音楽ナタリー PowerPush - aquarifa
月の下で育まれた“秘密”
バンドメンバーとしての存在意義
岩田 アルバム制作中に、aquarifaの活動期間の中で私が加入してからのほうが長くなったんです。そういうこともあって、最初はバンドの中で引け目みたいなものも感じていたんですけど、今はバンドの一員、ボーカルとしての責任感が出てきたというか。それに今まで自分が一番年下っていうのもあってメンバーに甘えてた部分がありましたけど、支えられてるのが当たり前じゃないということにも気付いて。
──責任感や自立心が芽生えたと。
岩田 自立……したかな?
松川 どうなんでしょう(笑)。でも真知は最近じゃ「こういうイベントやりたい」とか、バンド内で一番アイデアを出すようになって。こっちが「僕は保守的なんだな」と気付くくらい(笑)、現状を変えたい変えたいって思ってる人だよなあと思うようになりました。
岩田 (笑)。なんかもう引き下がれないみたいな感じになったんです。保守的な部分は私にもあったんですけど。今は失敗しても新しいものに、自分の興味あるものにどんどん取り組んで挑戦したい気持ちが増したと思っています。
松川 あと、以前に比べて作品に自分の感情を投影するようにもなったなって。ポジティブな気持ちが表れている歌詞があれば、怒って書いてるんだなってわかるものもあって(笑)。
──例えば「Mirror」では「もうやだよ」「呼吸を止めてしまおうか」など、比較的強めの言葉が選ばれていますね。
岩田 怒っている歌詞ではあるんですけど(笑)。でも最終的には誰かを求めるところに着地させています。最初はもっと救いようのない感じにしようかなと思ったんですけど、やっぱり違うなって。
──前作の頃の自分であれば救いようがないままにした可能性もありますか?
岩田 はい。誰かを求めずにポイッと突き放して「おしまい!」って言っちゃってたと思います(笑)。
変化と成長が感じられるナンバー
──この1年9カ月はメンバー1人ひとりにアーティストとしての成長があったんですね。ちなみに皆さんにとってaquarifaの変化が一番感じられる楽曲はどれですか?
岩田 「321」かなあ?
松川 そうだね。あとは「崩壊リカバリー」ですね。この2曲はバンドのターニングポイントと言えるような曲。
──「崩壊リカバリー」はどうやって生まれたんでしょうか?
松川 もともとすごく前に作られた曲で、前作に入れる候補の1つだったんです。
岩田 そのときはね。でも……。
松川 全然うまくまとまらなくて。メンバー全員はピンと来てなかった。それで捨てかけてたんですけど、akkinさんがすごいアイデアをくれて。彼が提案したものは僕らがこれまでやってこなかったようなアレンジでしたが、それを今の自分たちなりに演奏したらちゃんとaquarifaの音になったんですよね。そこで「あ、aquarifaってこういう切り口でもロックやれるんだ」って新たな一面に気付けたんです。
岩田 そうですね。
松川 これまでは激しいものとメロウなものとがaquarifaの二大巨塔みたいなものだったんですが(笑)。この曲は全然、その真ん中でもない、今までとは違う楽曲になってるんですよね。
自分の気持ちに気付いた「321」
──もう一方の「321」は半年前ぐらいからライブの最後で歌われている楽曲ですね。
松川 はい。去年の1、2月くらいに真知が弾き語りで作ったデモを「聴いてほしい」ってデータで送ってきて。スタジオに入る前にiPhoneに入れて聴きながら買い物に行ったら「なんだこの曲は!? とてつもなくいい曲じゃないか!」って驚いてしまって。
岩田 (笑)。
松川 買い物を終えてすぐスタジオに行って「いや、めちゃめちゃいいぞ!」って言ったんです。
──岩田さんは「321」をどういう気持ちで作ったんでしょうか?
岩田 自分は景色や情景を思い浮かべて歌詞を書いたり曲を作ったりすることが多いんですけど、この曲もそうで。歌詞の内容は世界が終わる日のような感じですけど、だからこそ暗い曲にはしたくなかったんです。
──だからこそ?
岩田 はい。終わりは来てしまうけれども、最後は笑っていたいみたいな。もし来世があるならまた会いたいなって。「終わる」ってことがイヤなんだな、つながっていたいんだなっていう自分の考えに気付くというか、自分のもともとの考え方がまとまった曲だと思います、「321」という曲は。
──「321」は、歌詞の書き方の変化が如実に出た1曲と言えるのかもしれませんね。
岩田 そうですね。「321」以外の曲も含めて、このアルバムに込めたメッセージは人と人とのつながりやぬくもりを大切にしたい、つながっていたいっていうものに集約されるなあって気がします。自分は引っ張っていくタイプでもないんですけど、自分がそういう存在になっていきたいっていう意思表明のようなものがアルバムに詰まってます。
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収録曲
- その手をつなげたら
- ex) Wonderland
- 崩壊リカバリー
- 溶けない嘘
- Mirror
- 321(スリーツーワン)
aquarifa ニューアルバム「マーニの秘密」発売記念ミニライブ&サイン会「密会に月あって~皆既月食ver.~in TOWER SHINJUKU」
- 2015年4月4日(土)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
START 21:00
aquarifa 岩田真知(Vo, G)ソロ・アコースティックライブ&サイン会
- 2015年4月11日(土)東京都 タワーレコード難波店 5Fイベントスペース
START 16:00
aquarifa ニューアルバム「マーニの秘密」発売記念 岩田真知(Vo, G.)&リンタロウ(カホン)ミニライブ&サイン会
- 2015年4月19日(日)広島県 タワーレコード広島店 イベントスペース
START 13:00
「マーニの秘密」リリースツアー ~君の秘密を教えて~
- 2015年5月21日(木)宮城県 仙台MACANA
- 2015年5月31日(日)福岡県 Queblick
- 2015年6月10日(水)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2015年6月25日(木)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- 2015年7月24日(金)東京都 WWW
aquarifa(アカリファ)
岩田真知(Vo, G)、松川真也(G)、TAKUTO(B)、リンタロウ(Dr)からなる4人組ロックバンド。エモーショナルなギターサウンドと儚げな女性ボーカル、内省的な歌詞を特徴とする。2012年4月に1stミニアルバム「scene」を発表し、同年「SUMMER SONIC 2012」の「出れんの!?サマソニ!?」や「MINAMI WHEEL 2012」といった大型イベントに出演して注目を集める。2013年7月に2ndミニアルバム「月明かりのせいにして」をリリース。2015年4月に1年9カ月ぶりの新作ミニアルバム「マーニの秘密」を発表する。