名古屋を拠点に活動する4人組バンド・バンドハラスメントが、初の全国流通盤となるミニアルバム「エンドロール」を5月3日にリリースする。
2015年11月にライブ活動を開始し、翌年夏には多数の大型フェスティバルへ出演して各地で話題を呼んだ彼ら。音楽ナタリー初登場となる今回は、バンド結成の経緯から本作に込められた「過去の恋愛」に対する思いまでメンバーに話を聞いた。
取材・文 / 大橋千夏 撮影 / 後藤壮太郎
引き込もりながらも「バンドやってみたいな」
──まずはバンド結成のいきさつから教えてください。
斉本佳朗(Dr) 僕とはっこー(B)は小学校からの友人なんですけど、中学のときにはっこーくんが不登校になっちゃいまして。当時学校でバンドが流行っていたこともあり、僕が彼に「バンドやろうぜ」と言ったのが始まりですね。ワタさん(G)は高校の先輩なんですけど、「すごいギタリストがいる」と紹介されてライブを観に行ったら惚れてしまって。すぐに「一緒にやりましょう」と誘いました。
──斉本さんもはっこーさんも、それまで楽器の経験はまったくなかったんですよね。はっこーさんは誘われたときどう思ったんですか?
はっこー(B) 実はずっと音楽に興味はあったんです、引き込もりながらも(笑)。「バンドやってみたいな」って思っていたところだったから、驚いたけどうれしかったですね。
斉本 僕にとっては、とにかく「はっこーくんと何かをする」ってことが大事だったんです。
──「こいつとやれば面白くなる」という確信があった?
斉本 それもありましたけど、彼とは小学校からずっと一緒で、僕ははっこーくんがいないと1人にもなれないというか……2人で1つなんですよ。僕1人で何かできると思ったことはないし。
はっこー なんだよ(笑)。あの、決して変な関係ではないです。
斉本 あはは(笑)。それで高校時代は別のボーカリストとバンドをやっていたんですけど、結局うまくいかなくなって。ちょくちょく対バンしていた井深くんを誘って、今の4人になりました。
影響されたアーティストの1人は「彼女」
──皆さんの音楽的なバックグラウンドについても教えてください。
はっこー 僕がバンドに興味を持ったきっかけはBUMP OF CHICKENとthe pillowsで、この2組の曲は今でもよく聴いてます。
井深(Vo) 僕はもともとJ-POPが好きだったんですけど、いろいろと聴いていくうちに洋楽にハマって。ブルーノ・マーズやジャスティン・ビーバーみたいな、海外のソロアーティストをよく聴いてましたね。自分で歌ってみようと思ったのも彼らの影響です。
ワタさん(G) 僕は親がインテリア用に買ってきたギターを触り始めたのが、音楽を始めるきっかけで(笑)。いわゆる海外のギターヒーローと呼ばれる人たちだったり、ブルースギタリストに憧れていました。
斉本 僕はあまり音楽を聴くという習慣がなくて。なので好きなアーティストとか憧れのバンドも特にいないんですよね。
──バンドハラスメントの楽曲はすべて、斉本さんが作詞作曲を手がけていますよね。「音楽を聴くという習慣がない」という人からこんなに親しみやすくてキャッチーなメロディラインが出てくるのは不思議な気がします。
斉本 親父がOasisとか奥田民生さんをよく聴いてたので、その影響はあるかもしれないですね。あとは影響されたアーティストというか……僕、中高と長く付き合っていた彼女がいたんですけど。その子がバンド好きで、自分でもギターを弾いていたんです。彼女と出会っていなければバンドを始めていないし、彼女のことを「影響されたアーティスト」と言ってもいいくらい、大きな存在でした。
バンド名で2、3週間ケンカ
──バンドの方向性を決めるうえで指標になったアーティストはいますか?
斉本 特に例を挙げて話したことはないですね。あまり自分たちのジャンルを意識したこともなくて。
──では、「バンドハラスメントらしさ」をあえて言葉で説明するとしたら?
斉本 ほかのバンドと比べるとってことですよね? そうだな……曲がよくて、ボーカルの声質がいいバンドです。
井深 あはは(笑)。でも、難しいですね。自分たちが好きだと思うことをやっていたら、それが自然と「バンドハラスメントの色」になっていくのかなとは思っています。
──アルバムを聴かせていただいて、楽曲のクオリティはもちろん、言葉のチョイスが秀逸だなと感じて。インパクトのある歌詞が多いと思うのですが、バンド名も1度聞いたら忘れられないインパクトですよね。
斉本 バンド名は僕が付けました。でも3人はイヤだったみたいで、それから2、3週間ケンカしましたね(笑)。それでも「俺はこれでいきたい」って言い続けてたら、3人も「なんかよく思えてきた」って。
井深 最初は「ひっでーな」と思いましたけどね(笑)。不思議なもので、聞けば聞くほど愛着が湧いてきたんです。
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難しい言葉を使いたいなら、小説家になったほうがいい
- バンドハラスメント「エンドロール」
- 2017年5月3日発売 / SANTA IS PAPA
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[CD]
1944円 / SANPA-0001
- 収録曲
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- 脇役
- 大人になるために
- サヨナラをした僕等は2度と逢えないから
- 君がいて
- アリバイパリナイ
- 9月4日
- バンドハラスメント「エンドロール TOUR」
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- 2017年5月13日(土)東京都 TSUTAYA O-nest
- 2017年5月17日(水)福岡県 Queblick
- 2017年5月20日(土)大阪府 新神楽
- 2017年5月27日(土)愛知県 栄R.A.D.
- 2017年6月1日(木)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2017年7月1日(土)北海道 札幌KRAPS HALL
※ライブイベント「夢チカLIVE vol.121」への出演 - 2017年7月15日(土)会場未定
- バンドハラスメント
- 井深(Vo)、ワタさん(G)、はっこー(B)、斉本佳朗(Dr)からなるロックバンド。2015年11月に現在のメンバーが集まり、名古屋を拠点に精力的なライブ活動をスタートさせる。2016年には「SUMMER SONIC」、「METROCK ZERO」と大型ライブイベントに相次いで出演。10月に1stシングル「君がいて」を名古屋地区限定でリリースし、初の全国ツアーを敢行した。2017年5月に初の全国流通盤となるミニアルバム「エンドロール」を発表する。