こいつらヤバい
──その後2018年10月に咲さんが加入したわけですが、どういう流れで加わることになったんですか?
咲 1年ちょっと前まで、僕は居酒屋で店長をやっておりまして。そこに同い年のはるひがいたんです。
はるひ 僕はアルバイトでした。
咲 「このまま居酒屋の店長として死んでいくのは嫌だな」と思っていたときに、はるひからグループの話を聞かせてもらって興味が湧いたんです。で、思い切って相談したら「メンバーが脱退するから、タイミング的にちょうどいい」と。唯丸®さんに「加入させてほしい」とお願いして、晴れて4人目のメンバーになりました。
──加入以前、ライブは観に行かれたんですか?
咲 お客さんとして観に行って、「俺の友達、大変なところに入ってるな」と思いましたね(笑)。唯丸®さんがダイブして、お客さんに担がれていたんですよ。最初は「こいつらヤバい」と思っていたんですけど、だんだん楽しくなってきちゃって。一番後ろで観ていても、体が勝手に乗ってきちゃうようなライブだったんです。メンズアイドルのライブを観ていると、メンバーの視野が前方エリアにしか向いてないと感じることが多いんですが、このグループからは「端から端まで巻き込んでやるぞ」という思いがビンビン伝わってきて。結局、その日のライブでは唯丸®さんをPA卓まで担いでましたね(笑)。お客さんも気合いが半端じゃないんですよ。
──咲さんが加入して、グループの雰囲気は変わりました?
赤司 仲が悪くなりましたね。
咲 ちょいちょい! ひっどいわー!
赤司 こんな感じでしゃべれるので助かってます(笑)。
はるひ 唯一のツッコミ担当ですね。
唯丸® 自分ではおバカキャラと言ってるんですけど、ホントは頭がいいんですよ。
りんのすけ あと、咲くんはファッションセンスが素晴らしいですね。彼の服装が好きでライブを観に来る人も多いんです。ちなみに、僕はいつも咲くんに服を選んでもらっています。今日の服装も咲くんのコーディネートです。
咲 僕らは私服でライブすることも多いんですが、りんのすけはかなりダサくて。前に「トイ・ストーリー」の柄の服でライブに出ようとしたから、真顔で「ホントにやめて!」って止めました(笑)。
はるひ 居酒屋の店長をやっていたから面倒見がよくて、周りの雰囲気を明るくしようとする人柄なんですよね。ライブ中にふざけることもあって。でも、もともとは真面目な人だから全部キャラなんです。
咲 やめろ!
唯丸® 根は真面目なんです。
編成と名前を変え、さらに進化
──2019年2月には1stミニアルバム「一目惚れ。」をリリースし、オリコンのインディーズアルバムランキングでウィークリー2位、メジャーアルバムランキングで9位という好成績を残しました。評判はどうでしたか?
唯丸® よかったですよ。いろんな人に知ってもらうための1枚という感じでした。
咲 ランキングに入ったことは、すごく自信につながりました。それまではメンズアイドル好きなお客さんが多かったんですが、若手俳優が好きな子とか、音楽以外のところからも集まってくれるようになって。いろんな垣根を超えられた1作だったのかなと思います。
──さらに同年4月には、東京・TSUTAYA O-WESTで開催された2ndワンマンのチケットがわずか30分で完売したそうですね。
唯丸® 2ndワンマンをやったあたりから、全員ボーカリストという編成を見つめ直すようになりました。アイドルとしてさらに進化したいと思ったんです。とはいえ形をガラッと変えるわけでもなく、手を伸ばしたら届く範囲で何かプラスできないかなと思い、パフォーマーという立ち位置を導入しました。
──その後7月に【放牧系-黒羊症候群】BLACKSHEEP SYNDROMEから、ぶらっくしーぷしんどろーむ。に改名しましたが、これにはどういう意図があったんですか?
唯丸® 前の名前は漢字とアルファベットで、パッと見でなんて読めばいいかわからないじゃないですか。だから平仮名にしました。
赤司 初見でも読めるようにね。
俺にしかできないことがそこにある
──グループの再編成や改名を経て、今度はれおんさんが新たに加入しました。
れおん 唯丸®とは知り合いで、前からグループのことを知っていたこともあって、「一緒にやらない?」と声をかけてもらいました。当時、僕はロックバンドを組んでいたから答えは保留にしていたんですが、あるとき活動休止したタイミングで「O-WESTでライブをするから観に来てくれ」と言われて、行ってみたらビックリしたんですよね。それまでは自分がグループにいる景色を想像できなかったんですけど、その日のライブを観て「俺が入ったらもっとカッコよくなる」「俺にしかできないことがある」と感じて。そんな流れから加入を決めました。
咲 れおんさんは音楽的な面もすごいんですけど、僕はファッションの面でも尊敬しているんですよ。だって、普通はこんなギラギラしたネックレスを付けないでしょ!?(笑)
──(笑)。でも、似合うから流石ですよ。
咲 カリスマ的な雰囲気があるし、音楽面でもガツンとグループの実力を底上げしてくれていると思います。
赤司 主メロも歌えるし、シャウトもできるし、ハモりもできる。とにかく音楽のスキルがすごいです。
──その歌唱技術は、どこで培ったものなんですか。
れおん 最初はR&Bをやってて、外国人をDJに迎えてクラブで活動していたんです。そのあとゴスペルをやって、さらにバンド活動を始めて。J-POP、邦ロック、ヴィジュアル系などひと通りのジャンルをやってきました。そうやって経験したことを、このグループで生かせていると思います。
──現在34歳とのことですが、音楽のキャリアは長そうですね。
れおん 中学生の頃に音楽活動を始めて芸能事務所にも所属して、これまでいろいろやってきましたが、今が一番楽しいですね。やっぱり僕らに対して「なぜ、今アイドルをやってるのか? しかもバンドサウンドで」という疑問が湧くのは自然だと思うんです。でも、僕も唯丸®も今までのバンド活動を通していろんな地獄を見て、苦労もしてきて。酸いも甘いも経験してきて思ったのが、熱いものを伝えてこそのバンドだけど、その熱量をアイドルに落とし込めばきっと面白いことができるんじゃないかということ。ただ、そう思っても行動に移せる人ってなかなかいないんですよね。それを形にできるのが唯丸®。そんなメンバーと一緒に音楽をやれてるので、今が一番楽しいです。
──アイドルって役割が分けられていて、プロデューサーの考えていることをメンバーが体現するという構造が多いですけど、このグループはメンバーがブレーンであることが魅力ですよね。
れおん グループもベンチャー化する時代になってきてると思うんですよ。大人が考えたアイデアを実行するんじゃなくて、自分たちで企画を考えて形にする。そういう点がほかのアイドルグループと大きく違いますね。
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成長していく過程を見られるのが醍醐味