自宅レコーディングのメリットとデメリット
荒井 5曲目の「BAD CAROL」。これ、びっくりしました。
渡邊 メモになんて書いてあるの?
荒井 「新境地」ですね。この歌詞、言葉遊びもあるじゃないですか。「BAD CAROL」も「バッキャロー(バカ野郎)」から来てるのかなとか。
渡邊 うん。ちゃんと言いたいことはあって、パズルみたいに言葉遊びをしていって。打ち上げで出てくる会話の延長って感じかもね。面白いことを言い合って、キャッキャしてるのを音楽にしたっていう。
荒井 音楽的にもここまでゴリゴリな曲ってなかったんじゃないですか? それも込みで新境地だなって。
一瀬 俺が「ペンタトニック系の曲を作って」ってお願いしたの。いなたい感じって言うか。そうしたら、こんなカッコいいのを作ってきてくれて。
荒井 木暮メモは?
木暮 「相当攻めてる」。
渡邊 「新境地」で「相当攻めてる」か、なるほど(笑)。
一瀬 ありがとうございます(笑)。
木暮 でもメンバーの言葉から新しい曲ができるって、いいですね。
渡邊 曲を作る前に2人に、「どういうのがいい?」って聞いてます。
原 漠然としたお題みたいな。
渡邊 一瀬が「ペンタトニック系の曲が欲しい」って言ったように、直央だったら「シャッフルビートがいい」みたいにお題をもらうと作りやすいのかなって。できたときの“いいね!率”が上がるじゃない(笑)。で、結果攻めちゃったな、俺たちっていう。
一瀬 でも作り始めの段階からけっこう攻めてたよ、ギターリフ。直央がそれに拍車をかけるようなベースラインを入れてさ。
原 だんだん最初に受けた印象から誇張したくなったんだよね。
荒井 これ、ライブが楽しみですね。ノブさんと直央さんがステージギリギリまでせり出しそう。
渡邊 一瀬もせり出してね(笑)。
荒井 最終的にステージに誰もいなくなる(笑)。
木暮 次は「小さな一歩」。YouTubeで公開されたとき(※現在は非公開)にびっくりしたんですよね。自分たちで録ってるって言ってたから、もっとDIY感があると思ってたんですけど、すげえちゃんとしてるなって。だって、日本で録りまで自分でやってるのって、パッと浮かぶのはBOOM BOOM SATELLITESと凛として時雨くらいですよね、有名どころだと。バンドとして理想的だなって。
渡邊 でも、バンアパだって自分たちのスタジオ持ってるしさ。そういう感覚と一緒だよね。いい悪いじゃなく、気持ちまでエンジニアさんとリンクするのって難しいじゃない? そこで僕の中で宅録が流行り始めたから、自分でやったらどうだろうって。
木暮 ノブさんだったら2人も言いやすいですよね。
一瀬 そうそうそう。一番いいのはリラックスしてできるところよね。だって知らない人いねえんだもん。今回はドラムも忍ん家のブースで録ってるし。宅録の曲だとしてもドラムだけはスタジオで録る場合が多いけど、今回はそれすらなくて。
渡邊 ただ家だからさ、夕暮れの木漏れ日が室内に入ってくると、気持ちよくてね。やる気なくなっちゃうんだよ。「やめちゃう? ステーキ食べちゃう?」って。
荒井 そのインスタ見ました(笑)。いいなあ、って。
木暮 次の「SUGAR」の荒井メモ見ます?
荒井 えーと……「新しいアスパラ」。
一瀬 さっき「新境地」だったじゃん!(笑)
荒井 この曲だけじゃないんですけど、今回、全体的にトーンが明るいじゃないですか、わりと。特にこの曲は明るさが爆発してると思ったんです。コード進行もノブさんぽくないなって。だから「新しい」んですよ(笑)。
木暮 ひらがな表記の歌詞もあるし。
渡邊 この歌詞は言葉遊びと言うよりはメッセージ性があるし、メッセージ性のある歌詞は作詞家さんっぽく書かないほうがいいかなって。
原 でも、この歌詞に関してはけっこう気にしてたよね。曲もポップだし。
渡邊 J-POPまで行っちゃったかなって。
原 俺は逆に新鮮だなって思ったけど。
渡邊 これは、直央が好きな感じを意識して書いたの。
木暮 俺のメモには「6曲目のあとに続くこの曲順がニクい」って書いてあります(笑)。
原 これはレコードのB面の1曲目をイメージしたの。お気に入りだし、ここでバッと開ける展開もいいかなって。
木暮 なるほど! そういうことだったんですね。
荒井 そして次の「STOP DOO WOP」、このコード進行と今までにないコミカルさはすごいと思いました。
木暮 歌詞が伏せ字になってるところがありますけど、教えないぜっていう?
渡邊 直央が赴くままに歌ってるっていう(笑)。
荒井 挑戦してますよね?
渡邊 やっぱ開き直ったんじゃない? アスパラらしさを取っ払ったって言うか、3人で演奏してるうちに「新しいことしてるっぽい!」って思ってくるんだよ。さっき直央が言ったようにその曲のイメージを誇張しちゃうんだろうね。
原 この曲は、最初からガチャガチャしたようなおもちゃ箱みたいな形だったの。俺が加入する前のアスパラにもそんなイメージを持ってたんだけど、それをどんどん盛っていって。
荒井 歌い方も新しいですよね。
渡邊 ラップみたいにしないと間に合わない。リズミックにしないと。
木暮 言葉選びもユーモラスで。
渡邊 これ昔、新宿の風俗でぼったくりにあったことを書いたの。実体験ですよ。
木暮 実体験って、ますますラッパーみたいですね(笑)。
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昔は“俺成分”をどんだけ入れられるかを考えていた
- ASPARAGUS「ASPARAGUS」
- 2017年9月27日発売 / 3P3B Ltd.
-
[CD]
3024円 / 3P3B-81
- 収録曲
-
- i want ya
- SHALL WE DANCE?
- MAY BE OR MAY BE NOT
- LOST SHEPHERD
- BAD CAROL
- 小さな一歩
- SUGAR
- STOP DOO WOP
- BLUE人
- MESSED UP
- THAT'S WHY
- gn8
- the band apart「Memories to Go」
- 2017年7月19日発売 / ASIAN GOTHIC LABEL
-
[CD]
2900円 / asg-037
ASPARAGUS TOUR
- 2017年10月30日(月)宮城県 石巻BLUE RESISTANCE(※ワンマンライブ)
- 出演者ASPARAGUS
- 2017年11月5日(日)富山県 MAIRO
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD
- 2017年11月6日(月)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD
- 2017年11月10日(金)宮城県 enn 2nd
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ
- 2017年11月11日(土)岩手県 KESEN ROCK FREAKS
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ / the band apart
- 2017年11月12日(日)岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ / the band apart
- 2017年11月14日(火)北海道 BESSIE HALL
- 出演者ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / フルカワユタカ
- 2017年11月18日(土)奈良県 奈良NEVER LAND
- 出演者ASPARAGUS / LOSTAGE
- 2017年11月19日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 出演者ASPARAGUS / 8otto
- 2017年11月26日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
- 出演者ASPARAGUS / おとぎ話
- 2017年12月1日(金)東京都 新代田FEVER
- 出演者ASPARAGUS / COMEBACK MY DAUGHTERS
- 2017年12月8日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 出演者ASPARAGUS / THE STARBEMS
- 2018年1月13日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 出演者ASPARAGUS / CALENDARS
- 2018年1月19日(金)千葉県 千葉LOOK
- 出演者ASPARAGUS / fam
- 2018年1月24日(水)広島県 福山Cable
- 出演者ASPARAGUS / locofrank
- 2018年1月25日(木)愛媛県 Double-u studio
- 出演者ASPARAGUS / locofrank
- 2018年1月27日(土)福岡県 Queblick
- 出演者ASPARAGUS / the PRACTICE / PEAR OF THE WEST
- 2018年1月28日(日)鹿児島県 SR HALL
- 出演者ASPARAGUS / LOSTAGE / No edge
- 2018年2月24日(土)愛知県 APOLLO BASE
- 2018年2月25日(日)大阪府 Live House PANGEA
- 2018年3月3日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- ASPARAGUS(アスパラガス)
- 2002年2月結成のスリーピースバンド。2002年10月、ディズニー楽曲のトリビュートアルバム「DIVE INTO DISNEY」に「いつまでもずっと」(くまのプーさん)のカバーで参加し、好評を博す。同年11月には1stアルバム「Tiger Style」を発表。2004年には2枚のアルバム「KAPPA I」「KAPPA II」を、それぞれ別のレーベルから同時発売し、話題を集める。2006年末のメンバーチェンジを経て、現在は渡邊忍(Vo, G)、一瀬正和(Dr, Vo)、原直央(B, Vo)の3人で活躍中。2012年2月、約4年ぶりのフルアルバム「PARAGRAPH」をリリースした。精力的なライブ活動を重ね、各地の音楽フェスや親交のあるバンドのリリースツアーなどに出演。2017年9月に通算6枚目にして5年7カ月ぶりとなる新作フルアルバム「ASPARAGUS」をリリースする。今作を携えて、10月30日の宮城・BLUE RESISTANCE公演を皮切りに、全国ツアー「ASPARAGUS TOUR」を開催し、2018年3月に東京・渋谷CLUB QUATTROでファイナルを迎える。
- the band apart(バンドアパート)
- 1998年に荒井岳史(Vo, G)、川崎亘一(G)、木暮栄一(Dr)の3人で結成。後に原昌和(B)が加入して以降は、ソウルやボサノヴァなどの洗練されたコード感を交えたロックサウンドへ変化を遂げ、2001年10月のデビューEP「FOOL PROOF」がいきなりの好セールスを記録した。2003年に自主レーベル“asian gothic”を設立。翌2004年に移籍第1弾シングル「RECOGINIZE ep」をリリースし、以降もコンスタントに作品を発表。他に類を見ない独自性の高いサウンドは、多くのバンドに大きな影響を与えている。2011年には東京・日本武道館でASPARAGUSとのツーマンライブ「SMOOTH LIKE BUTTER」を実施。2014年には坂本真綾の楽曲「Be mine!」で作曲を担当した。2015年1月に7枚目のオリジナルアルバム「謎のオープンワールド」を発表。3月より全国ツアーを開催し、計30公演を行った。2016年10月にアコースティック編成の“the band apart (naked)”名義でアルバム「1」を発売し、2017年2月には同名義でシングル「Paper Planes e.p.」をリリース。7月には「謎のオープンワールド」から約2年半ぶりとなるフルアルバム「Memories to Go」を発売した。