小玉ひかり「ドラマチックに恋したい」でメジャーデビュー!元気を与えるシンガーでありたい、今の彼女を作ったもの (2/2)

声優出演アニメを泣きながら観る

──2017年頃から音源を精力的にリリースし、2020年には初ワンマンを経験されました。当時、順調に歩を進めている実感はありましたか?

初ワンマンの頃はまだ学生だったので、日々を忙しなく過ごしていた記憶がありますね。ただ、ワンマンはコロナ禍で無観客だったので、その悔しさはありました。カバー動画を上げたり、コンスタントにオリジナル曲をリリースしたり、できることをどんどんやっていましたけど、はやくライブで直接歌を届けたいという気持ちが強くなっていって。動画を観てくださる方の人数が少しずつ増えている実感もあったので、そこにはすごくうれしさを感じつつ、でも同時に、私が憧れていた絢香さんや宇多田ヒカルさんは10代の頃にデビューされているので、自分に対しての焦りもあった気がします。

小玉ひかり

──2021年にはテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」において、登場キャラクターであるグレイスの歌唱パートを担当し、今年放送のテレビアニメ「絆のアリル」ではクリスというキャラクターの声優を務めました。

すごくありがたい機会をいただけました。「Vivy -Fluorite Eye's Song-」に関しては胸熱なシーンで私の歌を使っていただけたので、泣きながらオンエアを観るくらい感動してしまって。私は昔から映像作品に音楽人として携われたらいいなという思いが強くあったので、起用していただけたのは本当にうれしかったです。

──声優に興味があったんですか?

舞台や演劇に興味があるんです。それで、たまたま「絆のアリル」の声優オーディションを受けたところ、役をいただくことができて。本当に右も左もわからない状態でのアフレコはなかなか大変でしたけど、そこでキャラクターのことをしっかり理解して声を当てさせていただいた経験は今後、もし何かアニメのタイアップで曲を書かせていただくことになったときに生かせそうな気がします。

「カノかの」で新しい引き出しが開いた

──そして今回、シングル「ドラマチックに恋したい」で念願のメジャーデビューを果たすことになりました。

ずっと願っていたことではありますけど、「まさかこんな日が来るとは!」という感覚もあって。まだあまり実感がないですけど、あきらめずに続けて来てよかったと思います。とはいえ、ここはスタートラインでしかないので、気持ちを新たに切り替えて、小玉らしくがんばっていきたいですね。今までは友達にも「私、シンガーソングライターやってて」と言うのが恥ずかしかったんですよ。でもこれからはどんどん言っていきたいです! それがプロ意識を持つということでもあると思うので。

──シングルの表題曲は、放送中のテレビアニメ「カノジョも彼女」Season2のオープニングテーマになっています。メジャーデビューにふさわしい、ハッピーなテンションを持つポップチューンですね。

アニメの制作サイドから「ヒロインたちの思いを乗せた、明るいポップな曲を」というオーダーがあったので、アニメのSeason1を観たり、台本を読んだりしながら、物語の世界観に合わせたポップチューンをいくつか提出させていただきました。その中から選んでいただいたのが「ドラマチックに恋したい」で。アニメのストーリーに寄り添って曲を書くのは初めてだったんですけど、自分の中からいろんなメロディがどんどん湧いてきて、めちゃめちゃ楽しく作らせていただきました。

──「カノジョも彼女」は主人公の直也がいわゆる多重交際をするストーリーですが、この曲の歌詞はすごくピュアな恋心を歌った内容になっています。

「カノジョも彼女」はすごく奇想天外なストーリーだし、リアルで直也みたいな男子を好きになる子がいたら本気で止めたくなるとは思うんですよ(笑)。でも、作品の中での直也とヒロインたちの関係性はまったくドロドロしていないし、みんな純粋でかわいいんです。なので、4人のヒロインの気持ちを軸にしつつ、Season2でより深く感情が描かれていく紫乃ちゃんというキャラクターのことを強く思いながら歌詞を書いていきました。

──サウンドに関してはデモの段階で明確なイメージがあったんですか?

はい。ドラムの雰囲気やイントロの印象的なフレーズはデモの段階から入れていて。それをもとにアレンジャーの板井直樹さんが素晴らしいマジックをかけてくださいました。今までやりたくてもなかなかやれなかったラップ調のパートにも挑戦することができたのがうれしくて。「カノジョも彼女」とのご縁で新しい引き出しを開けてもらえました。

──ラップパートを含め、ボーカルレコーディングはいかがでしたか?

レコーディングに立ち合ってくださった板井さんからディレクションをいただきつつ、基本的にはずっと笑顔で歌っていました。ラップの部分に関しては、自分的にちょっと強気なかわいい女の子を意識して歌ってみたりとバランスを模索しながらレコーディングしました。

──小玉さんは楽曲ごとに多彩な声色を使い分けるタイプですけど、この曲が持つポップな明るさは最大の魅力だと思いました。

ありがとうございます。確かにこの曲のポップさは、ピンクの髪をしている今の私のイメージにピッタリだなって自分でも思いました(笑)。

──楽曲の反響は小玉さんのもとに届いていますか?

アニメをきっかけに小玉ひかりを知ってくださった方がたくさんいらっしゃるのがすごくうれしいですね。私はけっこうエゴサするんですけど(笑)、「曲が頭から離れない!」みたいなコメントもあったりして。今まで届いてなかった層の方たちにも届いてることを実感しています。

小玉ひかり

女の子の未練と冬の匂いのどバラード

──シングルには「今夜君と、」「淡雪」というタイプの異なるカップリング曲2曲も収録されています。

今作は恋をテーマにしようと決めていたので、カップリングの2曲もラブソングになっています。「今夜君と、」は、好きになってしまった人のことがどうしても忘れられなくて、時間を巻き戻したくなる女の子の気持ちを描きました。リアルな歌詞と、ちょっと今っぽい雰囲気のサウンドが気に入っています。夜中に散歩しながら聴いてもらったりするといいかな、なんて思います。

──「淡雪」のほうはどうでしょう。

「淡雪」の作曲はFm yokohamaの番組「BREAK IT DOWN」でご一緒しているDJのDickeyさんにお願いしました。今まで季節感のある曲を書いたことがなかったので、冬の匂いのする、しかも“どバラード”を作れたことがうれしいですね。これからの季節にたくさん聴いていただきたいです。きっと壮大に広がる雪原のような素敵な光景が想像できると思います。

──ちなみに、自分以外の人が作曲した曲を歌うこともけっこうあるんですか?

Dickeyさんには以前にも1曲書いていただいていて、今作が2曲目なんですけど、それ以外にそういう機会はないですね。ただ、ほかの方が書いた曲に歌詞を乗せると、言葉選びや言葉のはめ方で新しい引き出しが開く感覚があるんですよ。さらに言えば、私は人と音楽を作ったり演奏したりすることが大好きなので、機会があればコラボもできたらいいなと思っています。昔から好奇心旺盛なタイプなので、いろんなことに挑戦していきたいですね。

小玉ひかり

アンジェラ・アキさんと高橋優さんにお礼を伝えたい

──来年1月には小玉さんが所属するMiCLOVER主催のフェスが開催されることも決まっていますね。

はい。私としては、そこが直近での一番大きなライブになると思うので、改めて「デビューしたぞ!」っていう小玉の今の姿をしっかりお見せしたいですね。

──MiCLOVERには多彩な方々が所属しているので、そこでも大きな刺激を受けそうですよね。

そうですね。皆さん温厚で優しい方々ばっかりなんですよ。同世代でいうと、シユイちゃんとsomeiちゃんはすごく仲よくしていただいているし、先輩のhalcaさんやCHiCOさんにもよくしていただいています。特にCHiCOさんは個人的にずっと曲を聴いていた方だったので、こんな形でお会いできるとは! 皆さんからの刺激を受けて、ナチュラルに「もっとがんばろう!」という気持ちになっています(笑)。

──今後の目標は?

来年以降はライブ活動をどんどんやっていきたいです! 今までは東名阪くらいしか行けなかったけど、ここからは全国各地を回れるようになれたらいいなって。少しずつ多くの方に自分の歌を届けていくことで、自然な流れで大きなステージに立てるようになりたいです。あと、いつかどこかでアンジェラ・アキさんと高橋優さんにお会いできたらいいな。直接お礼を伝えたいです!

小玉ひかり

ライブ情報

LAWSON premium event MiCLOVER FES. 2024

2024年1月7日(日)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
<出演者>
CHiCO / halca / シユイ / 小玉ひかり / somei

プロフィール

小玉ひかり(コダマヒカリ)

2000年生まれのシンガーソングライター。14歳で音楽活動を開始し、YouTubeに歌ってみた動画や弾き語り動画を投稿する。ソロ活動の傍ら、2021年までアカペラサークル・WHITEBOX、2023年5月まで音楽ユニット・ぷらそにかに所属していた。2021年7月に1stアルバム「ヒロイン症候群」をタワーレコード限定でリリース。同年よりFm yokohamaの番組「BREAK IT DOWN」のレギュラーDJを務める。2023年春に放送されたテレビアニメ「絆のアリル」にてメインキャラクター・クリス役の声優を担当。11月にミュージックレインよりメジャーデビューシングル「ドラマチックに恋したい」をリリースした。