ニューアルバム「Beat in Love」を8月13日にリリースするCLAZZIQUAI PROJECTがナタリーPower Pushに初登場。クールなサウンドとキャッチーなメロディ、そしてメロウなボーカルを武器に、本国韓国のみならず感度の高い日本のリスナーの耳をがっちりつかんでいる彼らが放つ新しいサウンドの全貌はどんなものになるのだろうか。

今回は楽曲プロデュース&アレンジ担当のDJ CLAZZIQUAI、ボーカル担当のAlex、同じくボーカル担当のHoranの3人にインタビューを敢行。ニューアルバムへの思いを中心に語ってもらった。さらにDJ CLAZZIQUAIによる「Beat in Love」全曲解説&試聴、既発アルバムの紹介も掲載。この先フロアでヘヴィローテーションされることになるであろう最先端のサウンドを、この特集でいち早く体感しよう。

取材・文/野口理香

ニューアルバム「Beat in Love」で目指した新しい地平

エレクトロ・ハウスを基盤にした“スペシャル企画アルバム”の完成

——約1年2カ月ぶりのリリースとなる、ニューアルバム「Beat in Love」のコンセプトについて教えてください。

DJ CLAZZIQUAI エレクトロ・ハウスのサウンドを基盤にワークを進めました。特に、エレクトロ・ハウスの特徴である単純なコード進行の上に聴きやすいメロディを乗せるよう努力しました。PVを観てもらえばわかるように、僕らが学生だったころの時代感であるニューウェーブ的な雰囲気や、ややレトロな感じを出しつつも、未来的な感じも表現する、というところへ重点を置いています。

——CLAZZIQUAI PROJECTといえばアシッドジャズやボサノバなどのクールサウンドから、ソウルなどのファンキーな音までを包括したサウンドを奏でることで知られています。今回のアルバム制作において、サウンド面で新しく試みたのはどんなことですか?

DJ CLAZZIQUAI 僕ら的にはあんまりこう、“ジャンル分け“っていうものを意識していなくて。それよりは毎回毎回常に何か新しいものを生み出したい、っていう気持ちが一番強い。このプロジェクト自体のコンセプトでもあるし。それから制作中には、メロディを作り込んでいく時に思い浮かんだ参考音源とか、個人的に好んで聴いているブリティッシュロックの再発見だったりとか、80年代ポップスとか、ニューウェーブとか、自分自身が惹かれている楽曲がかなり良いきっかけになってくれて。そういった部分はところどころに現れているかもしれないです。前作までに比べてよりディープで多彩なエレクトロ・ハウスの方向へは向かっていってるんじゃないかな。

——「Beat in Love」は、韓国で発売された3rdリミックスアルバム「ROBOTICA」の日本バージョンという位置付けかと思います。リミキサーとして、かねてよりお付き合いのあったFPMや大沢伸一、さらに中田ヤスタカ(capsule)やDAISHI DANCEといった豪華メンバーが参加されているのも印象的です。こういったリミキサー陣にはメンバーの皆さんからオファーをしたのでしょうか?

DJ CLAZZIQUAI 以前から縁あってfeat.として向こうの楽曲に参加させてもらったり、リミックスを手がけたり、韓国でのイベントで一緒に出演させてもらっていた関係から、今回リミックスをこちらからお願いすることになりました。それから、このアルバムはちょっと今までの流れから外れてるんです。1stからずっと、アルバムを出した後にセルフリミックス集を出す、という流れだったのですが、今回初めてリミックスをすべて他のアーティストに任せて、僕は新たに7曲をこのアルバムのために書き下ろしました。なので「Beat in Love」はリミックスアルバムというよりは、3rdと4thのちょうどあいだという意味で3.5th、あるいはスペシャル企画アルバムというとらえ方のほうがしっくりくるかもしれません。

——このアルバムで目指したこと、伝えたいことはどんなことですか?

DJ CLAZZIQUAI ずばり“エレクトロ・ハウス”です。

国境を超えて活躍できるメロディのパワー

——「Beat in Love」のPVは、3rdアルバム「LOVE CHILD of the CENTURY」収録の「Prayers」に引き続き、全編CGアニメーションで制作されています。制作にかけた思いはどのようなものですか?

DJ CLAZZIQUAI 常に良い意味で変化していく、違った面を見せたい、というのが一番強いかな。今回のコンセプトを、全体的にうまく表現できるアーティストはいないかなと探してたところ、たまたま若手の映像アーティストの「Digital Pedicure_」(http://www.digipedi.com/)という2人組と出会って。意気投合して、今回のPV制作をお願いすることになったんです。実はこのPVにはちょっとした裏話があって(笑)。“パロディ”というのがコンセプトのうちの1つにあったんですが、ラフを見せてもらったところ、放送コードギリギリで(笑)。やむを得ず修正をしたんです。まぁ、今のでも十分ギリギリかもとも思うんですが(笑)。一番最初のラフはホントにすごくおもしろかったんで、見せられなくて残念ですねー。

——それはいつかアウトテイク集などで見せていただきたいですね(笑)。さて、CLAZZIQUAI PROJECTは、iTunes Storeやwasabeatなどでデジタル配信も積極的に行なっていますが、アーティスト側から見た音楽配信への思いや今後ネット上でやっていきたいことなどがあれば教えてください。

DJ CLAZZIQUAI 僕達自体、初めの一歩がネット上で音源を公開することだったんです。そのネット上で公開していた音源がきっかけとなって、今こうして世に自分達の音楽を発表できているわけで。今は、オンライン上で簡単に音源が探せて聴けるという素晴らしい世の中になりましたよね。ただCDセールスという観点で見ればあまり良からぬ影響を与えているわけですが(苦笑)。それでも世界中の人達に自分たちの音楽をタイムラグなしに広めることも、またメジャーだろうがインディーズだろうが無数の音楽に触れることもできる。この2点はすごく大きい。そして僕もその多大なる恩恵を被っている人間のうちの1人です。僕はWEBデザイナー出身なので、今もネット上で音楽に限らず、常に何かしら発信しています。これからもそうしていきたいです。

——韓国、台湾、香港、日本とアジアをまたに掛けて活躍されていますが、各国でのCLAZZIQUAIの聴かれ方に違いを感じますか?また、それぞれの国での印象深いエピソードなどありましたら教えてください。

DJ CLAZZIQUAI 今のCLAZZIQUAI PROJECTにとって、音楽性のオリジナリティを打ち出すために必要な要素として一番重要だと考えているのが音色のカラー、またはメロディのバリエーションなんです。その基盤にあるメロディが、こうして国境を越えてさまざまな国で受け入れられている、というのはすごく嬉しい。それから、日本に一番多く行ってるんですけど、いつも新鮮な驚きがあります。特に音楽においては、ピンポイントながらも奥が深い。味があるというか。深みがあります。あと、まだ日本以外の国へはライブで行ったことがないので、これからぜひまた廻ってみたいと思ってます。

——ライブの話が出たところで、アルバムの後は生パフォーマンスを見られることを期待してしまいますが、ツアーやライブの予定はありますか?また、日本と日本のオーディエンスに対する感想を聞かせてください。

Alex 秋ごろにプロモーションを兼ねた来日を予定してます!11月くらいかな?日本のファンの方は、いつ行ってもすごく温かく迎えてくれるから、大好きだし。早く日本でライブしたいですね。東名阪以外でのツアーも廻りたいです。

ソロワークとCLAZZIQUAI PROJECTの違い

——Horanはソロプロジェクト「lbadi」やエッセイ集などで、Alexはソロアルバムリリースだけでなくドラマへの出演や料理の腕への注目、そしてDJ CLAZZIQUAIは数々のリミックスワークなど、それぞれの活動も目立ってきています。そこで、CLAZZIQUAI PROJECTでやりたいこと、ソロ活動でやりたいこと、それぞれの活動における目標などありましたら教えてください。

Horan ソロプロジェクトである「Ibadi」というアコースティックバンドを通じての音楽活動が、ゆったりと流れる時間を感じさせてくれる存在だとしたら、CLAZZIQUAI PROJECTは全くその真逆で、さまざまな面においてシャープな緊張を与えてくれるプロジェクトです。その緩急が私には心地よい刺激になっています。もともと私達自体、器を越えたビッグヒットなどは望んでおらず、個々がそれぞれの活動を通して吸収したことをCLAZZIQUAIというフィルターを通して世に発表していければと思います。

DJ CLAZZIQUAI 基本的にリミックスワークの時は、こう言っては誤解があるかも知れないんですけど、気楽に楽しんでやらせてもらってます。手抜きという意味ではなく、そのアーティストを思い浮かべつつ、一緒に遊んでいる気持ちになって作業を進めるように心がけてます。

Alex 僕は、気持ちの上では「ソロ」だとか「これはCLAZZIQUAIだから」というように区別してません。ただ音楽性において表現したい、見せたい面が違うというだけで。「I'm just as a Alex」というスタンス。これは人生においても!

——最後になりますが、ファンとナタリーユーザーにメッセージをお願いします。

Horan ナタリーをご覧の日本の皆さん、もうちょっとでまたお会いできますね!「Beat in Love」ぜひ聴いてみてください。早く日本でライブがしたくてドキドキしてます。これからも応援お願いします! Horanでしたー。

Alex 僕が今韓国で出演している「ウリキョロンヘッソヨ(私達結婚しました)」を始め、いくつかの番組が日本でも放映中なので、ぜひまたチェックしてみてください! See U soon~~~~ yah~

DJ CLAZZIQUAI 今日はありがとうございました。近いうちに日本で会いましょう。ニューアルバムぜひぜひチェックしてみてください。

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プロフィール

CLAZZIQUAI PROJECT
(くらじくわいぷろじぇくと)

DJ CLAZZIQUAIを中心に、AlexとChristinaの兄妹、Horanという3人のボーカルを擁する韓国のグループ。アシッドジャズ、ファンキーハウス、ボサノヴァなどのトラックに透明感のあるボーカルを乗せた、ポップでソウルフル、都会的なラウンジミュージックを生み出している。2004年に1stアルバム「instant pig」、2005年には2ndアルバム「color your soul」をヒットさせ、韓国トップアーティストの地位を築いた。m-flo、FANTASTIC PLASTIC MACHINE、FreeTEMPOらの楽曲に参加するほか、2006年のミニアルバム「Love mode」ではVERBALやPE'Zをフィーチャーするなど、日本人アーティストとのかかわりも深い。