ラジオでつながったRude-αと遥海
──「Radio feat. Rude-α & 遥海」という今回のためのオリジナル曲も収録されていますが、オリジナル楽曲の制作についてはどう捉えていますか。
僕らは2014年からオリジナルの楽曲を作らせてもらっていて、去年は「everyday is a NEWDAY」というコンピレーションアルバムも作ったんですね。その作品を作って以降、レゲエ以外のアーティストともやってみたいという気持ちがどんどん高まっていて。「everyday is a NEWDAY」に収録された「DIRECT」では裂固とNEO HERO、RAYという3人ともやったんですが、裂固みたいな若いラッパーともどんどんやっていきたいと思っていたんです。そんな頃にZIP-FMでRude-αと初めて会って彼の作品をもらったんです。聴いてみたらめちゃくちゃカッコよくて。それで今回アプローチしてみたんです。
──遥海さんとの出会いは?
女性シンガーを誰かフィーチャーしたいなと考えていたとき、遥海ちゃんのことを知ったんです。それもZIP-FMがきっかけで。
──じゃあ、まさにラジオ局でつながった2人だったわけですね。
そうなんですよ(笑)。遥海ちゃんのパートは僕らが歌詞とメロディを考えたんですけど、RUDE-αは自分で作りたいということだったんで、こちらから曲調のことを伝えてたんですね。彼は最初、「僕は宇宙語で作るんですよ」と言ってて。
──宇宙語?
メロディとフロウだけの意味のない言葉ということですよね。それでペラペラッと歌って、そこに言葉をハメていくという。その宇宙語の仮歌のなかになぜか「RADIO」という言葉が入ってたんですよ。そこで「RADIO」をテーマにして、悩める少年をRUDE-αに演じてもらって、手を差し伸べるナビゲーター役を遥海ちゃんにやってもらおうと考えたんですね。
──RUDE-αはラップじゃなくて歌も歌えるし、すごく柔軟ですよね。
そうですね。1曲の中で3人ぐらいのスタイルをやってのけるし、フックを自分で歌えるというのも大きい。バリエーションが豊富なのも彼の特徴ですよね。
──今回のダブプレート集には名古屋のPERSIAが主宰するPLAZMA RECORDZ周辺アーティストであるとか、大阪のVIGORMANなど若手のレゲエDJも入ってますよね。彼らは現行のダンスホールとトラップのような最新のラップスタイル両方から影響を受けていて、まさに新世代という感じがします。
そうですね。今回入っているアーティストで言えば、PERSIA、VIGORMAN、SHADYなんかはヒップホップのシーンと積極的に一緒にやってますよね。VIGORMANは変態紳士クラブというユニットでWILYWNKAと一緒に活動していますし、2017年ぐらいからそういう動きが活発になってきた感じがします。あと、ラッパーがレゲエのアーティストをリスペクトしてくれてるのが大きいですよね。ジャンルを超えたコラボレーションもナチュラルにできるようになってきている。
俺に応援させてくれよ!
──日本のレゲエシーンについてはどう思いますか?
正直な話、日本全体のレゲエシーンについてはあまり意識していないんですよ。僕自身、2008年以降ジャマイカに行っていなくて、そのころからジャパニーズレゲエに特化したものをやろうと考えてきたんです。僕らはMIGHTY CROWNのように世界を相手に勝負しようとしているわけではなくて、「BANTY FOOTというレゲエのサウンドを通して、いろんな人たちを応援していきたい」というのが重要なテーマになってるんです。そうした活動の結果、日本のレゲエシーンにプラスになっていたらいいなと思っていて。
──ジャンルを超えて、音楽の力そのもので老若男女を応援していきたい、と。
そうですね。ポップスやアイドルを聞いて明日からの仕事をがんばろうと思うように、BANTY FOOTの音楽を通じてそういう気持ちになってくれたらいいなって。
──サッカーの夢を諦めてやさぐれていたJUNさんがMIGHTY CROWNのプレイで勇気付けられ、新たな目標が持てたように、BANTY FOOTの音楽で救われる人もいるはずですよね。
うん、そうですね。以前「JUNくんに大丈夫って言ってもらえるとがんばれる」と言ってもらったことがあったんですけど、僕なんかでも求めてくれる人がいるんだと思って。応援をテーマにした曲を作るようになったのはそれからですね。……僕ね、「応援おじさん」をやってるんですよ(笑)。
──応援おじさん?
自分がナビゲーターを務めているZIP-FMの「DIRECT」という番組以外でも、「Groover's Dive」というプログラムの中で「応援おじさん」というコーナーをやってて。愛知県の高校に行って、「今がんばってることってありますか?」と生徒に街頭インタビューするんです。「ないです」と答えられても「あるだろ! 俺に応援させてくれよ!」と強引に押し切って(笑)。
──ほとんど松岡修造的な(笑)。
応援したくて仕方ないんですよ(笑)。その街頭インタビューのあとに、僕が選曲した1曲が流れるというコーナーをやってるんです。前のアルバム(「everyday is a NEWDAY」)に入っていた「交差点」という曲が自分にとってもターニングポイントだったんです。この曲も応援をテーマにした曲だったんですけど、普段レゲエを聴いてないリスナーも反応してくれたんですよ。これまで届いていなかったところまで自分たちの音楽が届いていることを実感することができた。今後もそういう音楽を作っていきたいと思っています。
Rude-α
今回プロデュースをJUNさんにしてもらったのですが、「こういうの入れてみたらどうか」「歌詞はこんな感じがいいんじゃないか」など、よいアドバイスをもらえてやりやすかったです。遥海さんの歌声も芯が通っていて、ほかにないような歌声で個人的に大好きな曲になりました。
歌詞のテーマは暗い部屋で悩んでいる主人公がラジオをつけて、そこから聞こえてくる音楽が「1人じゃないんだよ」って自分に対して歌っているという世界感を描きました。
この曲がみんなの背中を少しでも押してあげられるような存在になれればうれしいです。ぜひ聴いてください!
遥海
この曲をどういうものにしたいか、JUNさんといろいろ話しました。
私のパートはミュージックナビゲーターの目線で、困ってるリスナーの皆さんを包み込むような優しさとあなたは1人じゃないよと味方になるイメージで歌いました。
実際に、ZIP-FMで番組をやらせていただいてるので、こういう曲を歌えてとても幸せです。
とてもパワーになる曲です! 誰にも話せない悩みだったり、誰も聞いてくれないだろうって思ってる方にとてもオススメです! 困ってるときはこの曲を聞いて元気を出してください!