ばってん少女隊「虹ノ湊」特集 BATTEN Recordsディレクター&メンバーインタビュー|同郷Rin音による夏曲を360 Reality Audioで (3/3)

MVにはたくさんの“青”が映ってる

──美しい景色が詰まった「虹ノ湊」のMV映像についても話を聞かせてください。

上田 私は奄美大島のシーンから撮影したんですけど、梅雨真っ只中だったんです。でも実際に行ったらあの青空が撮れて、まずはそれが何よりの収穫でした(笑)。「虹ノ湊」を聴くと、さわやかなブルーのイメージが浮かぶ人が多いと思いますが、その期待通りのMVになっているんじゃないかなって。海の青、空の青、衣装の水色、すべてに統一感がありながら違う青で表現されてるんです。そしてその中で、私たち6人が踊っている。今まで海で踊るという王道なMVがなかったので新鮮でしたし、その王道に360 Reality Audioが加わることで、新しいことに挑戦するばっしょーらしさを感じていただけると思います。

瀬田 私と愛は、奄美に行く前に宗像の神湊での撮影があったんです。タイトルの由来になった神湊は地元の方にたくさん使われてる港で、私はそこの出身ではないんですけど「帰ってきたなー」と思えるような地元感のあるところでした。2人で学校帰りみたいな雰囲気の青春感のあるシーンを撮ったりして。海がきれいで、お魚がおいしかったです。奄美大島も本当に海がきれいで、水に入って遊びたいって撮影中ずっと思ってました(笑)。最近、私たちはMVでよくドローンを使うんですけど、今回も大活躍です。ドローン系アイドルになれるかもって勝手に思ってます(笑)。あと、青春って“青”という文字が入ってるじゃないですか。先ほど話に出た通り、このMVにはたくさんの“青”が映っているので、観るだけで青春を感じられると思います。

希山 さくらと2人の撮影ではあともう1カ所、歌詞に出てくる3号線の箱崎のあたりにも行ったんです。福岡から鹿児島までつながってる大きな道路なんですけど、普段よく車で通っているところなので、撮影するのが不思議な感じでした。

──MVでお気に入りのシーンはありますか?

瀬田 私はダンスシーンがお気に入りです。砂浜の上で撮影したんですけど、今まで海辺で踊ったことなかったし、ちょっと部活っぽいなと思いました(笑)。そのシーンからも青春を感じてほしいです。

希山 私は、最後にみんなして海でバシャバシャして遊んでるところが好きです。あれは最後に撮ったシーンなんです。メンバーとプライベートで遊んでる感じで、素で楽しんでる私たちが映ってます。

「虹ノ湊」ミュージックビデオのオフショット。

「虹ノ湊」ミュージックビデオのオフショット。

上田 メンバーの声が歌のパートに被って入ってるのも斬新で。普通はあまりやらないことだと思うんですけど、それによってよりいい作品になっていると感じました。360 Reality AudioのMVだからこその魅力で、視覚的にも聴覚的にも楽しめるのは強いなと思いました。何度も言っちゃいますが、MVでメンバーの動きと音がリンクしてるのが本当にすごいです。海を舞台にしたアイドルのMVっていっぱいあると思うんですけど、その中でも、波の音やメンバーが騒いでる声が立体的に聞こえるものはほかにないと思うんです。このMVでしか楽しめない音の世界観に浸っていただけたらうれしいです。

──ほかにも360 Reality AudioならではのMVの注目ポイントがあれば教えてください。

瀬田 私は純粋にメンバーの歌に対して、この技術がめちゃめちゃ生きてるなと感じました。メンバーの声が右上から聞こえたと思ったら、反対側からも聞こえたりして、いろんなところにメンバーがいる感覚なんです。

希山 右から声が聞こえたときについそっちの方向を見ちゃうくらい、ほんとにMVの中にいるような感覚です。ライブの現場になかなか行けない方もいらっしゃると思うので、360 Reality Audioを体験して、私たちの近くにいるような体験を楽しんでいただけたらと思いました。

──ちなみに、ソニーの360 Reality Audio認定ヘッドホンやイヤホンを使うと、アプリの設定で個人に最適化されたサウンドを楽しむことができますが、それもすでに体験されたそうですね。

上田 設定するときに自分の耳の写真を撮影するんですよ。イヤモニを作るために耳型を取った経験はあるんですけど、「いったい何が行われるんだ?」と思っちゃいました(笑)。実際に設定して曲を聴いてみたら普段使ってるイヤホンで聴く音と全然違って、耳で聴いてるというよりも頭の外で鳴ってる感覚に近いと思いました。音楽を聴いてるんじゃなく、音の中に自分から入っていく感じです。

瀬田 私は耳の形に特徴があるんですけど、私にも合うような音が作られるんだな、すごいなと驚きました。あと、私が普段使ってるヘッドホンと聴き比べてみたら、ソニーさんのヘッドホンで設定したもののほうが音が繊細に聞こえるように感じました。細かい音の粒子が耳に入ってくる感覚というか。

希山 私は耳を撮影するのがなんだか楽しかったです(笑)。設定を終えて曲を聴いたときは、私も音楽が心まで届いてくる感じ、音の世界に入り込む感じがしました。ぜひファンの皆さんにもソニーさんのヘッドホンで最適化して、曲を楽しんでみてほしいです。

私たちだからこそ作れる世界観、伝えられる曲

──ここ数年、ばっしょーはいろいろな新しい技術と音楽を融合させたエンタテインメントを提供していますが、そのことについてはどのように捉えていますか?

上田 まさか私たちがこんなにも最新技術とコラボしていくようになるとは、以前は想像していなかったです(笑)。でも新しいことに挑戦していくうちに、どれも曲をよりよく伝えられるツールだということがわかってきました。新しいことに挑戦していくのって、何かを背負ってるような感じもあるんですけど、私たちの曲を最新の技術と組み合わせることで、世界の方にも注目してもらえるチャンスになってるなとすごく感じます。なので、私たちも最新技術に負けないように、もっともっとパフォーマンスを磨いていかなきゃと思っています。

瀬田 今後はライブの演出にもどんどん新しい技術を取り入れられるようになっていくと思うんです。そういう時代がきたとき、今いろんな技術とコラボさせていただいてるばっしょーが一番いいものを見せられたらいいなと思ったりしますね。いろいろと体験させていただくことで、最新技術がどんどん生活の中に浸透してきているんだということも実感しました。私は普段ゲームをしますし、新しい技術でこれからの生活がもっと楽しくなっていくのがうれしいです(笑)。

希山 コラボさせていただいた最新技術は私が全然知らないものばかりで、こんな世界があるんだなってどんどん知識が広がっている感じです。私みたいにテクノロジーに疎い人にも、ばっしょーを通して最新技術を知ってもらいたいと思うようになりました。アイドルには興味ないけど新しい技術には興味があるという方に、私たちを知ってもらえる機会でもあると思います。

──テクノロジーとのコラボは、「OiSa」以降のばっしょーの音楽性の変化と並行して進められてきた印象です。「わたし、恋始めたってよ!」が昨年の「アイドル楽曲大賞」インディーズアイドル楽曲部門で1位を獲得するほどに、今やばっしょーは「曲がいいアイドル」として多くの人に認識されるようになったと思います。

上田 「OiSa」は2020年にリリースしたアルバム「ふぁん」に収録された楽曲なんですけど、最初、アルバムのリード曲が「OiSa」になると聞いたときは「え?」と思ったのが正直なところでした(笑)。アルバムのリード曲はライブの定番曲になるような盛り上がる楽曲というイメージがあったんですが、「OiSa」はどういうジャンルの曲なのかもわからない感じで。ただ、すごく中毒性があって、結果的にたくさんの方にばっしょーの名前を知っていただけたことで、私たちのパフォーマンスも変わっていきました。

──それはどんなふうに?

上田 もともと私たちは、「ライブで盛り上がれる楽しいアイドル」と言っていただけるようなグループで。でも、「OiSa」以降は楽曲やMVの世界観を崩しちゃいけない、より魅せるパフォーマンスを重要視しなきゃと思うようになりました。最近は「『OiSa』で知ってライブに来ました」「『OiSa』を聴くためにライブに来ました」と言ってくださるお客さんもいるんです。その方たちが実際に私たちのパフォーマンスを観て、「ちょっと違うな」と思ったら嫌じゃないですか。すごく難しいことですけど、「生で聴けてよかった」と言ってもらえるよう、これからもがんばってパフォーマンスを高めていきたいです。

ばってん少女隊の結成7周年記念ライブの様子。

ばってん少女隊の結成7周年記念ライブの様子。

──秋には「OiSa -2021ver.-」「わたし、恋始めたってよ!」「YOIMIYA」「虹ノ湊」などを収録した4枚目のアルバムがリリースされ、11月26日には東京・中野サンプラザホール公演が開催されます。さらに前進していく中で、今現在の心境を聞かせてください。

上田 中野サンプラザは、ばっしょーにとって過去最大規模の会場なんです。私たちは九州を拠点にしているので、やっぱり東京のグループと比べると活動の中で不利に感じることもあって。でも、そんな私たちだからこそ作れる世界観、伝えられる曲があると思うんです。「虹ノ湊」はまさにそういう曲で、ニューアルバムにも新しいチャレンジがいっぱい詰まっています。私たちにしか出せない持ち味を発揮して、中野サンプラザに来てくださる皆さんと目いっぱい楽しみたいです。中野サンプラザは私たちにとってすごく大きい会場なので、あと4カ月でそこを埋められるか、正直不安はあります。そんな中で、今のばっしょーはこういう音楽をやってるんだよ、最新技術で新しいことに挑戦してるんだよということをもっと多くの人に知ってもらって、皆さんの期待を超えるパフォーマンスをしなきゃと思っています。応援してくださるファンの皆さん、私たちのライブをまだ観たことのない人、360 Reality Audioで知ってくださった方、たくさんの方が中野サンプラザに遊びに来てくださったらうれしいです!

ライブ情報

ばってん少女隊 中野サンプラザワンマンライブ

2022年11月26日(土)東京都 中野サンプラザホール

プロフィール

ばってん少女隊(バッテンショウジョタイ)

スターダストプロモーション内スターダストプラネット所属のアイドルユニット。福岡営業所のレッスングループ、通称F-girlsとして活動を始め、2015年6月にばってん少女隊としての活動を開始した。2016年4月にシングル「おっしょい!」でColourful Recordsよりメジャーデビュー。「BATTEN×DANCE×MUSIC(BDM)」という音楽活動の指針のもと名だたるアーティストを作家陣に起用し、2017年6月に1stアルバム「ますとばい」、2019年6月に2ndアルバム「BGM」を発表した。2020年に自主レーベル・BATTEN Recordsを立ち上げ、同年10月にアルバム「ふぁん」をリリース。中毒性の高いメロディや曲調が特徴のリード曲「OiSa」がロングヒットを記録した。2021年4月に蒼井りるあ、柳美舞が新メンバーとして加入し、現在の6人体制に。最新のテクノロジーとのコラボを積極的に展開し、2022年6月にリリースした新曲「虹ノ湊」ではソニーの立体音響技術を使った新しい音楽体験「360 Reality Audio」バージョンの音源も配信した。2022年秋に4枚目のアルバムを発表し、11月に東京・中野サンプラザホールでワンマンライブを行うことが決定している。