- パーソナリティ
- 菅野結以
無駄を省いた行動が一番無駄な気がした
──もう1つの表題曲である「夢の続き」は少年時代と今を比べたような歌詞ですが、長野で過ごしていたときの思い出が投影されてるんでしょうか?
そうですね。この曲を書いたのは、ちょうど東京に出てきて半年ぐらい経ったときで。バイトして、帰って来て曲を書いて、ご飯を食べて寝て、たまにライブするという毎日だったんですけど、「つまんないな、なんでこんな日々なんだ」と思ってたんです。「こんな単調な日々を過ごしていていい曲を書けるわけないし、そもそも俺は何をしに東京に出て来たんだ」みたいな。ただ毎日を消化している、あとに何も残らないような日々だったんですよ。曲数がないと後々つらくなるからひたすらに曲を書いてたんですけど、なんの発見もなくて。
──そうだったんですね。
そういうときに少年時代を思い出して。子供の頃は時間に追われてやることと言えば宿題ぐらいで、家に帰ったらランドセルを玄関にほっぽり投げて友達の家に行って夕暮れどきまで遊んで、ぐちょぐちょになった靴で帰ってくるみたいな日々だったんですよ。日常の中の違和感を放っとけなくて毎日何かしらを見つけて。それが大人になっていつの間にか好奇心がなくなっちゃって、失敗もしなくなるけど、ただこなすだけの毎日で……。
──めちゃめちゃわかる……(笑)。
すごくブラッシュアップされた行動なのかもしれないけど、無駄を省いた行動が一番無駄な気がしてきたんですよ。
──無駄のない日々って本当に退屈ですよね。
僕は大人になっても冒険というものはできると思っていて。1本違う道で帰ったり、最寄りの1駅前で降りたり、知らないお店に入ってみたり。もしかしたら自分の人生を変えるようなすごい人に出会うかもしれないし、僕らは無駄のない日々の中でそういった機会をなくしちゃってるんじゃないかって思うんです。「夢の続き」はそういったことに気付いて書いた曲です。
──大人になると初めての経験が減っていくから、エキサイティングな気持ちがなくなるんだと思うんですよね。「それでも新しい冒険に出れるよ」という須澤さんの思いを、最後の「また新しい冒険へ行こう」と2回繰り返してるところに感じました。自分に言い聞かせてるみたいに。
「遊び心をずっと持っていたい」という気持ちを忘れていたからこそこの歌を書けましたし、この歌を歌うたびに冒険心を駆り立てられます。大人を少年時代にタイムスリップさせる曲なので、毎日時間に追われて無駄なく動いてる人にこそ聴いてほしいですね。
──私、初めてロンドンへ行ったときに、なんて素敵な無駄であふれた街なんだって思ったんですよ。そこらじゅうにアートが転がっていたり、こういう景色はきれいに整えられてる日本にはないなと。「この感覚を忘れないようにしたい」と思ったことを「夢の続き」を聴いて思い出しました。
曲を聴いてロンドンが出てきましたか?(笑)
──はい、ロンドンの風景を思い出しました(笑)。この曲にしても、カップリングの「君は誰かのヒーロー」や「友だち」にしても、シングル全体を通して“つながり”を描いた曲が多いですよね。
そうですね。でも、シングルを“つながり”というテーマでくくろうとしたわけではなく、いつも歌詞を書くときに“つながり”みたいなものを自分の中に思い描いていて。それが意図せずに今回のシングルにも出てきたんだと思います。
ドームの真ん中で大の字になって寝たい
──メジャーデビューが決まった今も路上ライブはされてるんですか?
はい。名古屋時代からずっとやってます。今も池袋、吉祥寺、川崎とかで。ほかにもいろんなところでやりたいんですけど、名古屋のときよりもやりづらいんですよ。すぐに止められちゃったりして。「自分の夢を誰しもが応援してるわけではないんだな」と思いました。
──それでも路上ライブを続けるのはどういう理由で?
僕の曲をまだ1回も聴いたことがない人に、歌を聴いてもらいたいからですね。でもやっぱりすぐ止められるんですよ。すぐに通報する人がいるので。「路上ライブってやっちゃダメなのわかってる?」って警官に言われるんですよ。それで「ああ、そうすね……」って毎回身分証明証を出して、「誕生日は? 電話番号は?」「須澤紀信って珍しい名前だね。本名?」って聞かれて。「いや、証明証だから本名ですよ(笑)」って。
──大変そうですけど、ちゃんと自分の足で活動している感じがいいですね。メジャーデビューしたあとの目標や夢はあります?
一番大きな夢で言いますと、10年後か15年後か20年後か、何年後になるかわからないですけど、ドームでライブをやることですね。
──大きい!
名古屋にいるときに小田和正さんやミスチルさんのライブを観て、もし僕がドームでライブをできるようになったらアンコールで花道の先のステージに出てきて、そこに大の字で寝たいと思ったんです。客席から観てるときは、ドームの中心にアーティストがいるじゃないですか。僕はその風景を逆から観てみたいんですよ。大の字で寝っ転がって「この空間は全部僕のもの!」って。
──ちゃんと「アンコールで出てきて」というところまでプランが決まってるんですね。
想像し過ぎてだんだんイメージがくっきりしてきちゃって、「もう俺、ドームに立ったんじゃないか」って錯覚しちゃいます(笑)。まあ、それは一番遠い夢で、一番近い夢や目標はこのメジャーデビューシングルができるだけ多くの人に届くことですね。世に出てたくさん旅してきた「はんぶんこ」が僕に返って来てほしいです。
──それが続いていった先に、ドームで大の字がある?
はい(笑)。そのときはぜひ観に来てください。
──「来るぞ、来るぞ!」ってアンコールのときにワクワクして待ってます。
お願いします!
- 須澤紀信「はんぶんこ / 夢の続き」
- 2017年10月4日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
- 収録曲
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- はんぶんこ
- 夢の続き
- 君は誰かのヒーロー
- 友だち
- はんぶんこ(instrument)
- ライブ情報須澤紀信「はんぶんこ / 夢の続き」レコ発ライブ
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- 2017年10月11日(水)愛知県 SPADE BOX
- 2017年10月17日(火)東京都 MANDALA
- 2017年10月30日(月)愛知県 CLUB 3STAR IMAIKE
- 2017年10月31日(火)愛知県 CLUB 3STAR KURUMAMICHI
- 2017年11月2日(木)愛知県1 名城大学薬学
- 2017年11月3日(金・祝)愛知県 専門学校名古屋ビジュアルアーツ
- 2017年11月6日(月)東京 恵比寿天窓.switch
- 2017年11月24日(金)愛知県 CLUB UPSET
- 2017年11月25日(土)東京都 吉祥寺Sutekina
- 2017年11月30日(木)東京都 下北沢CLUB Que
- 須澤紀信(スザワキシン)
- 長野・松本市出身のシンガーソングライター。5歳のときにバイオリンを習い始めた。少年時代は野球に熱中し、地元の高校で野球部に入部するも夢半ばで退部。転校先の全寮制の高校で先輩からアコースティックギターを譲り受けたことがきっかけで作曲をスタートさせた。愛知県の音楽専門学校へ進学後、2014年1月にヤマハの音楽オーディション「The 7th Music Revolution」に参加。「JAPAN FINAL」に進出した。2017年10月にヤマハミュージックコミュニケーションズより両A面シングル「はんぶんこ / 夢の続き」をリリースし、メジャーデビューを果たした。
- 菅野結以(カンノユイ)
- 雑誌「LARME」「with」などで活躍するファッションモデル。10代の頃から「Popteen」「PopSister」の専属モデルを務め、カリスマモデルと称される。2010年8月に初の著書「(C)かんの」を出版し、その後最新スタイルブック「yuitopia」まで6冊の書籍を発売。アパレルブランド「Crayme,」、コスメブランド「baby+A」のプロデュースおよびディレクションを行っているほか、TOKYO FM「RADIO DRAGON -NEXT- 」、@FM「LiveFans」では豊富な音楽知識を生かしてパーソナリティを担当している。TwitterやInstagramなどSNSの総フォロワー数は約100万人におよぶ。2017年11月に初の写真集「Halation」を刊行。東名阪で発売記念イベントを行う。