BARBEE BOYS「BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22」インタビュー|あの熱狂から30年、杏子&イマサと振り返る東京ドームでの一夜

「全然ドームっぽさが感じられない」ライブ映像

──改めて東京ドーム公演の映像を観直して、何か発見はありましたか?

いまみち 今回の映像はビデオ用に撮影していたものじゃなく、会場のスクリーン用に撮ってたものなんだよね。だからアップの場面が多くて、全然ドームっぽさが感じられない(笑)。

杏子 引きで捉えた映像があんまりなくてね。

いまみち 「俺、今ギター弾いてるのになんでそっち映すの!?」ってシーンもあったし(笑)。でも逆に、ドームだから違うことをやるんじゃなくて、いつも通り演奏してたあの雰囲気が伝わるのはよかったなって。

杏子 細かいところだと、オープニングの「なんだったんだ? 7days」で煙モクモクな中演奏が始まるんだけど……。

いまみちともたか(G)

いまみち あんな二酸化炭素いっぱいの中でよく歌えたよね(笑)。

杏子 歌が始まる頃には煙がなくなると思ったんだけど、全然消えなかったんだよね(笑)。しかも冒頭、私が端っこのお立ち台で張り切っちゃってて! 煙がなくなって5人がバーン!って出てきたらカッコよかったのに。

いまみち あの出方、直前に決めたっぽいじゃん。「ギターが鳴ってから出よう」って話してたよね。

杏子 そうそう! で、直前になって「タンバリンどこ!?」って探してたり。

いまみち 本番前に「マイクない!」とか(笑)。あと驚いたのは、衣装がバブリーだなーって。

杏子 でもみんなちゃんと着こなしてたよね?

いまみち いやいや! 何あの肩パッド(笑)。

杏子 あれはあれでカッコいいから! 私はなんでタイトスカートと太いベルト着ちゃったのかなーって思った。しかもずっと髪を結んでて、「負けるもんか」のときにバサッとほどきたかったんだけど……。

いまみち 「取れない!」ってなってね。引きの映像だったらわかんなかっただろうけど、アップで映っちゃってたからな。

杏子 もうちょっと前から外しておけばよかったのに。ほかにもジャケットに髪の毛が引っかかったり、トラブル大発生で。もし私がバービーのマネージャーだったら、ライブ後に「杏子、別室!」って呼び出してガーッ!って怒ってたと思う(笑)。

──当時の気持ちって、けっこうありありと覚えているんですね。

杏子 ほぼほぼ忘れてたんだけどね(笑)。映像を観たら思い出しちゃった。

歌詞の登場人物に「最低!」のダメ出し

──さまざまな経験を経て音楽的な幅が広がったお二人にとって、当時のバービーの音楽は今どんなふうに聞こえますか?

杏子 イマサが作ってきた曲が古くなってないのがすごいなって思った。こないだリリー(・フランキー)さんが「The Covers'Fes.2018」で私たちのライブを観てくれたあと、「『懐かしいバンドだね』って感じじゃない。今でもカッコいい」って言ってくださったんです。まさにその通りだなって。

──いまみちさんはどうですか?

いまみち けっこうさ、俺はアンプとかエフェクターとか凝りたいタイプなの。毎回工夫して「へっへっへ!」って気持ちで演奏してたんだけど、聴き直してみたら「あれ? 今とあんまり変わってねえや」って思ったよね(笑)。

杏子 それは唯一無二ってことなのかもしれない。もしバービーのサウンドをマネしようとする人たちが出てきても、絶対違う音になると思う。付いて来られる人が全然いないから、唯一無二な立ち位置にいるって感じがしたもん。

──バービーはサウンドだけでなく、男女掛け合いのボーカルでリアルな恋愛模様を歌う歌詞も評価されてきました。そんな中、KONTAさんは以前あるインタビューで「歌詞の意図がちゃんと届いて、これだけのお客さんが集まっているのか」と疑念を持っていたとお話していたことがあったんです。

いまみち ……すごいKONTAっぽい意見だね(笑)。

──お二人はその点に関して、どのように考えていましたか?

いまみち 俺はあんまり深く考えてなかったかなー。歌詞はビートで、伝わる伝わらないよりも、いい感じに響けばいいなって思っていて。内容はむしろ勝手に想像してほしい。

杏子 歌詞はいつもイマサが作ってきたじゃん? よくこんな「実体験じゃないの?」って思わせるような内容考えるなって感心してた。

左から杏子(Vo)、いまみちともたか(G)。

いまみち 歌詞に出てくるキャラに対して「最低!」ってダメ出しされたこともあったし(笑)。

杏子 そうそう。「私こんな女と思われたくない!」っていうのがあってね。でも、もっとなりきったほうがよかったのかな。そこは少し心残りだったかも。歌詞はイマサが作ったものに関しても、自分が書いたものに対しても、「この歌詞はこうやって受け取ってください」と思ったことはないかな。聴く人の実体験によって、受け取り方って違うじゃないですか。だから聴いてくれた人それぞれで解釈してもらえればいいし。

いまみち でもKONTAは「誤解されたくない」と(笑)。

杏子 KONTAくんっぽいわー(笑)。

8年ぶりのライブ、なんで実現したんだろう?

──当時どんどんバンドの知名度が上がっていくことに対して、お二人はどう感じていました?

いまみち メジャー感、全然なかったよね(笑)。「街なんか歩けない!」とか言う人いたけど、俺ら全然普通に歩けたし。

杏子 当時ツアーで新幹線を降りたとき、男子が若い子たちに「キャー!」って追っかけられたことがあったんだけど、私は取り残されて後ろを歩いてたら、おばさんが「ねえねえあの人たち誰なの!?」って話しかけてきて(笑)。確かに大きいホールでライブはできたけど、そんなに上り詰めてるって感覚はなかった。唯一、渋谷公会堂でライブをやったときにKONTAくんが「渋谷のここまで登ってきた」って言ってたのは覚えてる。

いまみち まあ、渋谷の坂を登ってきただけだけど(笑)。

杏子 「渋公まで行きたい」というのはソニーのオーディションの頃から話していたからね。

──メンバー同士の関係性は当時からそれほど変わっていないですか?

いまみち 「お変わりなく何よりです」って感じ(笑)。

杏子(Vo)

杏子 「The Covers'Fes.2018」出演後のインタビューも、リリーさんがなんと言おうとエンリケ(B)もコイちゃんもずっと「ふーん」みたいな雰囲気で(笑)。「そうそう、バービーはこの感じ!」って思ったよね。

──当時を懐かしむ人もいれば、新鮮に感じる世代もいるバンドだからこそ、この先も継続的に活動してくれたらな……と思うのですが、皆さん自身のお気持ちとしてはどうですか?

杏子 こないだリリーさんと池田エライザちゃんに同じようなことを聞かれたとき、男子は首を縦にも横にも振らず(笑)。私は「うーん、やりたいなー」ってチャラチャラしてたんだけど。

いまみち だって、女性の頼みを無下に断るところを見られるのも嫌だし、かと言って「やっぱりお姉ちゃんの頼みに弱いな」って思われるのもしゃくだし。ここは動かないでおこうって。

杏子 エライザちゃんがイマサのこと、クリックリのまなざしでジッと見てた(笑)。

いまみち 「見つめないで!」って思ってたよ(笑)。

杏子 でも動かなかったね。

いまみちともたか(G)

いまみち 「The Covers'Fes.2018」は出演できる環境が作られて、たまたまみんなのスケジュールが空いてたから乗っかっちゃったって感じで。やってみて楽しいのはわかったけど、我々からはしゃぐのもなんだし。俺ら、頑固なわりに自主性ないよね。

杏子 なんで「The Covers'Fes.2018」に出演できたか、全然わかんないもん(笑)。

いまみち 全員わかってない(笑)。みんなほかの4人のせいにしてる。

──若いバンドとの対バンなど、世代差のある人たちと競演する機会が増えたら面白そうだなと思うんです。

杏子 イマサと私はOKAMOTO'Sとコラボしたこともあるしね。あとはTRICERATOPSとも競演したし、この3世代でやるのもいいかも。

いまみち そう言えばこないだのインタビューでコイソ、「次はがんばります」って言ってたよね(笑)。

杏子 だからまたライブする機会、あるかもね。

左から杏子(Vo)、いまみちともたか(G)。
BARBEE BOYS「BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22」
2018年11月21日発売 / ソニー・ミュージックダイレクト
BARBEE BOYS「BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22」Blu-ray

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BARBEE BOYS「BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22」DVD

[DVD] 4860円
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収録内容
  1. なんだったんだ? 7DAYS
  2. 帰さない
  3. MIDNIGHT CALL
  4. もォやだ!
  5. あいさつはいつでも
  6. midnight peepin'
  7. 小僧-cryin' on the beach
  8. ふしだら VS よこしま
  9. タイムリミット
  10. 打ち上げ花火
  11. Dear わがままエイリアン
  12. 泣いたままで listen to me
  13. はちあわせのメッカ
  14. わぁい わぁい わい
  15. ごめんなさい
  16. ナイーヴ
  17. C'm'on Let's go!
  18. 離れろよ
  19. 負けるもんか
  20. 翔んでみせろ
  21. ラサーラ
  22. 使い放題tenderness
  23. 女ぎつね on the Run
  24. チャンス到来
BARBEE BOYS(バービーボーイズ)
KONTA(Vo, Sax)、杏子(Vo)、いまみちともたか(G)、エンリケ(B)、小沼俊昭(Dr)の5人からなるロックバンド。1984年9月にシングル「暗闇でDANCE」でメジャーデビューし、1987年にリリースした「女ぎつね on the Run」でブレイクする。1992年1月に解散するが、2003年に行われた所属レーベル・EPICレコードジャパンの25周年記念イベントで復活を果たした。さらに2008年8月には野外フェスに出演、2009年2月には約17年ぶりの全国ツアーを4都市で実施。2018年10月にはイベント「The Covers'Fes.2018」にて約8年ぶりとなるライブを行った。同年11月には、1988年に開催された東京・東京ドーム公演の模様を収めた映像作品「BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22」がリリースされた。