BoA 日本デビュー20周年連載 第2回|フレンズおかもとえみ×眉村ちあき×POLY / Klang Rulerやすだちひろが語る「BoAの変わらない魅力」 (2/4)

BoA→韓国ドラマ→K-POP

眉村 BoAさんってものすごく努力をしている人だと思うんです。たぶん、BoAさんって普通の女の子より声域が狭いんですよ。「地声で何オクターブも出ちゃいます」みたいなことではなく、むしろ地声では高音域がそこまで出ない。だからBoAさんはそこをファルセットでカバーしてるんです。でもファルセットは地声よりコントロールが難しいと私は思うから、本当にすごいなって。このファルセットでカバーする歌い方のスタイルがデビュー曲「ID; Peace B」の段階ですでに完成されてるんですよね。ということは、練習生時代に想像できないほどの努力をされているんじゃないかなって……もう! BoAさん、カッコよすぎます!

眉村ちあき

眉村ちあき

おかもと そんな話を聞いたら「ID; Peace B」の聴き方が変わりますね。そういえば、この曲に「チカチカチュー」って歌詞があるじゃないですか。当時の私はポケモンのピカチュウ的なものだと思っていたんです。今回の鼎談が決まって、改めて「チカチカチュー」について調べてみたら、当時韓国で流行ってた若者言葉「추카추카추! (発音:チュカチュカチュ / 意味:おめでとっ!)」から来てるということを知ってびっくりしました。すごくキャッチーですよね。

──その話って、少女時代が2010年に日本でリリースした「GEE(JPN Ver.)」で「やめちゃえ いっそ 嫌な事なんて全速力 回避せよ」で、「있어」(発音:イッソ / 意味:ある)や「세요」(発音:セヨ / 意味:してください)を日本語の中に混ぜて、韓国語をキャッチーにしたスタイルと同じですよね。BoAさんはそれを2001年の段階でやってたということ……え、これヤバすぎません? 眉村さんの話とダブルで鳥肌が立ちました。

おかもと そこにつながると思いませんでした(笑)。

おかもとえみ(フレンズ)

おかもとえみ(フレンズ)

──ちなみに、小学生でBoAさんに触れたおかもとさんとやすださんは、その後どのようにしてK-POPにたどり着いたんですか?

おかもと 私の場合はBoAさんにハマったあと、平日の夕方帯に韓国のドラマがめちゃくちゃ放送されてた時期に韓国ドラマの「華麗なる遺産」にハマるという流れがあって。そのあとに少女時代さんやKARAさんが日本で流行った。自分のルーツにBoAさんがいて、その後にドラマもあったから、K-POPはすんなり自分の中に入ってきたし、今も当たり前に好き。韓国のカルチャーに対して特別“好き”だと意識するというより、もっと自然というか、ご飯の隣にお味噌汁があるみたいな感覚なんです(笑)。

BoA

BoA

やすだ 私は小学生でBoAさんにハマったけど韓国での活動までは追えていなくて。当時は今ほどネットも普及していなかったし、情報源はテレビ、ラジオ、雑誌くらい。韓国の音源をどうやれば聴けるのかがわからなくて、そこで一度BoAさんを追うのが止まっちゃったんです。あと中学に上がって部活に打ち込むようになったし、小学生の頃よりいろんなことに興味が出てきたから、今思うと頭の容量が足りてなかったなって(笑)。高校を卒業してからバンドを始めて、聴く音楽もバンドサウンド一辺倒になって、バンドばっかり聴いていた2、3年があります。そんな中で一昨年「Nizi Project」(ソニーミュージックとJYPによるオーディションプロジェクト)を観て一気にK-POPに興味が出てきて。ネット環境も変わったし、サブスクでいくらだって音楽を掘れるようになった。それで今はK-POPも大好きになりました。でも私の中ではBoAさんはK-POPという認識ではなくJ-POPの人。だからK-POPを掘っていく中で出会ったaespaちゃんがBoAさんの事務所の後輩だと知って、びっくりしたし、不思議な感覚になりました。

やすだちひろ(POLY、Klang Ruler)

やすだちひろ(POLY、Klang Ruler)

3人が好きなMVは?

──せっかくの機会ですし、BoAファン同士で聞いてみたいことはありますか?

やすだ みんなはどのMVが好き?

眉村 私は「Only One」かな。この曲は間奏で男性ダンサーとがっつり絡むシーンがあるんですよ。MVではかっちょいい男性なんですけど、音楽番組に出るときはその役をSMのイケてる後輩男子が担当するんです。この曲が出たのはさっき話した高校時代だったので「今日は誰と踊ってるのかな?」って番組を観るのを毎回楽しみにしていましたね。

──SUPER JUNIORのウニョクさん、SHINeeのテミンさん、EXOのセフンさんが一緒に出ていた印象がありますね。最近はNCTのショウタロウさんがBoAさんと一緒に踊ってました。

眉村 そうそう。で、後輩たちは「ヌナ(お姉さん)、リードします」みたいな顔でダンスするんですよ。私はBoAさんが「今日はアンタね」って後輩を指名してるシーンを勝手に妄想したりもして(笑)。後輩たちが背伸びして、BoAさんをエスコートしているのがかわいくてしょうがなかったです。

おかもと 私は1つに絞れないので2つ紹介させてください。まず「ID;Peace B」。確か「COUNT DOWN TV」でこのMVを初めて観て。仏像の頭みたいな、つぶつぶした背景のライトがすごく印象に残っています。BoAさんはバンバン踊るし、衣装も面白くて、子供ながらに「カッコいい子が出てきた」と感じたのを強烈に覚えてます。

おかもと もう1曲は「NEGA DOLA」です。音楽番組で観ていたやんちゃ小悪魔みたいなイメージがあって好きです。このMVを観たときに「こんな女性になりたい」と思いました。

やすだ 私は「the Love Bug」(m-flo loves BoA)ですね。この曲が好きすぎて、「Love Bug」ってタイトルのデモ音源も作りました。曲調や歌っている内容は、本家とは全然違うんですけどね(笑)。

なんてカッコいいんだ!

──皆さんのお話を聞いてると、BoAさんは男に負けないイケてる女性、むしろ余裕で圧勝するくらいのスタンスをかなり早い段階から実践されていたような気がしました。日本はジェンダー平等や多様性に関して非常に遅れているので、これは改めてすごいことですよね。

やすだ 確かに! BoAさんや安室奈美恵さんを聴いて育った私からすると、令和になった今、ジェンダー平等が話題になること自体に少し違和感みたいなものを感じていたんです。もちろんそれは環境が恵まれていたからだとは思うのですが、女性がイケてるのなんて当たり前だし、誰にも媚びず「だから何?」みたいな少し生意気な態度でいる姿を見てその強さが最高にかわいいと思っていたので。振り返ってみるとこういう考え方は私が当時好きだったアーティストさん全員に共通してる気もします。

眉村 私も高校生の頃、K-POPオタクになっていろんなライブ映像や韓国の音楽番組を観た結果「BoAが最強」という結論にたどり着きましたもん。小柄でかわいらしいのに、1人で歌って踊って、バックにゴツい男を従えてる。その中でBoAさんはゴツい男に負けないオーラと存在感を当然のように放っている。私は最初グループアイドルのメンバーになりたかったけど、BoAさんを見て「私も後ろにでっかい男を配置したい!」と思ってソロをやることに決めたんです。もう本当にBoAさんはカッコよすぎる。しかも日本に来た当時はまだ14歳で幼いじゃないですか。なのに動じないあの感じ。なんてカッコいいんだ!

左からおかもとえみ(フレンズ)、眉村ちあき、やすだちひろ(POLY、Klang Ruler)。

左からおかもとえみ(フレンズ)、眉村ちあき、やすだちひろ(POLY、Klang Ruler)。

2022年4月8日更新