音楽ナタリー Power Push - 「avex GIRL'S VOCAL AUDITION」特集 青野紗穂インタビュー
夢がカタチになるまで
14歳の女子中学生がニューヨークのApollo Theaterの「アマチュアナイト」で優勝したと一躍脚光を浴びたシンガー・青野紗穂。今年はアルバム「INTRODUCTION」で配信デビューしたほかフジテレビ系「水曜歌謡祭」にレギュラー出演するなど、活動が本格化している。彼女の歌手への道は、2007年にエイベックス主催「キラット☆エンタメ・チャレンジコンテスト2007」にてモデル部門の特別賞を受賞し、エイベックス・アーティストアカデミーで歌とダンスのレッスンを始めたことからスタートした。
音楽ナタリーでは、今年大々的に実施され、東京第2回審査の追加開催も決まったエイベックスの女性ボーカルオーディション「avex GIRL'S VOCAL AUDITION」に関連してエイベックスのオーディション経験者である青野にインタビュー。長い時間をかけたデビューまでの道のり、Apollo Theaterでの思い出、憧れの存在、今目指すアーティスト像など、現在進行形で夢を追う彼女に話を聞いた。
取材・文 / 猪又孝 撮影 / 高田梓
最初の夢はバックダンサー
──5歳からダンスをやっていたそうですが、小さい頃は何になりたいと思っていましたか?
バックダンサーになるのが夢で、あわよくばマイケル・ジャクソンさんのバックダンサーになりたいと思っていました。
──ダンスは自発的に始めたんですか?
もともとは引っ込み思案な私の性格を直そうと親が通わせてくれたんです。いくつか教室を見た中で、R&Bとかブラックミュージックが流れている教室を見つけて、「あ、ここだな」と思って通うことになって。
──歌手になりたいと思ったのはいつですか?
小6か中1の頃に、母が持っていた映画「ボディガード」のDVDを観たときにホイットニー・ヒューストンさんがハンパなくカッコよくて、私もこうなりたいって思ったんです。歌を聴いて涙を流すことはそれまでなかったんですけど、「I Have Nothing」とか「I Will Always Love You」とかを聴いて涙が出たんです。自分でもそれにすごくビックリして。こんなことができたらいいなと思って、本格的に歌をがんばろうと思ったんです。
──その前、10歳のときにエイベックス主催の「キラット☆エンタメ・チャレンジコンテスト2007」に応募し、モデル部門の特別賞を受賞されています。コンテストに応募するきっかけはなんだったんですか?
その頃はダンスでコンテストをいっぱい受けていた時期だったんです。で、父がいろんなコンテストを探してくれてたときに「キラチャレ」があると教えてくれて。最初の審査が地元のイオンモールだったから、そんなにうまくなくてもそこそこイケるんじゃないかっていう、根拠のない自信とノリ一発で応募して(笑)。で、受けたらダンスでは落っこちちゃって、モデル部門で受かったという。
──そのときどう思いましたか? 受賞はしたけど、ダンスでは評価されなかったわけで。
微妙でした、正直。でもダンス部門で受かってる方たちのレベルを見るとやっぱりすごいなあと思ったから、悔しかったし、もっとダンスをがんばろうとも思いました。
「歌やったら楽しいですかね?」
──「キラチャレ」受賞の2、3年後に歌手を目指すようになったわけですよね。興味がダンスから歌に変わったんですか?
「キラチャレ」に受かってエイベックスのアカデミーに通ってるときに強化合宿があったんです。そのときにモデルのテストがあって、待ち時間がけっこう長かったから廊下で鼻歌を歌ってたんですね。そしたらスタッフさんに「紗穂、歌をやってみないか?」って言われて。私はカラオケでも音痴って言われるくらいだったんで大丈夫かな?と思ってたんですけど、「歌やったら楽しいですかね?」って聞いたら、「うん、楽しい、楽しい」みたいにノリよく返されたんで「楽しいなら、じゃあ、やるか」みたいな(笑)。だから本当ブレブレだったんですよ、最初は。
──でも、歌い始めたらやっぱり楽しかった?
最初は本当に音痴すぎて凹みました。周りは音程がちゃんと取れて、感情も出せてるのに、なんでそういう根本的なことができないんだろう?っていうのがすごく悔しくて。もともとすごく負けず嫌いなんで、これはちょっと極めなきゃ!みたいに思ってやってました。
──そんなときにホイットニーの「ボディガード」に出会ったわけですね。
そう。やっぱりこういう感じの歌い手さんがカッコいいと思って。ダンスを始めた頃から聴くのはずっと洋楽だったんです。で、レッスンの課題で邦楽を1曲持ってきなさいって言われて初めて邦楽を聴いたんです。
──そのときは何を歌ったんですか?
中島美嘉さんの「LIFE」を歌いました。お姉ちゃんがいるんですけど、お姉ちゃんは私と正反対で、邦楽しか聴いてなかったんです。それでお姉ちゃんに聞いたら「今流行ってるよ、これ」ってCD渡されて、「じゃあ、これを練習しよう」と思って。
歌うときはその人になりきる
──当時、レッスン中、自分なりに努力したことは?
歌を聴き込むことです。もともと音楽を聴くことは好きなんですけど、知ってる曲だと聴くことそっちのけで、すぐ鼻歌でフフフンと歌っちゃうんです。それをやめて、じっくり細部まで聴くことをやりましたね。
──意識的に「聴く」と。そして歌い手のブレスや声の出し方などをチェックしていくっていう。
そうです。意識的に「聴く」。で、聴いてはマネして、聴いてはマネしてっていう。それを繰り返してました。
──レッスン中、悔しかったことはありますか?
日本人と海外の方では骨格や声帯が違うから、声の鳴らし方が全然違って、どうやってもできないところがあって。それで無理やり声を出そうとしてのどに負担がかかってゲホゲホみたいな。それが悔しかったですね。
──でも、骨格や声帯を変えるのは現実的に無理なわけで(笑)。その悔しさをどう乗り越えたんですか?
思い込みです(笑)。でも、これはすごく大切だと思っていて。歌うときはその人になりきるんです。私だったらホイットニー・ヒューストンさんの歌を歌うときは「私はホイットニーです!」って思い込む。そんな感じのマインドで歌うと、のどの開き方とか声の出し方とか変わってくるんですよ。
──イメトレってことですよね。
そう。ダンスも歌もそうなんですけど、できないと思ってやるとやっぱりできなくて。でも、「できる!」とか「私はあの人だ」って思い込むと、ステージの上でも、それまでレッスンや練習でできなかったことができたりするんですよね。
──今もイメージすることを大事にしていますか?
今も本当に無理なときはイメージでいきます。テクニックも大事だし、基礎の練習も本当にすごく大事なんです。まずはそれ。それがあった上で、でも本番で「ここがこうで、こうやって(のどを)動かすから、ここを開いて」みたいに考えながらできないじゃないですか。それをやってたらお客さんに感情が伝わらないから。だから、練習でがんばったからできるはずだというふうに思い込んで、あとは自分が思い描くステージ上のスターになりきるっていう。
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avex GIRL'S VOCAL AUDITION
エイベックスが、未来のスターとなる女性ボーカルに出会い、育て、プロデュースするためのプロジェクト「a-project」の一環として行われるオーディションです。浜崎あゆみ、倖田來未、EXILE、東方神起など数えきれない大物アーティストのヒット曲を制作してきたエイベックスのトッププロデューサー陣が審査員として、応募者全員の「歌唱力」だけではなく、あなたの「声」を直接審査します。書類審査もないので、歌唱力に自信がない人でも気軽にトライできます。受賞者は、エイベックスと契約し、レッスンを無償で受け、トッププロデューサーが育成していくので、今現在のスキルに自信がなくても、「スターになりたい!」「夢にチャレンジしてみたい!」という気持ちだけあれば大丈夫です。
応募条件
11歳~25歳までの女性
(現在小学5年生の方より、2015年8月27日時点で満25歳以下の方)
※未成年者は保護者の同意が必要となります。
※スクール、事務所、プロダクションなどに所属の方も応募可能。ただし、事前に担当者の了承を受けた上でご参加ください。
合格者特典
メジャーデビューに向けてのフルサポート(エイベックスとの契約、レッスンの無償提供、プロデューサーによる楽曲制作)。合格者多数契約予定。
審査内容
エントリー者全員が歌唱審査に参加可能。書類、プロフィール審査なし。お好きな日本語楽曲のサビ部分を30秒アカペラ歌唱。
審査員
鈴木大輔 / 菊池一仁 / 星野靖彦 / 五十嵐充 / 五戸力 / 丸山真由子
1次審査スケジュール
2015年8月7日(金)北海道 サッポロファクトリーホール
2015年8月18日(火)東京都 TFTホール ホール500
2015年8月21日(金)大阪府 大阪ビジネスパーク 円形ホール
2015年8月24日(月)東京都 泉ガーデンギャラリー
2015年8月27日(木)愛知県 名古屋市中小企業振興会館 第1・2ファッション展示場
青野紗穂(あおのさほ)
1997年兵庫県生まれの高校生シンガー。5歳からダンスを習い始める。2007年にエイベックス主催「キラット☆エンタメ・チャレンジコンテスト2007」に出場。約2000人の中からモデル部門の特別賞に選ばれたことをきっかけにエイベックス・アーティストアカデミーで歌とダンスのレッスンを開始。2012年、アメリカ・ニューヨークのApollo Theaterで行われている「アマチュアナイト」のキッズ部門「Stars of Tomorrow」に出場し、優勝を果たす。2015年4月からフジテレビ系「水曜歌謡祭」に“水曜シンガーズ”としてレギュラー出演中。7月には初のオリジナル音源として配信限定アルバム「INTRODUCTION」をリリースした。