音楽ナタリー PowerPush - BAGDAD CAFE THE Trench Town
全員が主人公 新生BAGDADの向かう先
レゲエ界の原由子を目指す
──「EVERLONG」を聴くと、バンドの幕が一旦下りて、BAGDAD RIDDIM SECTIONでいろいろな実験もして、その期間のトライ&エラーがしっかりと生かされているようにも感じました。
番長 maiがいない期間にいろんな経験をして、新しい挑戦がたくさんあったんで、それを形にしたかった。今回のレコーディングエンジニアは、自分らが主宰しているイベント「MEETS THE REGGAE」をはじめ、いつもライブでPAやってもらってる原さんという方にお願いしたんですけど、それも初めてのトライで。この5年間で積み重ねていった音楽の経験だったり、人間関係から生まれた新しいグルーヴを大事にして作ることができました。
──例えば、今回のアルバムの方向性が見えてくるきっかけになった曲などはあったりしますか?
番長 個人的には「Anything Goes」かな。
mai 私もそうやねん。
番長 この曲は、今までとは違う角度でやれたかな。歌モノっていうことにとらわれすぎてもいず、楽曲としても成立してる。続けて収録したダブミックスはマッド・プロフェッサーにやってもらったんですけど、もともと歌のパートが少ない楽曲だけど、マッドから上がってきたダブはさらに少なくなっていて。それでも楽曲として成立しているような。そういうサウンドをちゃんと出せたかなって思います。
NHK それはやっぱりBAGDAD RIDDIM SECTIONで培ったものが大きい。
番長 maiちゃんも今までにない、初めての声の出し方をしていて。ガッと歌い上げて引っ張っていくだけじゃなく、さらっと柔らかく歌っていく。そういう新しいことにもいろいろ挑戦できた曲になりました。
mai ボーカルに関しては、ロリータレゲエみたいに仕上げたかったんです。“レゲエ界の原由子さん”をイメージしつつ(笑)。ライブでこれをどう再現するかっていうのも、楽しみのひとつですね。
──「夢をかぞえて」はどうですか?
mai 今作の中では最初にできた曲なんですよね。
番長 復帰後初のライブになった「MEETS THE REGGAE 2013」で、すでにやってましたね。
mai 私の再スタートでもあり、バンドとまたこうやって一緒にスタートする、その気持ちに沿った歌詞を書いて。あとは、待ってくれたファンの方々への思いも込めて、この曲から新たに歩いていこうと。
NHK maiちゃんが復帰したその日ぐらいに「新しい曲あんねん」って言って持ってきたのがこの曲。最初に合わせたときの、maiちゃんのパワーといったら……。
番長 せやな。俺らはずっとやってきたけど、maiちゃんはひさしぶりやからか勢いがすごくて。自分から「やりたい曲あんねや」って。いきなり言われてもできひんから、まずどんな曲か教えてって。もう、前のめり前のめりで(笑)。
mai そうやってな、コテコテ感を印象付けるのやめてくれる?(笑)。
──(笑)。沸々と溜まっていたものが、一気に放出されたんでしょうね。
mai そうなんですかね(笑)。そのときそのときにしか書かれへん曲を書いていきたいなって思うようになって。本来、そうあるべきなんでしょうけど、休む前はそれができないようになってて。
──一回離れることで、やりたいこととやるべきことが見えてくることもありますからね。アルバムタイトルにもなっている「EVERLONG」という曲はどうですか?
番長 “EVERLONG”って、“このまま”とか“ずっと”って意味なんですけど、やっぱり潰れるようなことはやらんとこう、このままずっとこのメンツでやっていこうっていう思いを宣言したような曲ですかね。だから、ほかの曲よりもアレンジをシンプルにして、そのメッセージがより伝わりやすくなるようにしました。
Sundayカミデは高校の先輩
──あと、今回のアルバムには、Sundayカミデさんが作詞・作曲した「THIS WAY」という曲も収録されていますね。
mai カミちゃんから曲ができたって連絡があって、カミちゃんの家に行ってピアノと少しあわせたぐらいで、あとは「俺が書いたは書いた。あとはBAGDADのみんなで好きなようにやって」って。
番長 だから今回もすごくSundayっぽいなっていうか。温かい中にも攻めてる感じもあって。
mai カミちゃんが歌ってるのも想像つく。
──Sundayさんの楽曲って素晴らしいなって改めて思いました。どういった経緯で知り合ったんですか?
番長 以前にも1stアルバム(2003年8月発売の「Love Sunset」)で何曲か書いてもらってて。僕はまた別に、ワンダフル・ボーイズで一緒にやってて。奇妙礼太郎とSundayと僕とで一緒に住んでた時期もあったり……まあ、もともと2人は同じ高校の先輩なんですよね。
──そうなんですね! 奇妙さんにしてもSundayさんにしても、もともと近くで活動してた人がまた別のところで注目されるようになって。そういう状況を見て、どのように感じましたか?
番長 僕はめっちゃうれしいですね。昔、一緒にやってた頃から、なんでこの人たちが光を浴びひんのやろって、ずっと思ってたし。めちゃくちゃ才能あるし、ほかのどんなバンドの演奏を観ても、「奇妙くんのほうがエエ声してるな」「Sundayの曲はやっぱりエエな」って感じてたし。だから、今の活躍は、そりゃそうやって思いますね。
次のページ » レゲエにはこだわっているけどこだわってない
- ニューアルバム「EVERLONG」2014年9月17日発売 / 2300円 / apple of my eye / AOME-0006 / Amazon.co.jp
- BAGDAD CAFE THE trench town「EVERLONG」
収録曲
- Feel&Go
- Make Your Fire
- Birthday
- 夢をかぞえて
- THIS WAY
- HIGH PRESSURE
- Anything Goes
- DUBthing Goes(Sadam Dub by Mad Professor)
- EVERLONG
- Feel&Go(LIVE @MEETS THE REGGAE 2014)
BAGDAD CAFE THE Trench Town
(バグダッドカフェザトレンチタウン)
レゲエを愛するナニワのソウルロッカーズ。2001年に大阪を拠点に活動をスタートさせ、2003年8月にリリースした1stアルバム「Love Sunset」が地元FM局でヘビーローテーションされるなどして注目を集める。2005年9月に3rdアルバム「MOVIN' ON」でメジャーデビューを果たし、数多くの野外フェスにも出演。2006年8月発売の4thアルバム「GOOD TIMES」は、オーセンティックなラヴァーズロックサウンドを追求し話題を呼んだ。2010年にリードシンガーのmaiが脱退するも男性メンバーのみで構成されたBAGDAD RIDDIM SECTIONが始動し、フレキシブルな活動を展開。2013年にmaiが復帰したタイミングでRANとBigmomの女性ボーカル陣が再び合流しBAGDAD CAFE THE Trench Townとして再スタートを切った。2014年9月に約5年ぶりとなるニューアルバム「EVERLONG」をリリース。