ナタリー PowerPush - BugLug
楽しさ全開!ポップに回帰した「HICCHAKA×MECCHAKA」
結成3年半を迎え、新たなステージに突入したBugLug。彼らが今年5枚目となるシングル「HICCHAKA×MECCHAKA」を9月25日にリリースする。最近はダークなテイストの楽曲が多かった彼らだが、今作ではポップなサウンドに振り切り、新たな魅力を開花させている。
今回ナタリーは彼らにインタビューを行い、改めて“BugLugとは何者なのか”、そして新作「HICCHAKA×MECCHAKA」から垣間見える“今のBugLug”に迫った。
取材・文 / 武市尚子
ひたすら面白さを追求する
──ナタリー初登場になりますので、BugLugとはどういうバンドなのか?というところから詳しく伺っていけたらと思います。BugLugは結成3年半になるんですよね?
一聖(Vo) はい。そうです。
──思い返せば、最初シルエットとバンド名だけで告知して、「あのシルエットのバンドは、いったい何者!?」って話題になっていましたよね。
優(G) やってましたね(笑)。インパクトは残せたんじゃないかなと、よくも悪くも。でも実はあれ、僕らの中では黒歴史になっているんですよ!
──え? どういうことです?
優 シルエットにしてるからこそ、みんな興味が湧くじゃないですか。普通はそれで正体が明かされたときに「ああ! この人たちだったんだ!」って、さらに話題になるっていう展開だと思うんですが、ウチらの場合、本当にまだまだメンバー全員が無名だったので正体を明かしたとき、「え!?っていうか、シルエットじゃなくても何者かわからないんですけど……誰!?」ってことになっちゃったんです。
全員 (笑)。
──なるほど! でもそれも面白いじゃないですか。現に私も「あのシルエットのバンド」っていう印象が強く残っていて、それでBugLugというバンドに興味を持ったんですから(笑)。
一聖 まあ確かに、バンドの始まりとしては普通じゃない形で世の中に出ていったので、そういう意味ではよかったのかなって思ってますね(笑)。何も印象に残んないより、ガッと爪痕残してやったほうがいいんじゃないかっていう遊び心だったんですけど、結果、自分たちの心にも爪痕残っちゃった、みたいなことになりましたけどね(笑)。
──あははは(笑)。普通はイヤだと。
一聖 ですね。つまんない。
優 そういう発想は昔も今も変わっていないです。
一聖 ヴィジュアル系なのに、姿を見せないっていう裏を返したような戦略とかね。見た目を含めたジャンルであるヴィジュアル系で姿を見せないってどういうこと!?っていうような、誰もやらないようなことを遊び心でやってしまうところは、今もこの先もBugLugが目指しているところでもあるんです。そもそもBugLugは結成の経緯からちょっと変わってますからね。ドラムの将海が(2011年11月に)加入するまで4人で活動していたんですけど、音楽性がどうこうというより、まず人で選んでましたから。「コイツと一緒にバンドやって楽しいか楽しくないか、面白いか面白くないか」っていうとこだけで、メンバーを選んだんです。自分たちの音楽性を追求しだしたのは、けっこうあとになってから。試行錯誤しながら、みんなで楽しく遊んでいるうちに、今のBugLugのスタイルを見つけたというか。まずは、自分たちが面白いって感じたり、楽しいって感じなければ、人が聴いて楽しいモノなんて生まれてこないと思ったんです。シルエットからスタートしようってことになったのも、単純に「面白そうじゃん!」ってとこからでしたからね。
将海はアメブロつながり
──将海くんはどういうきっかけで加入することに?
将海(Dr) インターネットで知り合ったんです(笑)。
──またずいぶん今どきな(笑)。
燕(B) アメブロです(笑)。
一樹(G) 確か燕からつながったんだったよね?
燕 そう。将海がたまたま僕の知り合いのアメンバーにいて。ドラマーなのに、ドラムのこと全然書いてなくて逆に興味が湧いたんです(笑)。それで声をかけて、スタジオに来てもらった。
優 そうそう(笑)。初対面のときとかひどかったですからね。これまで会ったドラマーって、すごく真面目で礼儀正しい人が多かったんですけど、将海はビーサンに短パンで初対面なのに「ちぃーっす!」って感じだったんですよ。
一聖 髪も短かったし、ヴィジュアル系という概念を崩された瞬間でもありましたね。所持品はスティックだけでしたから(笑)。もう、その出で立ちを見た瞬間、ドラムを叩く前に「コイツと一緒にやったら面白いかも!」って思って。それで、そこで初めてセッションしてみたら、やっぱりすっごいハマって。この感覚ってやっぱ大事だなって思ったんです。
──人を楽しませるには、まずは己が楽しむこと。
一聖 そうですそうです! そこが一番だと思うんです。
“普通”が好きじゃない
──なるほど。先ほど自分たちらしい音楽性を追求しだしたのは最近のことだと言ってましたけど、最初はどんなところからスタートしたんです? 当初からポップなイメージがありましたが。
一聖 ポップでしたね、最初は。ポップな曲調ならではの予定調和的なことばっか歌ってましたからね。最初の頃のBugLugって、すごく浅はかな部分が多かったなと思うんです。僕自身、ボーカリストとして、歌に自分自身を投影できてなかったし。いろんなジレンマを抱えながらやってきたんです。歌詞でいいこと言わなくちゃ!とか、「みんながんばれ!」とか「励ましてあげなくちゃ!」とか言わなきゃって変なプレッシャーをずっと抱えていて。そこに縛られすぎて、お利口さんすぎちゃって、常に保守的になってしまって。それをずっと続けていたら、ライブをやっていく中で本当につらくなって、精神的にボロボロになってしまった自分がいたんです。そんなボロボロになった姿は、聴いてくれる人に絶対見せちゃいけないんだ!って思ってきたんだけど、ふとある日、このまま自分に嘘をつき続けてたらダメだ!ってなって。自分の弱い部分だったり、ダメな部分も隠さずに歌っていこうって考え方を変えた瞬間に、一気にバンドが変化したんです。アグレッシブになってきたというか。キレイごとじゃなくて、思いのすべてを聴いてる人に直接訴えかけていかないと伝わらないなって。ライブを重視するようになったのもその頃で。
優 とにかくさらけ出したいんです。ムカついたらムカつく!って叫びたいし、楽しかったら楽しい!って叫びたいし。それでこそ伝わるのかなって。変にキメキメなライブじゃなく、心の赴くままに、みんなと一緒に楽しめたらいいなと思ってますね。
将海 いい意味でラフだと思いますね。すごく自然体というか。キメるところは決めるけど、そんなに気負わず、ちょっとしたところで人間性が出るというか、オフの部分が垣間見れるようなライブができるバンドになれてると思うんです。やってる人たちに興味が持てたら、自然とそのバンドにまつわることに興味を持つようになると思うんですよね。
──それはBugLugの結成の経緯の根本的な部分とつながりますよね。
一聖 確かにそうですね。
燕 BugLugは常に新しいことを考え続けられるバンドだと思いますね。本当に“普通”が好きじゃないバンドなんです(笑)。
- ニューシングル「HICCHAKA×MECCHAKA」/ 2013年9月25日発売 / Resistar Records
- 初回限定盤A [CD+DVD] 1890円 / RSCD-114~5
- 初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / RSCD-116~7
- 通常盤 [CD] 1260円 / RSCD-118
初回限定盤CD収録曲
- HICCHAKA×MECCHAKA
- アクマ笑ウ
- HICCHAKA×MECCHAKA(Let's Sing ver.)
初回限定盤A DVD収録内容
- HICCHAKA×MECCHAKA -Music Clip-
初回限定盤B DVD収録内容
- HICCHAKA×MECCHAKA -メイキングオフショット-
通常盤CD収録曲
- HICCHAKA×MECCHAKA
- アクマ笑ウ
- Revolution Perfect Game~BugLug Quest~
- HICCHAKA×MECCHAKA(Let's Sing ver.)
BugLug(ばぐらぐ)
一聖(Vo)、一樹(G)、優(G)、燕(B)、将海(Dr)の5人からなるヴィジュアル系バンド。2009年8月に結成され、2010年4月に1stシングル「ASOBIZ」をリリースする。結成当初はドラマー不在だったが、2011年11月に将海の加入によって現在の体制となる。毒をはらんだ歌詞や、ハイボルテージなサウンドが特徴。2013年に入ってからは3月に3枚のシングル「Live to Love」「BUKIMI」「R.I.P」を同時発売し、さらに5月にシングル「文明開化」をリリースするなどハイペースに作品を発表。9月25日にニューシングル「HICCHAKA×MECCHAKA」をリリースする。