- パーソナリティ
- 須賀健太
「Coming Next Artists」第13回に登場するアーティストは、2人組音楽ユニットのイトヲカシ。昨年9月にメジャーデビューした彼らはメディアで顔出しを行わず、キャッチーなメロディと力強い歌声を武器に音楽リスナーを魅了し続けている。今回は俳優の須賀健太がインタビュアーを担当。11月3日発売の両A面シングル「アイオライト / 蒼い炎」や、モノ作りへの思いなどについて話を聞いてもらった。
取材 / 須賀健太 文 / 近藤隼人 撮影 / 須田卓馬
- イトヲカシ
- 伊東歌詞太郎(Vo)と宮田“レフティ”リョウ(B、G、Key)による2人組音楽ユニット。中学時代からの同級生であり、初めて結成したバンドのメンバーである2人は、学校を卒業後に別々の音楽活動を経て再会し、各々が培った音楽を一緒に発信すべく2012年にイトヲカシを結成した。ユニット活動と並行してインターネットへの音楽の投稿、さまざまなアーティストへの楽曲提供やプロデュース、サポートミュージシャンなどの活動をそれぞれが個々で行い、特に動画サイトにおいてその歌声とメロディセンスが大きな話題を呼び、投稿動画総再生数は2500万回、Twitterフォロワー数は併せて70万人を超える。またライブ活動も積極的に展開。2013年以降は全国路上ライブツアーを実施しており、2013年3月から行われた「イトヲカシ全国路上ライブツアー~はるかぜのやくそく~」では、31カ所で1万2000人以上を動員。2年をかけて、個人でのライブも含めた形で全都道府県での歌唱を達成した。2016年よりイトヲカシの活動を本格化。同年9月にメジャーデビューシングル「スターダスト / 宿り星」、2017年6月にメジャー1stフルアルバム「中央突破」を発表した。11月にメジャー3rdシングル「アイオライト / 蒼い炎」をリリースする。
スタジオぴえろ感を意識してる
──今回は3rdシングル「アイオライト / 蒼い炎」についてお話を聞きたいと思います。僕、「蒼い炎」がアニメ「ブラッククローバー」のエンディングテーマということが気になっていて。
伊東歌詞太郎 おっ、もしかして「ブラッククローバー」がお好きなんですか?
──僕、「週刊少年ジャンプ」で連載してるマンガ「ハイキュー‼」が原作の舞台に出てまして。それで、ジャンプを毎週読んでて「ブラッククローバー」も好きなんです。「蒼い炎」を聴いて作品に合った “ザ・エンディング”な曲だと思いました。「ブラッククローバー」らしいと言うか。
伊東 本当ですか! うれしいです。
宮田“レフティ”リョウ “らしさ”ってすごい大事だからね。
伊東 ね。曲があまりに作品と乖離してたらやっぱり失礼だし。
宮田 アニメのエンディングやオープニングテーマを作るとき、映像の最後にアニメ制作会社のスタジオぴえろのロゴがバンッって出る感じを意識するんです。今回も「これ、スタジオぴえろ感あるよね?」みたいな話をしてて。
──スタジオぴえろ感(笑)。
伊東 はい(笑)。“スタジオぴえろ感”があるかどうかは、けっこう大事にしてるところです。
宮田 曲を聴いたときに映像が浮かぶっていう。
──じゃあ、僕はまさにその“スタジオぴえろ感”を感じましたね。
伊東 やった!
宮田 やっぱ、ぴえろ感あるんだー!
胸を張ってJ-POPと言える音楽を
──以前、イトヲカシさんの曲を聴いていたときに「学生時代に聴きたかったな」と思ったんです。学校の帰り道とかに河原で、日が傾いてきて暗くなるまでの時間に。
伊東 ちょっと切ない感じのシチュエーションなのかな。
宮田 何を聴いたんですか?
──1stアルバムの「中央突破」ですね。めちゃめちゃ直球な曲だなと。実は僕、スレてる部分があって、王道の曲を100%受け入れたくないという感覚があるんです。
伊東 王道ね。なるほど。
──でもイトヲカシさんを聴いてるときには、そういう感覚がまったくなかったんです。歌詞でストレートなことを言ってたり、メロディがキャッチーだったり、どの世代にも受け入れられる音楽だと思うんですけど、すごく厚みがあると言うか。
伊東 そういう感覚を持ってる人にもよく思ってもらえるのは、正直とてもうれしいです。ありがとうございます。
──仕事が忙しい時期に聴いたら、もう泣くわコレ、みたいな。お二人としては楽曲を作るときに王道ということを意識されるんですか?
伊東 どちらかと言うと、自分に正直に作品を作らないとダメだと思っています。「変わったことしようぜ」とか「もっとエッジの効いた言葉にしようぜ」とか、そういう話は極力しないようにしていて。「自分が思っていること、出したい音をそのまま出していこうぜ」って作った結果2人の思っていることがぶつかり合う場合は、どちらかが折れるのではなくて、2人共丸くなれる部分を探します。それが結果として王道の音楽になってるんじゃないかな。
宮田 奇をてらわないでモノ作りをしたいんです。もちろん世の中にはいろんな音楽があるし、フックがあるものや、エッジが効いたものを否定するわけじゃなくて。そういう音楽も好きなんだけど、2人でやっていく音楽に関しては、胸を張ってJ-POPと言えるようなものを作りたいという気持ちがすごく強いです。
──そうなんですね。僕はイトヲカシさんの「あなたが好き」が大好きで。
伊東 おっ、なんだ。ストレートな曲も好きなんじゃん! たぶん3年後くらいには、もうスレてないよ。須賀くんはそんな人じゃない(笑)。
宮田 みんなあるんだよ。そういう時期(笑)。
川に行っちゃうアーティスト
──イトヲカシさんの音楽ってどの年代にも響くし、すごいなと思っています。
宮田 いやー、うれしいですね。やっぱり普遍的な、100年後にも残る音楽にしたくて。ジャンルによってはムーブメントがあるじゃないですか。あのときこういう音楽を聴いてたなという思い出の1つにはなるけど、僕らは100年後も色褪せないものを作りたいなと思っています。
──確かに多くの音楽にはブームがありますよね。ちょっと上の世代の方とカラオケ行くと、何を歌っていいかわからないですし。
伊東 ちなみに好奇心で聞くんだけど、そういうときは何を歌んですか?
──KICK THE CAN CREWさんとかですね。KREVAさんは中学の先輩なんですよ。地元が同じ江戸川区で。
伊東 僕らの「はちみつ色の月」は江戸川で作ったんです。故郷がそっちの東京の下町だから。
──へー! 作曲に取り掛かるとき、曲を作る場所を決めることってあるんですか?
伊東 あるある! めっちゃあります! 僕は足立区で生まれて江東区で多感な時期を過ごしたので、あの辺の下町の雰囲気が大好きで。前はそういうところに行かないと曲が書けなかったんです。今まで作った曲の7割ぐらいは江戸川か隅田川で作りました。1割は多摩川かも(笑)。
──川に行っちゃうアーティストですね。
伊東 川に行っちゃうアーティスト(笑)。間違いない。
宮田 クリエイションってすごく場所に依存すると思っていて。
伊東 それは感じる。須賀くんは演技のイメージを作りやすい場所ってないんですか?
──ロケ地をイメージすることはありますね。「こういうところで撮るんじゃないか」と思い描きながらセリフを覚えて。でも実際にロケ地に行ってみたら、想像と全然違うこともよくあるんですよ。
伊東 なるほど。僕ら曲や歌詞ができるのって、感情が大きく振れたときなんですよ。川に行くといろいろ思い出して、懐かしい気持ちになっちゃって。感情のメーターが振れたときにポロっと曲と言葉が出てくるんです。
──聴いてる側も、そのとき感じた匂いや見てたものを曲に乗せていくじゃないですか。あとで曲を聴くとそのときの匂いを感じたりして。イトヲカシさんには、そういう思い出を乗せやすい曲が多いのかなと思いました。
伊東 あ、うれしいな。歌ってる側も「ああ、この歌詞はあそこで書いたな」と思い出すことがあるんですよ。
宮田 リスナーが情景を思い浮かべるのと同じようにクリエイションしていると言うか。音楽は記憶と結び付きやすいんじゃないかな。
──なんか聴いてる側とつながってる気がしますね。僕は「あなたが好き」を聴いていると、河川敷に座ってた女の子が走り去ってく足元を、スローで撮ってる絵が浮かぶんですよ。
伊東 ミュージックビデオだ! 完全にクリエイターだね!
宮田 それ撮ってほしい!
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堂々と歌える自分を誇らしく思う
- イトヲカシ「アイオライト / 蒼い炎」
- 2017年11月3日発売 / avex trax
- CD収録曲
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- アイオライト
- 蒼い炎
- アイオライト(Instrumental)
- 蒼い炎(Instrumental)
- DVD収録内容
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- 「アイオライト」Music Video