完全に騒いだ徳島の血

──では、ここからはニューシングルのお話を。表題曲の「AwA AwA」は、挑戦するすべての人にエールを送る超特急ならではのポジティブソングということですが、ものすごくいろんな要素が入った曲ですね。

タカシ　そうなんです。「AwA AwA」というタイトルにも「泡」「Our Hour」などいろんな意味が込められているし、とにかく遊び心いっぱいの曲なので、僕たち的にはするっと自分の中に落とし込みやすかったです。洒落が効いてるんだけど、カッコよさやおしゃれさもある。ノリがいいけど、メッセージ性もしっかりある。これまで自分たちが大事にしてきた要素の数々をしっかり“体現”している楽曲だなあという印象で。

ユーキ　すみません、自分いいですか？ 僕はもう何より、完全に徳島の血が騒ぎました。

──ユーキさんの生まれ故郷・徳島の阿波踊りの掛け声「やっとさー」が歌詞に使われていますね。

ユーキ　「やっとさー、やっとさ」を聞いちゃうと体がうずくんです。それはもう徳島人のDNAに組み込まれているものなんでしょうがないんですけどね。最初聴いたとき、めちゃめちゃ興奮しましたよ。

カイ　阿波踊りの掛け声が使われているって、普通ならば完全に曲の要になるようなトピックだと思うんですけど、でもそれを全編通して押し出していないのがこの曲のいいところで。「AwA AwA」には、ほかにもフックになるようなパートがちりばめられているんですよね。「やっとさー」だけじゃない、そのミクスチャー感が超特急らしいというか。1回しか出てこないからこそ強烈さが増すし、ほかのパートも同じ様に印象深くなる。

──曲がどんどん展開していくので、「やっとさー」は序盤のハイライトの1つという感じがします。

カイ　そう。それが曲としての完成度をすごく高めてくれているなと感じました。

ノリのよさや楽しさだけじゃない部分がこの曲にはすごくあって

──そしてこれも大きなトピックの1つだと思うのですが、楽曲提供はMEG.MEさん、花村想太（Da-iCE）さん、Louisさんのチームということで。Da-iCEの花村さんが超特急の楽曲に参加するのは初めてかと思いますし、クレジットを見て驚きました。

タカシ　そうなんです。さらに驚きなのが、僕らこのお三方が制作されているとは知らずに、たくさんの候補曲の中から「AwA AwA」を選んだんです。「この曲がいいと思います。この曲にしたいです」と決めたあとに知ったんですよ。

ユーキ　でも、デモの段階からちょっと感じてはいたんです。この構成の仕方や歌詞、絶対に超特急のことをすごく知ってくれている方だよなって。知ってくださってないと出せないパンチの強さがあるなと思っていました。タカシが言うように候補曲はいろいろあったんですけど、みんなの耳に間違いなく残った曲が「AwA AwA」で、のちのち名前を聞いて「なるほどな」と。想太くんに「Kiss Me Baby」などを作ってくれたMEG.MEさんに……。納得だなという気持ちになりました。

タクヤ　僕たちのことをわかってくれているのもそうだし、あとは“バズ”をわかってる人が作る曲だなということも思いましたね。

──お三方は、Da-iCE「I wonder」を作曲したチームでもありますね。

タクヤ　そうそう。Da-iCEも曲によってはバズを意識した曲を、それこそ想太くんや（工藤）大輝くんが作っていると思うので。そういった部分も、すごく“らしい”なと思いましたね。

──ボーカルについてもぜひ聞かせてもらえたらと思うのですが……。

カイ　はい！

ハル　いやいや。ボーカルより早く反応しないで（笑）。

タカシ　（笑）。ボーカルに関してはですね、楽曲のテイストが超特急らしく情緒不安定で、パートごとに色が変わっていく感じだったので、場面場面に合った世界観のキャラクター作りをしながらも、2人で合わせるべきところはしっかり合わせて……例えば1サビの「AwA AwA」は唯一ユニゾンしているパートなので、歌のニュアンスはレコーディング前に打ち合わせをしました。そうやって細かいところにこだわりながらも遊ぶところは遊んで、という感じでしたね。

シューヤ　まず、デモの段階で上がってきたリリックに関して、最初はもう少しノリ重視みたいな雰囲気だったんですね。メロディや歌がキャッチーな分、そこに意味を持たせないとこちらの伝えたい趣旨がしっかりと伝わらないと思ったので、プロデューサーにお願いして歌詞の内容を変えてもらったんです。そうすることでAメロからサビを通して、よりメッセージ性が強いリリックになりました。聴き馴染みのよさは大事だと思うけど、ノリのよさや楽しさだけじゃない部分がこの曲にはすごくあって。それこそサビの「AwA AwA」の語呂遊びとか、歌詞カードを見て初めてわかる部分も多いと思うんです。僕らはいろんな思いを込めて歌ったので、そういうところも気にしながら楽しんでいただけたらなと。

──曲の展開が変わるごとにタカシさんシューヤさんの声色もがらりと変わって、2人の歌の表情の多彩さがこれでもかと楽しめる仕上がりになっていますね。

タカシ　シューくんのパートで言うと、やはり花村さんが制作された曲というのもあって、ハイトーンに特化した曲調だなというのはデモ段階から感じていたんです。そこにシューくんの高音がビタリとハマるのがとても気持ちよくて、レコーディングの時点で「めちゃくちゃいいな」と思っていました。この曲を録り終えて改めて聴いたとき、シューくんがいてくれるから超特急の楽曲の幅が広がったと感じたし、僕だったら成し得ない“境界線”も超えて、今はいろんな“場所”にいけるようになっているので……本当に、改めて素晴らしい存在だなという気持ちですね。

ハル　僕はDメロからラストのサビにかけての畳みかけというか、2人の掛け合いの共鳴がすごいと思ってて。踊っていて気持ちいいし、聴いているだけでも心地よくてすごく好きなんです。曲のラストに向けて盛り上げてくれる思いが伝わって、それは本当にこの2人ならではのパワーだなあと思ってます。

ナメれる人を目の前に置くことによって、煽りにも気持ちが入るというか

──そんなハルさんも大事なセリフパートを担当されていますよね。それこそラストのサビに入るきっかけになる「よし！ ちょ、今から本気出して行くわ」というセリフですが……。

シューヤ　これ、裏話あります。ハル！ ここ、どういうふうに録ったんだっけ？

ハル　まず、セリフを録るにあたって「いつも通りの煽り口調でお願いします」と言われたんですよ。

アロハ　あはははは！

ハル　そういう注文をもらったんですけど、ちょっとうまくできないかもしれないなと思って……シューヤくんに目の前に来てもらって。

シューヤ　コイツ、俺のことをナメまくってるので。

ハル　はい。ナメれる人を目の前に置くことによって、煽りにも気持ちが入るというか（※シューヤは29歳、ハルは19歳）。

リョウガ　なんなの？（笑） その間柄。

シューヤ　だからハルがセリフを言うときに、俺がマイクの向こう側でこうやって（挑発する仕草で）ハルを煽るという。

ハル　煽られたので、煽り返す気持ちで言いました。気持ち作りがしっかりできたので、すごくありがたかったです（笑）。

シューヤ　そのときの映像もちゃんと撮ってありますから！ 楽しみにしていてください（笑）。

NOPPOさんのこだわり

──「AwA AwA」のコレオについても教えてください。今回の振付はどなたが？

ユーキ　今回のダンスはs**t kingzのNOPPOさんに付けていただきました。この曲の振付を誰にお願いするか考えるにあたって、やっぱりDa-iCEさんと超特急のことを理解してくださっている方に頼んだほうが、より深みが増すんじゃないかと思ったんです。あと「AwA AwA」はお祭り感がテーマとしてあるけれど、それだけじゃないおしゃれさがある曲なので。そういう部分でも、s**t kingzさんにお願いするのがいいだろうと。

カイ　そうね。

ユーキ　s**t kingzの皆さんが作ってくださるコレオはどれもおしゃれだけど、その中でも今回の曲はNOPPOさんに。ユーモアがあってコミカルで、遊び方が上手なNOPPOさんにお願いしたいねと、メンバー間でそういう話になったんです。NOPPOさん、お忙しいと思うんですけど快くオファーを受けてくださって。振りを作るにあたっても、お互いにすごく細かく意見を出し合って、話し合いながら制作していったんですよ。あとミュージックビデオ撮影も！ こんなに前のめりに取り組んでくださるんだって思ってしまうくらい。1つひとつの画角やアングルまで徹底的にこだわって撮影に参加してくださって……。

カイ　振付の段階で「ここの振りはこう撮るのがきれいに見えるよね」とか、そういうところまで考えてくださっていたんです。カッコよく見えるアングルとか「ここから撮ってほしい」とか、そういった要望をMV撮影で生かすために、実際にNOPPOさんが音に合わせて動いてくださった動画をMVの制作チームに送って、その映像にMVチームのイマジネーションを掛け合わせる形で撮影が進んだんです。「ダンスのここを見せたい」というポイントを確実に押さえて、そこからイメージを広げていくような制作ができた。そこは今までとは違うやり方でしたね。

アロハ　振付自体はキャッチーだから皆さんもきっとすぐに覚えられますし、ライブでもすごく盛り上がってくれると思います。

カイ　全編通して“泡”のポーズが出てくるんですよ。（両手の親指と人差し指で丸を作り）サビの手はほとんどこれだし、ほかのパートにも出てくるので印象に残るんじゃないかな。

アロハ　あと僕は、この曲で8号車がどんな掛け声をしてくれるかが楽しみです。たくさん踊って、SNSとかでも広めてもらえたらうれしいなと思います。