軽薄な祈りもあれば崇高な祈りもある
──3曲目の「INORI」はスぺイシーな質感で。中盤のポエトリーラップっぽいパートを皮切りにEDMのような展開になっていくのが面白いですよね。
皆さんがハッとする曲にしたくて。かつメッセージをしっかり込めたかったので、けっこう音作りはこだわりました。ラップをポエトリーにしすぎるとノリづらいですが、ライブではずっとお客さんにノッててほしいので、試行錯誤したら魔改造みたいな、キメラみたいな、いろんなジャンルをつなぎ合わせた曲になりました(笑)。
──祈りというモチーフで曲を作ろうと思ったのはどうしてだったんですか?
「人」という漢字が祈ってるときの手みたいだなと思って。そこからインスピレーションが湧いて曲を作り始めました。祈りっていろんな性質のものがあって、ギャンブル好きな俺の「どうか当たってください」という軽薄な祈りもあれば、「神様、あの人を助けてください」という崇高な祈りもある。俺としては、他人のために祈ればいつか自分にも返ってくるような思想も示しつつ、過去を反省しながら暮らしていくときの等身大の祈りの曲です。「いろんな人間がいてわかり合えないかもしれないけどがんばろう」というメッセージを伝える、現代における電波ソングっぽいものにしたかったんです。
──「器用貧乏がコンプレックス」とか「そもそも俺の背も祈っても伸びなかったから」とBimiさん自身にまつわることも織り交ぜられていますね。
俺は背が伸びてたらバレーボールの選抜に選ばれて、アスリートの道に進んでいたと思いますけど、伸びなかったから辞めちゃって。届かない祈りもあったけど、一生懸命やってきたからこそ確立できた自分のマインドみたいなものが描かれています。
──祈りは祈りでも、利己的なものもあって(笑)。
そうなんですよ。他力本願は痛い目を見るよっていう……「一方祈った自分の為 ギャンブル溶かした4桁万円」の歌詞は実話なんです(笑)。
──ネガティブな経験も踏まえたうえで、等身大で人の背中を押す祈りの曲になっているところが今のBimiさんの曲という気がします。
そうですね。前よりも、いろんな人に響くような言葉をちりばめたし、でも自分らしさもあるというハイブリッドな歌詞になってきた実感はあります。いろんな人に聴いてもらいたいです。
神話にロマンを感じる
──リード曲を「カグツチ」(日本神話に登場する火の神の名前)にしたのはどうしてだったんでしょう?
Bimiのインディーデビュー曲「Tai」も日本神話をモチーフにした曲で。自分は神秘的なものに対する畏怖や憧れがあるんです。カグツチは日本神話に出てくる破壊と再生を司る神様で、曲は「INORI」の歌詞にも通じる部分はありますが、俺らが持ってる土着信仰に対する考えと、エゴを持って突き進むことを歌った決意の歌です。EPの中で一番大和魂に火を点ける曲になったのでリードにしました。あと、「オリエンタルポップってどういうもの?」と聞かれたときに一番わかりやすいサウンドだと思います。この曲の派生が「人」や「INORI」という位置付けですね。
──歌謡曲のテイストもありながら、ラップも入っていて、面白いハイブリッドですよね。
Bimiがトライしてきたものが、いい感じに融合できたなと。これまでいろんなタイプの曲を作りすぎて、Bimiがどんなアーティストなのか紹介しづらいなと反省してたんです。「さまざまな曲を作ってる」だけだとアーティストじゃなく、作家になってしまうと思うんです。それが、オリエンタルポップスというものを掲げることでカテゴライズできたように感じています。
──昔から日本神話に興味があったんですか?
はい。中二病だからか、基本、神話とかファンタジー系は網羅してると思います。神話って科学とかが進歩していない時代に生まれているので、ぶっ飛んでるんですよね。例えば「雷を増やしているのはきっと雷神様がいるから」とか超ロマンを感じるじゃないですか。たとえ言葉として間違ってようが、想像力でどう納得させるか、アーティストってそういう力が必要だと思うんです。神話って昔から語り継がれているだけあって、めちゃくちゃパワーがあるんですよね。
──「カグツチ」の声を張り上げるような歌唱のアプローチはBimiさんとしては異色だと思いました。
確かにそうですね。序盤はずっと歌謡曲っぽい歌い方というか。そのほうが情感がこもるので、この曲には合ってると思います。
──こういう歌唱もすんなりできるわけですよね。
俳優として舞台を経験させてもらったおかげで、歌がうまくなったところもあります。舞台に立って一番磨かれたのはステージングや想像力ですね。役者って脚本に書かれた文字を想像力を使って体現する仕事ですから。言葉1つに対してどれだけのアプローチを考えられるかが仕事なので、想像力がすごく培われます。中二病はゼロをイチにするのが好きなので、たぶん合ってるんだと思います(笑)。
攻撃は曲の中でやればいい、成功こそリベンジ
──27歳になっても中二病でいたい気持ちがありますか?
ずっと中二病でいたいですね。中二病って周りからはイタいと思われるかもしれないけど、自分の夢の世界にこもれる人とも言えると思うんです。社会で打ちのめされると、こもってた殻が壊れて修復できなくなるものですけど、今も中二病でいられているというのは、自分の世界や想像力にワクワクできているからであって。そんな環境にいられることは、とてもありがたいことだと思っています。今の自分は1回燃え尽きた炭みたいなものですが、まだ保温能力があって。自分でしか燃えることができなかったけど、今は相手にも点火できるし、点火してもらうこともできるようになったと思っています。自分に自信が付いたので、責任感が伴うようにもなってきましたし、いろんな人間と関わるようになって、その重圧すらも楽しみながら活動できていると思います。
──日常生活におけるメンタルも変わりましたか?
逆にいろんなことに無関心になりましたね。
──「人は人」と思えるようになった?
昔は何かあるごとに「こいつキモイな」と思ったり、ボコボコにされたら必ず復讐してやると考えていたんですけど、今は「勝手にどうぞ」という感じです。攻撃は曲の中でやればいいんで。自分が成功することが一番のリベンジで、他人を相手にしてる暇はないと思うようになりました。ボーナスタイムでふわふわしていて夢の中にいる感覚があるからこそ、さらに上がっていける気もしています。
──3月対バンとワンマンが交互に行われる「SOME MINGLE」ツアーがあり、4月末には東名阪の「Band Galley」ツアーが始まります。対バン相手はe5、G:nt、Jene、Lilniina、OHTORA、valknee、山田ギャル神宮、MADKIDという多彩な顔ぶれです。
俺、同年代の俳優の友達は多いんですけど、音楽をやっている知り合いが全然いなくて。友達が欲しいなと思って「SOME MINGLE」ツアーを組みました。埼玉公演に出てくれるMADKIDはもともと仲間ですが、それ以外の会場は友達になりたい方を呼んでみました。同世代を中心にしたムーブメントが作れたらいいなと思っています。昔の自分だったら「出たいと言うヤツしか出さねえよ」というスタンスでしたけど(笑)、心を開けるようになりました。「Band Galley」では生バンドで披露するので、楽曲の深みが増すと思います。特にインディーズ時代の楽曲って予算や時間の関係でサウンド面でこだわりきれなかったところがどうしてもあったので。
──「Band Galley」ツアーの4月28日のファイナルはBimiさんの28歳の誕生日です。
27歳になって自分的にはあまり誕生日に興味はなくなったんですが、ファンの方にとっては俺の誕生日にライブがあることは大事だと思うので。「感謝」と言っちゃうと気持ち悪く聞こえるかもしれないですが、誕生日にライブをすることで感謝の思いを伝えたり、他者に与えられるものがあったらいいなとは思いますね。あと、「Dear 27th」から1年経った現状を見てもらいたいという気持ちもあります。会場も去年と同じO-EASTですし。
公演情報
Bimi Live Tour 2026 -SOME MINGLE-
- 2026年3月20日(金・祝)千葉県 千葉LOOK
<出演者>
Bimi - 2026年3月28日(土)石川県 Kanazawa AZ
<出演者>
Bimi
ゲスト:e5 - 2026年3月29日(日)長野県 LIVE HOUSE J
<出演者>
Bimi - 2026年4月11日(土)兵庫県 Harbor Studio
<出演者>
Bimi
ゲスト:G:nt / Jene - 2026年4月12日(日)愛知県 CLUB SANGO
<出演者>
Bimi
ゲスト:Lilniina / OHTORA - 2026年4月18日(土)福岡県 LIVE HOUSE CB
<出演者>
Bimi - 2026年4月19日(日)広島県 Live space Reed
<出演者>
Bimi - 2026年5月9日(土)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
<出演者>
Bimi
ゲスト:valknee / 山田ギャル神宮 - 2026年5月10日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
<出演者>
Bimi
ゲスト:MADKID - 2026年5月23日(土)東京都 ダンスホール新世紀
<出演者>
Bimi
Bimi Band Galley Tour 2026 -Dear 28th-
- 2026年4月24日(金)大阪府 Music Club JANUS
- 2026年4月26日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2026年4月28日(火)東京都 Spotify O-EAST
プロフィール
Bimi(ビミ)
1998年4月28日生まれ、千葉県出身。廣野凌大として俳優活動を行う傍ら、2021年6月に配信シングル「Tai」でアーティストデビューした。2023年10月にはキングレコード内レーベル・EVIL LINE RECORDSからメジャーデビュー。最新作は2026年3月リリースのEP「【人】 / INORI」。同年3月から5月にかけてゲストを迎えたライブツアー「Bimi Live Tour 2026 -SOME MINGLE-」を、4月にはバンドセットでの東名阪ツアー「Bimi Band Galley Tour 2026 -Dear 28th-」を行う。




