ASPARAGUS × the band apart|5年7カ月ぶり新作「ASPARAGUS」の魅力にバンアパ荒井&木暮が迫る

自宅レコーディングのメリットとデメリット

荒井 5曲目の「BAD CAROL」。これ、びっくりしました。

渡邊 メモになんて書いてあるの?

荒井 「新境地」ですね。この歌詞、言葉遊びもあるじゃないですか。「BAD CAROL」も「バッキャロー(バカ野郎)」から来てるのかなとか。

渡邊 うん。ちゃんと言いたいことはあって、パズルみたいに言葉遊びをしていって。打ち上げで出てくる会話の延長って感じかもね。面白いことを言い合って、キャッキャしてるのを音楽にしたっていう。

荒井岳史(Vo, G / the band apart)

荒井 音楽的にもここまでゴリゴリな曲ってなかったんじゃないですか? それも込みで新境地だなって。

一瀬 俺が「ペンタトニック系の曲を作って」ってお願いしたの。いなたい感じって言うか。そうしたら、こんなカッコいいのを作ってきてくれて。

荒井 木暮メモは?

木暮 「相当攻めてる」。

渡邊 「新境地」で「相当攻めてる」か、なるほど(笑)。

一瀬 ありがとうございます(笑)。

木暮 でもメンバーの言葉から新しい曲ができるって、いいですね。

渡邊 曲を作る前に2人に、「どういうのがいい?」って聞いてます。

 漠然としたお題みたいな。

渡邊 一瀬が「ペンタトニック系の曲が欲しい」って言ったように、直央だったら「シャッフルビートがいい」みたいにお題をもらうと作りやすいのかなって。できたときの“いいね!率”が上がるじゃない(笑)。で、結果攻めちゃったな、俺たちっていう。

一瀬 でも作り始めの段階からけっこう攻めてたよ、ギターリフ。直央がそれに拍車をかけるようなベースラインを入れてさ。

 だんだん最初に受けた印象から誇張したくなったんだよね。

荒井 これ、ライブが楽しみですね。ノブさんと直央さんがステージギリギリまでせり出しそう。

渡邊 一瀬もせり出してね(笑)。

荒井 最終的にステージに誰もいなくなる(笑)。

木暮 次は「小さな一歩」。YouTubeで公開されたとき(※現在は非公開)にびっくりしたんですよね。自分たちで録ってるって言ってたから、もっとDIY感があると思ってたんですけど、すげえちゃんとしてるなって。だって、日本で録りまで自分でやってるのって、パッと浮かぶのはBOOM BOOM SATELLITESと凛として時雨くらいですよね、有名どころだと。バンドとして理想的だなって。

渡邊 でも、バンアパだって自分たちのスタジオ持ってるしさ。そういう感覚と一緒だよね。いい悪いじゃなく、気持ちまでエンジニアさんとリンクするのって難しいじゃない? そこで僕の中で宅録が流行り始めたから、自分でやったらどうだろうって。

木暮 ノブさんだったら2人も言いやすいですよね。

一瀬 そうそうそう。一番いいのはリラックスしてできるところよね。だって知らない人いねえんだもん。今回はドラムも忍ん家のブースで録ってるし。宅録の曲だとしてもドラムだけはスタジオで録る場合が多いけど、今回はそれすらなくて。

ASPARAGUS

渡邊 ただ家だからさ、夕暮れの木漏れ日が室内に入ってくると、気持ちよくてね。やる気なくなっちゃうんだよ。「やめちゃう? ステーキ食べちゃう?」って。

荒井 そのインスタ見ました(笑)。いいなあ、って。

木暮 次の「SUGAR」の荒井メモ見ます?

荒井 えーと……「新しいアスパラ」。

一瀬 さっき「新境地」だったじゃん!(笑)

荒井 この曲だけじゃないんですけど、今回、全体的にトーンが明るいじゃないですか、わりと。特にこの曲は明るさが爆発してると思ったんです。コード進行もノブさんぽくないなって。だから「新しい」んですよ(笑)。

木暮 ひらがな表記の歌詞もあるし。

渡邊 この歌詞は言葉遊びと言うよりはメッセージ性があるし、メッセージ性のある歌詞は作詞家さんっぽく書かないほうがいいかなって。

 でも、この歌詞に関してはけっこう気にしてたよね。曲もポップだし。

渡邊 J-POPまで行っちゃったかなって。

 俺は逆に新鮮だなって思ったけど。

渡邊 これは、直央が好きな感じを意識して書いたの。

木暮 俺のメモには「6曲目のあとに続くこの曲順がニクい」って書いてあります(笑)。

 これはレコードのB面の1曲目をイメージしたの。お気に入りだし、ここでバッと開ける展開もいいかなって。

木暮 なるほど! そういうことだったんですね。

荒井 そして次の「STOP DOO WOP」、このコード進行と今までにないコミカルさはすごいと思いました。

木暮 歌詞が伏せ字になってるところがありますけど、教えないぜっていう?

渡邊 直央が赴くままに歌ってるっていう(笑)。

荒井 挑戦してますよね?

渡邊 やっぱ開き直ったんじゃない? アスパラらしさを取っ払ったって言うか、3人で演奏してるうちに「新しいことしてるっぽい!」って思ってくるんだよ。さっき直央が言ったようにその曲のイメージを誇張しちゃうんだろうね。

原直央(B, Vo / ASPARAGUS)

 この曲は、最初からガチャガチャしたようなおもちゃ箱みたいな形だったの。俺が加入する前のアスパラにもそんなイメージを持ってたんだけど、それをどんどん盛っていって。

荒井 歌い方も新しいですよね。

渡邊 ラップみたいにしないと間に合わない。リズミックにしないと。

木暮 言葉選びもユーモラスで。

渡邊 これ昔、新宿の風俗でぼったくりにあったことを書いたの。実体験ですよ。

木暮 実体験って、ますますラッパーみたいですね(笑)。

ASPARAGUS「ASPARAGUS」
2017年9月27日発売 / 3P3B Ltd.
ASPARAGUS「ASPARAGUS」

[CD]
3024円 / 3P3B-81

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収録曲
  1. i want ya
  2. SHALL WE DANCE?
  3. MAY BE OR MAY BE NOT
  4. LOST SHEPHERD
  5. BAD CAROL
  6. 小さな一歩
  7. SUGAR
  8. STOP DOO WOP
  9. BLUE人
  10. MESSED UP
  11. THAT'S WHY
  12. gn8
the band apart「Memories to Go」
2017年7月19日発売 / ASIAN GOTHIC LABEL
the band apart「Memories to Go」

[CD]
2900円 / asg-037

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ASPARAGUS TOUR

2017年10月30日(月)宮城県 石巻BLUE RESISTANCE(※ワンマンライブ)
出演者ASPARAGUS
2017年11月5日(日)富山県 MAIRO
出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD
2017年11月6日(月)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD
2017年11月10日(金)宮城県 enn 2nd
出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ
2017年11月11日(土)岩手県 KESEN ROCK FREAKS
出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ / the band apart
2017年11月12日(日)岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ / the band apart
2017年11月14日(火)北海道 BESSIE HALL
出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ
2017年11月18日(土)奈良県 奈良NEVER LAND
出演者ASPARAGUS / LOSTAGE
2017年11月19日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
出演者ASPARAGUS / 8otto
2017年11月26日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
出演者ASPARAGUS / おとぎ話
2017年12月1日(金)東京都 新代田FEVER
出演者ASPARAGUS / COMEBACK MY DAUGHTERS
2017年12月8日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
出演者ASPARAGUS / THE STARBEMS
2018年1月13日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
出演者ASPARAGUS / CALENDARS
2018年1月19日(金)千葉県 千葉LOOK
出演者ASPARAGUS / fam
2018年1月24日(水)広島県 福山Cable
出演者ASPARAGUS / locofrank
2018年1月25日(木)愛媛県 Double-u studio
出演者ASPARAGUS / locofrank
2018年1月27日(土)福岡県 Queblick
出演者ASPARAGUS / the PRACTICE / PEAR OF THE WEST
2018年1月28日(日)鹿児島県 SR HALL
出演者ASPARAGUS / LOSTAGE / No edge
2018年2月24日(土)愛知県 APOLLO BASE
2018年2月25日(日)大阪府 Live House PANGEA
2018年3月3日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
ASPARAGUS(アスパラガス)
ASPARAGUS
2002年2月結成のスリーピースバンド。2002年10月、ディズニー楽曲のトリビュートアルバム「DIVE INTO DISNEY」に「いつまでもずっと」(くまのプーさん)のカバーで参加し、好評を博す。同年11月には1stアルバム「Tiger Style」を発表。2004年には2枚のアルバム「KAPPA I」「KAPPA II」を、それぞれ別のレーベルから同時発売し、話題を集める。2006年末のメンバーチェンジを経て、現在は渡邊忍(Vo, G)、一瀬正和(Dr, Vo)、原直央(B, Vo)の3人で活躍中。2012年2月、約4年ぶりのフルアルバム「PARAGRAPH」をリリースした。精力的なライブ活動を重ね、各地の音楽フェスや親交のあるバンドのリリースツアーなどに出演。2017年9月に通算6枚目にして5年7カ月ぶりとなる新作フルアルバム「ASPARAGUS」をリリースする。今作を携えて、10月30日の宮城・BLUE RESISTANCE公演を皮切りに、全国ツアー「ASPARAGUS TOUR」を開催し、2018年3月に東京・渋谷CLUB QUATTROでファイナルを迎える。
the band apart(バンドアパート)
the band apart
1998年に荒井岳史(Vo, G)、川崎亘一(G)、木暮栄一(Dr)の3人で結成。後に原昌和(B)が加入して以降は、ソウルやボサノヴァなどの洗練されたコード感を交えたロックサウンドへ変化を遂げ、2001年10月のデビューEP「FOOL PROOF」がいきなりの好セールスを記録した。2003年に自主レーベル“asian gothic”を設立。翌2004年に移籍第1弾シングル「RECOGINIZE ep」をリリースし、以降もコンスタントに作品を発表。他に類を見ない独自性の高いサウンドは、多くのバンドに大きな影響を与えている。2011年には東京・日本武道館でASPARAGUSとのツーマンライブ「SMOOTH LIKE BUTTER」を実施。2014年には坂本真綾の楽曲「Be mine!」で作曲を担当した。2015年1月に7枚目のオリジナルアルバム「謎のオープンワールド」を発表。3月より全国ツアーを開催し、計30公演を行った。2016年10月にアコースティック編成の“the band apart (naked)”名義でアルバム「1」を発売し、2017年2月には同名義でシングル「Paper Planes e.p.」をリリース。7月には「謎のオープンワールド」から約2年半ぶりとなるフルアルバム「Memories to Go」を発売した。