「抱きしめてアンセム」から着想した「ゴマスリッパー」

──「ゴマスリッパー」はコミカルなナンバーで、今までのあゆくまの曲とはちょっと違うなと思ったんですけど、なぜ今回はこういう曲ができたんですか？

まき　「ゴマスリッパー」みたいな曲をやりたいと思ったのは年末に出させてもらったイベント「何でこんな感じなんですか？ねーtion supported by uP!!!」（参照：あゆくま、しゃち、岡崎体育、カリスマ、ダイノジがお台場で踊りまくり）で、チームしゃちほこさんのパフォーマンスを観たからですね。私たちはしゃちほこさんと一緒に「抱きしめてアンセム」を踊らせてもらったんですけど、お客さんが一緒に同じ振り付けを踊っているのを観て「こういう盛り上がり方もあるんや！」って知ったんです。私たちのライブでは手を振り上げたり、「オイオイ！」って声を出したり、手拍子をしたりしながらみんなで盛り上がる感じなんです。「抱きしめてアンセム」みたいな振り付けで会場を1つにできるような曲があゆくまにもほしいなと思って、スタッフさんにリクエストして、この曲をいただきました。

──この曲は「ゴマすりポーズ」でお客さんも踊るんですよね。

まき　そうなんです。キャッチーな曲と、この曲にしかハマらないダンスが欲しかったんですよ。「旅立ちの唄」（2016年11月発売のシングル）のカップリングの「SUGOROKU」とかもバラードが歌いたいっていう話があって、作ってもらった曲です。ライブをするのは私たちだし、私たちが表現するからこそ、やりたいことを伝えたほうがより楽曲がよくなるんじゃないかなと思って、最近は3人で話し合ったものをスタッフさんに伝えて曲を作ってもらうことも増えました。

あゆみ　昔からライブのセトリは自分たちで決めているんですけど、その中で「ここでジャンプできる曲があったらいいな」とか「ここはみんなと歌いたいな」とか意見が出てくるんです。それができる曲がないなら作ってもらおうという感じでリクエストしていますね。

──ライブを重ねていくうちにいろいろと欲が出てきた？

あゆみ　そうですね。

まき　自分たちがやりたいライブがやっとわかってきた感じはします。

ハモリは難しい

──カップリングについても話を聞かせてください。「HAVE A NICE DAY, 世界」はメンバーが作詞に携わったメロコアチューンです。

くりか　この曲は自分たちの好きな言葉や自分たちの人生において教訓にしている言葉を3人それぞれ何十個も挙げて、それを組み合わせて歌詞にしてもらったんです。

──ハモリパートがあるのがあゆくまの曲にしては珍しいなと思いました。

あゆみ　そうなんですよ。やっぱり生でハモるとライブ感があっていいんですよね。

まき　上ハモが誰、主メロが誰、下ハモが誰って決まってるわけじゃなくて、ハモリのパートが次々変わるんですよ。本当に難しい曲です。

あゆみ　3人の声がうまく溶け合うことが大切な曲なんですよ。誰が欠けてもそこでダメになる曲。なんかそれってあゆくまの絆も見え隠れしているような気がして、いいなと思います。

──「愛Surrender」は大人っぽい恋愛の曲ですね。

あゆみ　この曲に出てくる女の人は好きっていう気持ちがめちゃめちゃ強いですよね。あゆみがこの女の人の立場だったら、この男の人のことは諦めますね（笑）。

まき　自分の殻を破りたいけど破れないという気持ちも歌われているんですけど、ビートが加速していくところで殻を破りたい感じが伝わってくるなと思っていて。私はこの感じをダンスや歌で表現したい。これをあゆくまが歌いこなせるようになったら1段階上がれるはずやと思うんで。

今はバネをぎゅーっと縮めているところ

──年明けにまきさんのポリープが発覚して、2月に手術を受けましたね。

くりか　盛り上げ役のまっちゃんの声が出ないっていうのはあゆくまのライブにとってかなりの痛手だと感じていて。だからどうしようと不安になったし、正直、自分自身もかなりヘコんだんです。でも今までも逆境に打ち勝ってきたと思っているし、その分自分たちがどれだけカバーして、少しでもいいライブができるのかを考えて、今回も乗り越えるぞという気持ちでした。

あゆみ　あゆみは単純にまっちゃんの喉が心配でした。“あゆみくりかまき”の“まき”としてというより、これからのまっちゃんの人生で絶対に声は大切なものだから。もし声が出なくなってしまったらとか、悪いほうに考えてしまいましたね。ライブで煽りをやっていたからポリープができちゃったんじゃないかって……交通事故に遭ったときもまっちゃんが一番大怪我しちゃったので、なんでまっちゃんだけに神様はこんなにたくさん試練を与えるんだろうなって思いました。

まき　手術をしないっていう選択肢もあったんですよ。でも私は武道館という目標を掲げているのに100%の自分を出せないのがイヤで、病状とその気持ちをマネージャーに伝えて、そのあとメンバーにも話して手術を受けることに決めました。こうやって今また2人とライブができるようになって、手術をする前より3人でがんばっていきたい気持ちが増しましたね。

くりか　あゆくまって目の前にできた壁をぶち壊して、また壁が出てきたらぶち壊して……って進んでると思っているんです。3人共相当な負けず嫌いなので、その壁があることで強い力を発揮できるのかなとも思いますね。

まき　あゆくまは今年中に日本武道館でのワンマンライブ開催を発表しなきゃいけないんですけど、今のところまだ厳しいなと思っているんです。ここまでやってきて、私たちって試練がないと成長できないのかなって思うようになりました。試練に立ち向かっているときは大ジャンプをするためにバネをぎゅーっと縮めているところだと私は思っていて。ライブしていてお客さんが少ないと「私たち本当に武道館に行けるのかな……？」って心配になっちゃったりもするんですけど、私たちが本気で武道館でワンマンをやりたいっていう気持ちをまたぎ（あゆみくりかまきのファン）たちがわかってくれているので、みんなお友達や家族をライブに連れてきてくれるんですよ。そういうのを知っているから、諦めそうになってもここで立ち止まったらあかんって強く思いますね。私たちはほんまに不器用やからライブで100%の力を出すぐらいしかできることがないんですよ。それが一番私たちの思いが伝わる方法だと思っています。くりかまき時代から数えたらもう5年活動していて、その頃からコツコツライブでお客さんを増やしてきたと思っているので、それを積み重ねるしかないんですよ。日本武道館の夢を叶えるためにもっともっとあゆくまの輪を広げられるようにがんばりたいです。