宮川愛李×沙田瑞紀(ねごと)│SNS発のアーティストが追い求める表現力

表現力の限界を超える

──お兄さんのみやかわくんと同様、宮川さんもソロアーティストという道を選ばれました。この理由ってなんだったんでしょう?

宮川 SNS上では兄妹でゆるく活動していたんですけど、お互い目指すアーティスト像や表現の仕方が全然違うので、私個人はこういう表現ができるよ、ということをアピールをしたかったからです。

左から宮川愛李、沙田瑞紀。

沙田 バンドを組もうと思ったことはなかったの?

宮川 すごく憧れたんですけど、楽器をやっている友達が周りにいなくて。高校の帰り道に、ねごとさんとか女性バンドの曲を聴きながら、「私がボーカルで、あの友達はギターで……」と勝手に想像して盛り上がっていましたね(笑)。ねごとさんで初めて聴いた曲は「カロン」で、蒼山さんのささやくような歌声と力強いボーカルが印象的でした。自然と体を動かしたくなるようなメロディで、聴いていて楽しい気持ちになって。歌うときの感情の乗せ方を研究してるんですけど、難しいですね。

沙田 聴いてくれていたんだ、ありがとうございます。ソロアーティストとして、お兄さんから何か影響を受けました?

宮川 照れますね(笑)。兄の周囲の人を引っ張っていくリーダーシップがあるところです。私はアーティスト活動を始めて間もなくて、いろんな人にアドバイスを求めないと不安になっちゃうんですけど、兄は音楽活動において何度も挑戦して、自分1人でアーティストとしての形を作り上げました。そうやって自分の“好き”を貫く姿勢は、すごくカッコいいなと思います。

──初ワンマンを終えて、お兄さんからアドバイスはありましたか?

宮川 私自身「もっとやれると思ってたのに」と悔しい気持ちでいっぱいでした。「どうやって歌えばいいんだろう」と技術面ばかり気にして余計に混乱してしまって。ファンの方への思いがうまく伝わらなかったなと思います。そんなときに兄は「今の限界がわかったなら、それを超えていけばいいじゃん」と励ましてくれました。

変幻自在なボーカル

──6月26日にデビューミニアルバム「スマホ映えの向こうの世界」が発売になりました。

沙田 収録曲どれもよかったです。いろんな声を持っているなと感じたのですが、それは意識してやっているんですか?

宮川 レコーディングのときに曲によって雰囲気を変えたいなと思っていて。どう歌っても単調な声になってしまって、スタッフさんにアドバイスをもらいながら歌いましたね。めちゃくちゃ苦労しました(笑)。

沙田 意図してることがちゃんと伝わってきましたよ。収録曲の振り幅が大きい分、どこを突き詰めても正解が叩き出せそうというか。自分が気持ちのいい歌い方を追求していってくださいね。特に気に入っている曲はあるの?

宮川 どれも気に入っているんですけど、意識せず歌えたのは「スマホ映えの向こうの世界」と「メランコリック」です。ほかの曲は、歌い方についてメモを取りながら曲ごとの世界観が表現できるよう歌いました。

沙田 努力家なんですね。「私はこの歌い方しかできないの」という方もいらっしゃると思うんですけど、愛李さんはすごく柔軟で、感情の乗せ方が上手なんだと思います。スタッフさんやバンドメンバーの方々の気持ちも汲んでフレキシブルに歌われたんでしょうね。実は私も「メランコリック」が超好きです。声がすごく涼やかで、聴き心地がよかった。

宮川 伝わってよかったです。このアルバムでいろんな歌い方ができたなと思う反面、どれが私の正解なんだろうなと悩んでいました。自分で感情を乗せやすい歌を探っていけば、いずれは道が拓けそうです。

沙田 参加されているバンドメンバーが豪華ですね(参照:宮川愛李デビュー作にJazzin'park書き下ろし曲、収録内容&新ビジュアル発表)。

宮川 特に櫻井陸来(B)さん、宮崎裕介(Key)さんは初ワンマンからバンドメンバーとして参加してくださっていて、兄も一緒にお世話になっているんですけど、レベルの高いアーティストさんばかりなのでとても緊張しました。「すみません……歌います……」と申し訳ない気持ちで加わるような感覚だったんですけど、「すごくカッコいい音楽にしたんで、一緒にがんばりましょう」とおっしゃっていただいたおかげで、胸を張って歌うことができました。

──アルバムにはお兄さんのみやかわくんが手がけた「欠落カレンドラ」も収録されています。

宮川 初めてデモ音源を聴いたときは、叫んで歌うような激しい曲調が私の普段の歌い方とかけ離れていたので、歌えるかどうか不安でした。でもきっと兄は、私の歌唱力を信じてこういう曲を作ってくれたと思うので、「歌い上げてみせよう」と気持ちを切り替えてレコーディングに臨みました。歌詞については、入れたいキーワードを伝えてその言葉を兄につなげてもらって形にしていきましたね。実際に歌うときは兄から「この歌には悲しいストーリーがあるから、大切な人を失って、どんどん心が壊れていくのを想像しながら歌ってみて」というアドバイスを受けました。

沙田 表題曲「スマホ映えの向こうの世界」は、SNSを中心に活動されていた宮川さんだからこそ歌える曲だったんじゃないかな。

宮川 SNSで流行っているものに流されず、自分の好きなものを表現したり発信していったりすることこそカッコいいと思っていて。リスナーの皆さんにも、誰になんと言われようと好きなものは好きなんだと伝える勇気を持ってほしいですね。……上から目線になっちゃった(笑)。

SNSで発信する、なんでもできるアーティスト

──先日、工藤大輝(Da-iCE)さんのTBSラジオ「TALK ABOUT」に出演されていましたね(参照:宮川愛李がTBSラジオ「TALK ABOUT」に登場、みやかわくんとの秘密明かす)。出演してみていかがでした?

宮川 私はしゃべることが好きなので、楽しくやらせていただきました。歌を通じて表現の幅を広げて、それを多くの方々に知ってもらいたいので、いずれはテレビ番組に出演したり、いろんなことに挑戦していきたいと思ってます。

沙田 立ってみたいステージはあるの?

宮川 兄が7月19日に初の日本武道館公演を行うんですけど(みやかわくんワンマンライブ「大生誕祭2019 in 日本武道館」。参照:みやかわくん、初の日本武道館公演決定)、武道館でのワンマンライブが決まったときは本当にすごいと思いました。そういう大きな舞台に立つためにも、人前でたくさん歌って経験を積んでいきたいです。

沙田 こういうアーティストになりたいとか、目指すアーティスト像は?

宮川 具体的にはなくて。SNSから音楽活動を始めて、「動画を投稿する人なの? ライブ配信をやる人なの?」と何をやっている人なのか世間に伝わりづらい部分があるなと感じてるんですけど、“SNSで発信する、なんでもできるアーティスト”として多くの人を勇気付けられれば、そういうふわふわした立場でもいいんじゃないかなと思います。

沙田 デビュータイミングだと、周囲から「ああしたほうがいいよ、こうしたほうがいいよ」と言われると思うんですけど、その言葉に惑わされず自分の信念を貫いていけば、これからいいことが連鎖していくんじゃないかなと思いました。初めてのことばかりで不安だと思うんですけど……。

宮川 でも、それがすごく楽しいです。沙田さんのようなプロの方にアドバイスをいただける機会は貴重なので、帰ったらいただいたアドバイスをノートに書き出そうと思います。

イベント情報
宮川愛李「デビューミニアルバム『スマホ映えの向こうの世界』リリースイベント」
(※終了分は割愛)
  • 2019年7月21日(日) 東京都 タワーレコード新宿店 7F イベントスペース
OTODAMA SEA STUDIO 2019 supported by POCARI SWEAT
~渚のメモリーズ 2019~
  • 2019年8月26日(月) 神奈川県 音霊 OTODAMA SEA STUDIO
    OPEN 14:30 / START 15:30