スーツやネクタイもあえておじさんっぽいものを
──工藤さんは仕事に対してどんなふうに考えていますか?
工藤 僕もかなりポジティブだと思います。もちろん不安になるときもありますし、青山を演じるときは、その部分を拾い集めるようにしていました。自分の中にある不安や葛藤をどれだけ集めて、広げられるかが大事だと思っていたので。
──それが映画のリアリティにもつながっているわけですね。ヤマモトのベタな大阪弁もポイントですよね。
小渕 すごく流暢な大阪弁でした。僕は宮崎出身なんですけど、大阪に来たばかりの頃は、大阪弁をうまくしゃべれなかったんですよ。言葉は覚えられても、ノリや間の取り方がわからなくて。福士さんはそこもすごくうまくて。
福士 いえいえ、そんな。
黒田 ただね、こんなにシュッとした大阪の人はいません(笑)。
小渕 ホントだね(笑)。
──福士さんは大阪弁のノリをつかむために、やすきよ(横山やすし・西川きよし)の漫才のDVDを観たそうですね。
福士 監督から「横山やすしさんのノリやツッコミ、その裏にある孤独や悲哀を感じ取ってほしい」と言われて。(笑福亭)鶴瓶さんのバラエティ番組も観させてもらいました。それも監督に勧められたんです。「心にスッと入ってきて、ちょっと強引なんだけど、優しく引き出していくところを観ておいてほしい」って。
黒田 興味深いですね。
福士 役作りのためにバラエティ番組を観たのは初めてですね(笑)。それをどれだけ体現できたかはわからないですが、監督のイメージを理解するためには役立ったのかなと。
工藤 僕は青山を演じるにあたって、リクルートスーツを自分で買いに行ったんですよ。青山のイメージでスーツを選んで、仕事の日も休みの日もそれを着て電車で移動して。リクルートスーツを着ると「前向きにがんばろう」という気持ちになれるんだけど、自分を守る鎧みたいな窮屈さもあるんですよね。そうやって外側から役を作っていったと言いますか。
小渕 外見は大事ですからね。会社員をやっていたとき、仕事用の靴は5足まとめて買ってたんです。月から金まで1日ずつ靴を代えて、均等に履き古したくて。1足だけだと古くなったときに代えがないし、買い替えたときにいきなり新しくなっちゃいますからね。
黒田 その靴のチョイスがおじさんっぽいんですよ。「それ、20代の男の子が履く靴じゃないだろ」っていう。
小渕 スーツやネクタイもあえて歳上っぽいものを選んでましたね。髪型も7:3にきっちり分けて。30代くらいに見えないと、営業先の人は「お子ちゃまが来た」という感じになるので。
黒田 あれも役作りだったのかな(笑)。
会社を辞めたきっかけはNIGOさんの言葉
──この映画は長時間労働、パワハラといったトピックを扱いながら、「人間らしい心とは?」という普遍的なテーマも含まれていて、誰もが共感できる作品に仕上がっていると思います。映画館でこの作品を観て、「心」を聴く方々にメッセージをいただけますか。
小渕 僕自身、会社をポン!と辞めてしまったんです。そのきっかけは「心」のCDジャケットを手がけてくれているデザイナーのNIGOさんが本に書いていた「好きなことをやりたかったら、まず、会社を辞めよ」という言葉だったんですよ。会社員をやりながら黒田と一緒に音楽をやっていたんですけど、NIGOさんの言葉によって「自分が本当にやりたいことは音楽だ」と思って、じゃあ会社を辞めようと。この映画を観る方には「やりたいことがあるんだったら、あきらめないでやってほしい。今置かれている場所がすべてではないんですよ」ということを伝えたいですね。
黒田 どんな職種であっても、与えられた場所、今の場所で一度は本気でやってみるのもいいと思うんです。覚悟を決めてやることで、道が開けることもあるだろうし。全力でやってみて、それでもあかんかったら辞めてもいいと思いますね。
福士 この映画を観てくれる方には、光を感じてほしいなと思っています。思い悩んだり、闇に入って疲弊することもあると思いますが、光は必ず見つかると思うので。そのうえで仕事に対して望むこと、仕事をどうするかについて考えるきっかけになったらうれしいです。
工藤 仕事を続けるにしても辞めるにしても、まずは覚悟を決めることが大事なのかなと思うんです。どうしても無理なら辞めるのもいいと思うんですけど、「俺には向いてない」と否定的になるんじゃなくて、何ができるかを考えて、前向きに捉えてほしいなと。この映画には人と人のつながり、家族愛も含まれているので、つらいときは誰かに頼っていいということにも気付いてほしいですね。
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- 「ちょっと今から仕事やめてくる」
- 2017年5月27日(土)全国公開
- ストーリー
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ブラック企業で働く青山隆は、疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車にはねられそうになったところを謎の青年・ヤマモトに助けられる。青山はこの出会いをきっかけにヤマモトと親しくなり、彼からアドバイスをもらうことで仕事の成績が徐々に上がっていく。そんな折、青山は深刻な顔をして墓地へ向かうバスに乗るヤマモトの姿を見かけ……。
- スタッフ / キャスト
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監督:成島出
出演:福士蒼汰、工藤阿須加、黒木華、小池栄子、吉田鋼太郎ほか
原作:北川恵海「ちょっと今から仕事やめてくる」
主題歌:コブクロ「心」
© 2017 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
- コブクロ「心」
- 2017年5月24日発売 / Warner Music Japan
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初回限定盤 [CD+DVD]
3024円 / WPZL-31296 -
通常盤 [CD]
1296円 / WPCL-12633
- CD収録曲
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- 心
- HELLO, NEW DAY
- LIFE
- 心(Instrumental)
- HELLO, NEW DAY(Instrumental)
- LIFE(Instrumental)
- 初回限定盤DVD収録内容
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Ghana Presents コブクロ アコースティック プレミアムライブ@豊洲PIT 2016.08.01
- ストリートのテーマ
- 虹
- MC
- 君色
- Rising
- MC
- tOKi meki
- そばにおいで
- MC
- hana
- 風見鶏
- MC
- 未来
- アンコールMC
- One Song From Two Hearts
- MC
- ANSWER
- コブクロ
- 1998年、路上ライブをしていた小渕健太郎と黒田俊介が出会い結成。2000年3月に大阪・梅田バナナホールで初ワンマンライブを敢行し、2001年シングル「YELL~エール~」でメジャーデビュー。2005年に発売したシングル「ここにしか咲かない花」「桜」がロングヒットを記録する。2006年5月には初の日本武道館公演を大成功に収め、続いてリリースしたベストアルバム「ALL SINGLES BEST」は350万枚を超える大ヒットに。その後も数々のヒット曲やコラボ作を発表し、活動の幅をさらに拡大させるが、2011年8月末に休養を発表した。2012年7月に復活を宣言。2015年12月発売のシングル「未来」は映画「orange -オレンジ-」の主題歌として話題になった。2016年6月には約2年半ぶりのアルバム「TIMELESS WORLD」を発売。2017年5月に映画「ちょっと今から仕事やめてくる」の主題歌であるシングル「心」をリリースした。同年7月8日から全国ツアー「アサヒもぎたて presents KOBUKURO LIVE TOUR 2017 “心”」を実施。
- 福士蒼汰(フクシソウタ)
- 1993年5月30日生まれ。東京都出身。2011年に「仮面ライダーフォーゼ」で初主演を務めて注目を集める。その後はNHK連続テレビ小説「あまちゃん」や「図書館戦争」シリーズ、「ストロボ・エッジ」「無限の住人」など話題作に立て続けに出演した。7月期の日本テレビ系連続ドラマ「愛してたって、秘密はある。」に主演。公開待機作には「曇天に笑う」「BLEACH」「旅猫リポート」「ラプラスの魔女」がある。
- 工藤阿須加(クドウアスカ)
- 1991年8月1日生まれ。埼玉県出身。2012年にドラマ「理想の息子」で俳優デビュー。2014年には「百瀬、こっちを向いて。」「1/11 じゅういちぶんのいち」での演技が評価され、第24回日本映画批評家大賞の新人男優賞を受賞した。映画出演作は「アゲイン 28年目の甲子園」「夏美のホタル」「恋妻家宮本」。