけに自分の中にいい変化をもたらせるように努めてました。

9太郎　僕は最初、けっこう落ち込んでたんですよ。リリースイベントが途中でなくなっちゃって僕も寂しかったし、ファンの方々も寂しい思いをしているんだろうなと思って。でも僕が落ち込んでる姿を見せると、ファンの方も落ち込んじゃうし、心配しちゃうから、僕のほうからみんなのモチベを上げていかなきゃと思ったんですよね。だから少しでもみんなのモチベが下がらないように、1人で勝手にモチベ維持活動をしてました（笑）。

春斗　みんなすごいね。僕はのほほんと過ごしてました。

一同　（笑）。

9太郎　自粛期間中に春斗くんにふざけてテレビ電話をかけたんですよ。それがうれしかったのか、翌日に春斗くんから電話が来るようになって。しかも春斗くん、通話を引き延ばして長電話しようとするんですよ。

春斗　え!? そんなふうに思ってたの？

9太郎　ひさしぶりに話したとき、春斗くんがメチャクチャうれしそうで。なんか子犬みたいにはしゃいでたんですよね。子犬と遊んでる感覚でした。

春斗　子犬と遊んでる感じだったのかよ！ なんかムカつくわー（笑）。

──最後にCUBERSと福田さんそれぞれに今後の意気込みを伺えればと思います。

TAKA　もしかしたらこれからも大変な時期が続くかもしれないけど、こういうときだからこそできることをCUBERSらしくやっていきたいと思うんです。今日お話を伺って、福田さんに作詞していただいた「Yeah! 僕らは変わらない」という曲は、このご時世だからこそ届けることに意味がある曲だと思ったし、歩みを止めずに活動していきたいですね。ライブができる時期が来たら、またみんなと笑顔で会いたいと思います。

福田　私はまだZOCに加入したばかりで何もできていないので、早くグループに恩返しがしたいんです。今はみんなに引っ張ってもらいっぱなしなんですけど、ちゃんと私もZOCを引っ張っていけるように早くなりたいですね。