茅原実里|ライブまるごとハイライト!活動15周年の軌跡をみんなで振り返った、スペシャルなあの日の記録

茅原実里がライブBlu-ray「15th Anniversary Minori Chihara Birthday Live ~Everybody Jump!!~」を6月2日にリリースした。

茅原の誕生日である2019年11月18日に行われた活動15周年アニバーサリーライブの模様を収めた本作。このライブで茅原は、これまでに発表したすべてのシングルから全26曲を発売日順に披露した。バックスクリーンには各楽曲のミュージックビデオが映し出され、茅原が歩んできた15年間を感じられるメモリアルなライブとなった。

音楽ナタリーでは茅原にメールインタビューを行い、彼女にとっても思い出深いこのライブを振り返ってもらった。

取材 / 須藤輝

思い出のアルバムをめくっていくようなライブ

──アニバーサリーライブではシングル表題曲をリリース順に、ミュージックビデオをバックに歌われていました。どのようにしてこのプログラムに決まったんですか?

アニバーサリーライブはとにかくスペシャルなプログラムにしたいと思っていました。活動15周年を迎えられた感謝の気持ちと、誕生日当日にみんなと過ごせるハッピーな気持ちの両方を伝えられるようなライブにしたいなって。あれこれと考えた末「リリース順にシングル曲をすべて唄うというのはどうでしょう?」って私から提案しました。プロデューサーは二つ返事でOKしてくれて、そこからチーム全体の打ち合わせの中で全曲MVを背負う演出のアイデアが飛び出しました。

茅原実里

──どのような効果を狙ってのプログラムだったんですか?

2枚目のベストアルバムを出させてもらえたのも、ファンのみんなの応援のおかげです。昔から応援してくれている人もいれば、最近私を知ってくれた人もいるので、プログラムから私の歴史を伝えたい気持ちがありました。やろうとしてることはとてもシンプルだけど、思い出のアルバムをめくっていくようなイメージで、歌、音楽、映像と一緒に茅原実里と歩んだこれまでの歴史を振り返りながら楽しんでもらえたらいいなって。リハーサルのときに舞台監督がパソコンでMVを流してくれていたんですけど、チラチラ視界に入るたびになんだか私も懐かしい気持ちでいっぱいになって、過去を振り返りながらいろんなことがあったなあ……って思い出しながら唄っていました。

──実際にライブをやってみていかがでしたか?

ライブ後に身近なスタッフさんが「茅原さんとお仕事をご一緒させてもらったのはあの曲からなんです!」って言ってくれたときに、きっとファンのみんなも同じようなことを思ってくれてたんじゃないかなって。これまでの私の歴史って、みんなと一緒に作ってきたものですからね。みんなの歴史でもあるんです。ただ内容的にはとってもシビアでした。フィジカル的に……(笑)。でも、MVを背負っていることで、当時の自分が一緒に唄ってくれているような心強さがあったり、「Planet patrol」ではファンのみんなが笑ってくれたりしたので(“かるた競技大会”をテーマにしたMVと、“みのりんポリス”と悪の秘密結社CMBの戦いを描くリメイクMVが同時上映された)、心がフニャってなって緊張がほぐれたりして、いつものようなライブ中の張り詰めた糸感は軽減されていたような気がします(笑)。ちなみに、楽曲のテンポはCD音源もライブも同じなので、特に映像に演奏を合わせるような必要もなくていつも通り唄っていました。

──どの曲もライブを通して大事に育ててきたと思いますが、特に面白い育ち方をした曲とその理由を教えてください。

茅原実里

フラッグを使って楽しむ“旗曲”も含めてライブで育ててきた曲は本当にたくさんありますが、特に「SELF PRODUCER」は化けたなって思っています。「NEO FANTASIA」(2013年12月発売の5thアルバム)のツアーで、自分のライブに初めてCMD(バックダンサー「Chihara Minori Dancers」の略称)を迎えて一緒に踊って唄うことになったんですけど、数曲あるダンスブロックの中に「SELF PRODUCER」を入れてみたんです。テンポ感や元気なノリも含めて絶対ダンス向きの曲だなって思って。リリースした当時はダンスをする予定もなかったんですけどね~(笑)。MVはいろいろな衣装でランウェイを歩くファッションショーだったんですけど、ツアーをきっかけにとてもかわいらしくてキャッチーな振りがついたことで、ライブをしていてもそれまでとは明らかに盛り上がり方が違くてびっくり! 客席はピンク色に染まって、サビの部分では私の振りを真似して一緒にキングブレードをクルクル回して楽しんでくれる。改めてダンスの偉大さを身をもって感じました。単独ライブでもフェスでも「SELF PRODUCER」は会場を華やかに明るくしてくれる楽曲に育ちましたね。

──特に好きなMVと、その理由は?

一番好きなMVは「Melty tale storage」です。楽曲の異国情緒漂う切ない雰囲気が映像とマッチしていて、自分の作品なのに客観的に物語を見ているような気分になるんです。血の涙があふれるシーンは、メイクの都合上一発でOKを出さないといけないので、ドキドキしながらメイクさんと呼吸を合わせて撮影に臨んだのを覚えています……(笑)。海風も強いし季節的にもとても寒い過酷な撮影で、薄手のワンピースでガチガチ震えている中、プロデューサーがスキーウェアで現れてぬくぬくしている姿を見たときはぐぬぬ……ってなりましたね!(笑) でもMVの撮影って寒さは付きものなので、それも引っくるめて好きなんです。ほかには、劇場版「涼宮ハルヒの消失」のテーマソング「優しい忘却」は、ハルヒたちが通っている西宮北高校のモデルになっている兵庫県立西宮北高等学校で撮影させていただいたので、これも本当にいい思い出で。学生の皆さんが窓から顔を出して応援してくれたりしてうれしかったです。撮影中に雪が降ってきたときの感動も忘れられません。「ああ、(長門)有希がそばで見守ってくれているんだなあ。よし、もっとがんばろう!」って思いました。年明けすぐの撮影だったのでこれもまたすっごく寒かった! ブーツの中に仕込んでおいたホッカイロは一瞬で冷たくなっちゃって。このときも薄手のワンピースでしたね……(笑)。

大好きな歌をステージで唄える時間を大切に

──15年の活動を総括するようなライブで、歌唱中にどんなことを思い出しましたか?

歌唱中は……ただただ必死でした!(笑) 全シングル曲を唄うってやっぱり大変だと改めて思い知らされました。喉の休憩になったり遊べる曲がほぼないわけです。私はアニソンも多いので、パワーのある楽曲だらけで喉が最後まで保つのか本気で心配で。実はリハーサルでは一度も納得のいく形で全曲唄いきれなかったんです。終盤に向かうにつれてミディアムテンポのものやバラードが増えていく。さんざん喉を酷使したあとに「みちしるべ」をきちんと届けられるのか……と怖かったです。ただ気持ちだけは途切れないように最後までやりきろうって必死でした。今思えば誕生日に新しい挑戦ができて、結果としてこんなにも高いハードルを飛び越えることができてよかったと思っています!

──このライブのハイライトとなるシーンを1つ挙げるとすれば?

うーん。。うーーーん……。。。ライブまるごとハイライトですぅぅぅ~~~!!!!!!!!(笑)

──茅原さんがライブで大切にしていることは?

茅原実里

特にこれといって意識していることはないのかもしれません。私はライブで見れるみんなの笑顔が好きだし、唄うことが好きなんですよね。私のライブを一緒に作ってくれるファンのみんなや、CMB(バックバンド「Chihara Minori Band」の略称)や、スタッフのみんなにはいつも笑っていてほしいし、楽しんでほしいなって強く思うんです。だからきっと、私が私らしく歌を唄うことが何よりも大切なことなんだろうなって思います。

──アンコールでバースデーサプライズを受け、ケーキがステージに登場したときの心境は?

「ホントにっ!?」です(笑)。実はこの日、楽屋でもサプライズでスタッフみんなにお祝いしてもらったので本番はないと思って油断してたんですよ~。まさかだったけど、やっぱりうれしかったです。私のことも、ファンのみんなのことも考えてくれているチームスタッフさんの愛ある演出にはいつも感謝しています。それにしても、イラストレーターの玖珂つかささんの「みのりんイラスト入りケーキ」のクオリティの高さには感動しました! めちゃくちゃかわいかったです! 終演後においしくいただきましたぁ~!(笑)

──満員の会場でシンガロングやコール&レスポンスなどが起こる有観客ライブをご覧になって、今思うことは?

このライブが開催されたのはコロナが広まる直前だったんですけど、遠い昔話みたいで寂しいですね。こればかりは嘆いても仕方のないことですけど、現実を受け入れようとしても気持ち的になかなか整理がつかないんですよね。会いたいけど会えない。あきらめたくないけどあきらめざるを得ないというか……。もどかしいですよね。そういう中で配信に切り替えたり試行錯誤しながら音楽を届けているわけですが、ライブのあるべき姿が戻ることを信じています。

──今年の「SUMMER CHAMPION」への意気込みと、ファンの皆さんへのメッセージを。

夏の風物詩、河口湖ステラシアターの野外ライブが今年もやってきます! 12年間毎年欠かさず開催してきたこの場所でのライブも13年目の今年で最後になります。ここまで続けてこれたのは、数々の人や作品との出会い、ファンのみんなの応援、そして河口湖町の皆さんの協力があったからこそです。精一杯の感謝の気持ちを込めて唄いたいと思っているし、今までで一番楽しくて、一番熱い思い出をみんなと一緒に作りたいと思っています! 今年はコロナ対策を万全にしながらみんなと河口湖で過ごしたいと考えているので、ぜひ会いにきてください。一緒に綺麗な打ち上げ花火を見ましょう~! それから、私の音楽活動は年内いっぱいで休止になるので、夏のライブや9月に開催されるオーケストラコンサートも含めて、大好きな歌をステージで唄える時間を大切にしながら過ごしていきたいと思っています。どうか引き続き応援よろしくお願いします!

ライブ情報

SUMMER CHAMPION 2021 ~Minori Chihara Final Summer Live~
  • 2021年8月7日(土)山梨県 河口湖ステラシアター
  • 2021年8月8日(日・祝)山梨県 河口湖ステラシアター