BRAHMAN|TOSHI-LOWが語る“怒り”の先にあるもの

踊れなかったら意味がないんだよ

──「ラストダンス」はリアルで刺さるリリックなんですけど、踊れるんですよ。それがこの曲のさらなるすごさで。

そう、踊れなかったら意味がないんだよ。まず足が動いてしまう、手が挙がってしまう、で、「何を歌ってるんだっけ?」って思って歌詞を読んで「ああ、こういうこと言ってるんだ」と気付いてくれたら、それで十分だと思う。

TOSHI-LOW(Vo)

──お説教じゃなくて音楽ですしね。

お説教のレベルも音楽のレベルも上がればいいんだよ。それに見合う器に盛ればいいっていうことだよね。ラーメンを平たいプレートに入れないじゃない? そういうことをやっちゃうアーティストはアンバランスになるから、世間から「お説教みたいなことをやらないでくれ」って言われるんだと思う。でも、もはや俺とかBOSSに「優しい言葉を使ってください」とかって言ってくるヤツなんか、いないけどね。自分でびっくりするもん、鏡見て「怖ええ」って。20歳くらいのときに見てた怖いおじさんってこういう顔してたんだよね。

──気が付いたら。

自分がなってたっていう。だからいいんじゃない? それ相応の俺たちが言ってるんだから。

──そんなお二人から「全身全霊」っていう、青いと思えるほどまっすぐな言葉が出てきたところが、興味深いんですが。

「全身全霊」って青臭くなくて、ほかのことを忘れるぐらい夢中になることにしか真実はないっていうことを俺たちはわかっているんだよ。考える余裕があるなら「全身全霊」じゃない。だから俺たちもすごく練習して、瞬間を燃やすようにやったときだけいいライブができると思うし。どうカッコつけようなんて思ってたら、見たい景色も見れない。とにかく夢中でやって、気付いたら何時間も経ってるってすごいじゃん。「世の中にそんな夢中になれることってある?」ってみんなに聞きたいし、それがある俺たちは幸せだと思う。あったら強いんだよ、その中にだけ真実があるんだよって伝えたい。

人はなりたいものになれる

──その「全身全霊」の意味って、「怒濤の彼方」で歌われていることにも通じている気がします。青いんじゃなく、今だから歌える熱さがこもっているというか。

10代のヤツが「やっぱブルースだよ」なんて言ってたら気持ち悪いでしょ? その器になってないから。それは年月もかかることであって。でも強さって、実は年月だけでもないところもある。だって10代の子が「今日突っ走って死んでもいい」って言うようなときは、強い言葉を持ててるんだよ。器が壊れやすかろうが。だから青いんじゃなく、覚悟がいる言葉なんだよね。大人になるとトーンダウンしていって「全身全霊じゃなく悠悠自適でいいんじゃない?」みたいになっていくけど。でも、そうじゃねえんだよって。

──“器”が見えるようになってきましたよね、最近のBRAHMANの楽曲からは。

TOSHI-LOW(Vo)

本当に価値がある器って、薄くて壊れやすいと思う。だから、若いときにやってる音楽は、儚さや一瞬のものとして価値があって、俺たちにもそういう音楽をやっていた時代もあったと思う。ただ、欠けたときに、その器を全部捨てられればよかったんだけど、俺はボンドで貼ってくっ付けたんだよ。それが自分が生きるための延命処置だったと思っていたんだけど。そしてまた割れるたびにくっ付けて……ってやってきて、継ぎ接ぎみたいになったんだけど、それで器が分厚くなった。スマートでカッコいい器ではないけど、それはそれでゴツゴツした、俺にしか作れない器になってるんだと思う。

──年齢を重ねるって面白いですね。そのバンド、その人、それぞれでいろんな器ができあがる。

そうだね。器がちっちゃい人もいるしね。「こいつほんと口だけだな」って。でも、結局ほんとの強さや信念を求めていけば、いずれそういう人からはボロが出るし。そうじゃない人は歳取ってももすげえライブをやる。いまだに打ちのめされてばっかだよ。60近くなってもこんなことできんのか?って。

──自分が60歳に近くなったときのことって、想像できます?

できないよ。でも、見本がある以上、やれないって言ったら負けじゃん。憧れるってことは、勝負を挑むってことだと思ってるので。遠くから眺めて「ああすごい」って言うことじゃない。「好きです」って言われたら、「やってみろよ」って俺なら言うもん。やらねえならそんな好きじゃないんだよ、って。あなたは才能があったんだ、あなたは恵まれてたんだ、あなたはタイミングがよかったんだって、それは違うじゃん。人はなりたいものになれるんだよ。そうじゃないなら、好きじゃないんだよ。

TOSHI-LOW(Vo)
BRAHMAN「不倶戴天 -フグタイテン-」
2017年4月12日発売 / TOY'S FACTORY
BRAHMAN「不倶戴天 -フグタイテン-」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1800円 / TFCC-89614

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BRAHMAN「不倶戴天 -フグタイテン-」通常盤

通常盤 [CD]
1200円 / TFCC-89615

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. 不倶戴天
  2. ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)
  3. 怒涛の彼方
初回限定盤DVD収録内容

BRAHMAN 2016 BEST MOMENTS

  1. 賽の河原 / 百万石音楽祭 2016~ミリオンロックフェスティバル~
  2. BASIS / RUSH BALL 2016
  3. SEE OFF / KESEN ROCK FESTIVAL '16
  4. BEYOND THE MOUNTAIN / MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 16
  5. ARRIVAL TIME / AIR JAM 2016
  6. ANSWER FOR... / 茨城県常総市災害復興支援イベント「Dappe Rock's」
  7. 警醒 / MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2016
  8. PLACEBO / ARABAKI ROCK FEST.16
  9. 鼎の問 / 風とロック芋煮会 2016 KAZETOROCK IMONY WORLD
  10. THE ONLY WAY / RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO
BRAHMAN「2017 Tour 戴天-タイテン-」
  • 2017年4月12日(水)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2017年4月15日(土)愛媛県 WStudioRED
  • 2017年4月16日(日)香川県 高松festhalle
  • 2017年4月21日(金) 福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
  • 2017年4月22日(土)富山県 MAIRO
  • 2017年4月24日(月)長野県 Sound Hall a.C
  • 2017年4月27日(木)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2017年5月20日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年5月23日(火)山口県 周南RISING HALL
  • 2017年5月25日(木)滋賀県 SHIGA U★STONE
  • 2017年5月27日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2017年6月6日(火)宮城県 Rensa
  • 2017年6月7日(水)岩手県 Club Change WAVE
  • 2017年6月15日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
BRAHMAN(ブラフマン)
BRAHMAN
1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半に1つの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開。2011年9月にシングル「霹靂」、2012年9月にシングル「露命」を発表し、いずれも強いメッセージと圧巻のサウンドがリスナーに受け入れられた。2013年2月に5年ぶりとなるアルバム「超克」をリリース。結成20周年の2015年にはベストアルバム「尽未来際」のリリース、千葉・幕張メッセで開催したライブイベント「尽未来祭」を含むライブシリーズ「尽未来際」の開催、初のドキュメンタリー映画「ブラフマン」公開などの活動を展開。今年4月にシングル「不倶戴天 -フグタイテン-」を発売する。