バーチャルK-POPアーティスト・APOKIインタビュー|バーチャル文化とK-POP文化をつなぐ唯一無二の世界観 (2/2)

MVと同じ景色をいつか

──今回のコラボのように、APOKIさん自身が作品について積極的に意見やアイデアを出すことも多いそうですね。

けっこう細かく意見を出すほうだと自分でも思います。とはいえ、信頼しているクルーからもらう意見もすごく重要ですし、アドバイスしてもらうこと自体がとてもうれしいので、そこはちゃんと尊重しながらバランスを取っていきたいですね。例えば最近お気に入りの楽曲や気になるダンスの振り付け、ファッションやメイクをYouTubeやインスタなどで見つけたら、すぐにクルーと共有するようにしています。ちなみにダンスは、私のバックダンサーでもあるOVAとDOZUが主に振り付けを担当していて、私がそこにアクセントとなる振りを提案しながら作っています。

APOKI

──ダンスのアイデアはどんなところから浮かんできますか?

ダンスに関してはスペシャリストではないので、特定のダンサーや振付師からの影響ではなく大抵は歌詞からインスパイアされています。

──では「Shut Up Kiss Me(Feat. Lil Cherry)Japanese version」のMVで、特に印象に残っているのはどのシーンですか?

クライマックスで、たくさんのオーディエンスに向かって手を振るシーンです。まだファンの皆さんの前でコンサートをしたことはないのですが、MVでそれをひと足先に経験することができてとてもうれしかったですね。いつかMVと同じ景色を皆さんと一緒に見ることができるようにがんばりたいと思っています。

皆さんと同じ世界にいることを示したい

──ところで、日本のファンと韓国のファンの違いはどんなところにあると思いますか?

私は日本ではまだまだ知られていないですし、ファンの数もすごく多いわけではないのですが、皆さん落ち着いた方が多いなと思いますね。韓国のファンはもっと熱いと言いますか、長文のコメントをYouTubeに残してくれたり、「あなたは私の心の星です」といった情熱的なメッセージをくれたりします(笑)。もちろん、どちらもとてもうれしいですけど。

──ファンとのコミュニケーションで、何か心がけていることなどはありますか?

私はバーチャルアーティストなので、ファンの方々の中には「本当に私たちの世界で生きているの?」みたいな疑問を持たれる方もいらっしゃるんですよ。なので、積極的にライブ配信をやって、ファンの方たちとリアルタイムでやり取りをする機会をなるべく多く作るようにしています。そうすることで、皆さんと同じ世界にいることを示したい気持ちもあるんですよね。

APOKI
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──日本にはVtuberと呼ばれるYouTubeなどを中心に活躍するバーチャルアーティストが多くおり、ここ数年、市場がとても隆盛していますが、韓国におけるバーチャル文化の状況はどうなんでしょうか?

例えば、日本にはキズナアイさんのようなバーチャルYouTuberがいらっしゃって、韓国にもオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」発の“仮想アイドルグループ”であるK/DAさんや、「自分のもう1人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」というユニークな世界観を持ったaespaさんがいますが、特に韓国ではまだまだバーチャルアーティストの存在は多くの方に知られていないと思います。メタバースなどのバーチャル文化もまだまだこれからの分野です。そういう意味では今後、もっと多種多様なバーチャルアーティストが登場する可能性は大きいですし、そのことを私自身も楽しみにしています。何か私できることがあったら喜んでお手伝いします!

──何か具体的に考えているプランはありますか?

例えば、バーチャルアーティストが集まっての合同コンサートですね。韓国においてバーチャル文化はまだまだこれからの分野ではありますが、最近はバーチャルモデルがたくさん登場しているんですよ。彼らを集めてのファッションショーなど、大きなイベントやフェスができたら楽しいでしょうね。実現できるかどうかはまだ全然わからないですけど。あと、個人的にはこれからもいろんな方たちとコラボがしてみたいです。私はザ・ウィークエンドさんが大好きなので、いつか共演できたら最高です!

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──今日インタビューの冒頭で、「新しいことにチャレンジしたほうが“学び”が大きい」とおっしゃっていましたよね。ファッション業界にも進出して、モデルやファッションデザイナーに挑戦しているAPOKIさんを見てみたいです。

モデルは前からやってみたいと思っていたのですが、自分のファッションブランドをローンチさせるのもいいですね。素敵なアイデアをいただきました。(日本語で)ありがとうございます!(笑)

──期待しています(笑)。では最後に、日本の音楽ファンにメッセージをお願いします。

APOKIというアーティストが、日本でもっと認知されて、親しみのある存在となれるようにこれからもがんばります。「Shut Up Kiss Me(Feat. Lil Cherry)Japanese version」、たくさん聴いてくれたらうれしいです。よろしくお願いします!

プロフィール

APOKI(アポキ)

SNS総フォロワー数が400万人を越える“宇宙のどこかに住むウサギに似た存在”。2019年にYouTubeやTikTokなどでK-POPを中心としたグローバルヒット曲のカバー動画を配信し始めた。2021年2月に配信シングル「GET IT OUT」で韓国初のバーチャルデビューK-POPアーティストとしてデビュー。2022年3月には「Coming Back Japanese version」で日本デビューを果たし、6月に「Shut Up Kiss Me(Feat. Lil Cherry)Japanese version」を配信リリースした。