et-アンド-のここに刮目せよ!
4人のボーカルの魅力を徹底解剖
シンガーとして4人の役割や特徴は?
──et-アンド-の歌の個性について伺いたいと思います。4人のボーカルには、それぞれどんな特徴があるのでしょうか?
山崎 私は落ち着いた声が自分の持ち味だと考えるようになりました。というのも、私以外の3人は強い声の持ち主だし、歌い方にも迫力があるので、差別化するためにもテンションを落として歌うことが多いんですよ。アンニュイな雰囲気や微妙なニュアンスをボーカリストとして自分の武器にしていきたいと今は思っています。
モラレス 声質というのは持って生まれた要素も大きいですから。カノンの大人っぽい声は、グループにとって大きなアクセントになっていますね。
野島 カノンは普段の様子と歌っている姿が180°違うタイプなんですよ。いつもはケラケラ陽気に笑っている感じなのに、パフォーマンスに入ると「誰も私のやることを邪魔させないから!」と芯のある調子でマイクに向かうんです。つまり、プロ意識が高いんでしょうね。
──なるほど。では、栗本さんのボーカリストとしての特徴は?
栗本 私はセリフのパートを担当することが多いんです。そのへんはet-アンド-に入る前にミュージカルをやっていた影響もあるだろうし、アニメが好きだから家でキャラの真似をしていたことも関係あると思います。私、昔から「歌=演技」という考え方を持っているんですよ。ピッチやリズムの正確さももちろん大事だけど、それ以上にキャラになりきって表現することを意識しているんです。
山崎 優音は4人の中で最年少なんですけど、そのことが信じられないくらい堂々としているんです。本番前のステージ袖では「どうしよう……緊張してる」とか言うんですけど、いざライブが始まると誰よりも自信満々でパフォーマンスしていますから。そこは最年長の私としても見習いたいところです。
野島 本当にまだ16歳ということが信じられないですよ。16歳の頃の私なんて、しょっちゅうママとケンカしてるような感じでした(笑)。ただ周りの大人に言われたことをこなすというのではなく、自分から積極的に疑問を持ったことを聞きにいったりしているし、仕事に対する意識がすごく高いんですよね。
山崎 いやいや、私だってママと普通にケンカしていますよ。まだ16歳ですから。
モラレス そこは別に張り合わなくてもいいでしょ(笑)。
──次はSKE48時代から歌姫として支持されてきた野島さん。ご自身ではどんなシンガーだとお考えですか?
野島 私って例えば「ウィスパーボイスが独特」とか「ハイトーンボイスがすごい」とか、そういう意味で声に特徴があるタイプでは決してないんです。でも逆にそこが自分の武器でもあると思っていて、オールマイティになんでもできる歌手を目指しているんですよ。今は抑揚の付け方とかビブラートなどのテクニック面も自分なりに研究しているので、それをet-アンド-の楽曲に生かしていきたいです。私はグループのリードボーカルというわけではないんですけど、サビやAメロの入りを歌うことが多いので、力強くメッセージを届けたいというのはありますね。目立つ部分を任されている以上、一種の責任感を持っています。
栗本 力強いというのは本当にその通りです。この細い体のどこからそんなパワフルな声が出てくるのか、ちょっと信じられないですよね。レッスン中も圧倒されるくらいですから。
モラレス 歌い手としてすごく器用で、曲の世界観に合わせてボーカルのスタイルが変わっていくんですよ。そこが私はすごいと思う。デモ音源に入っている仮歌のニュアンスを忠実に再現することもあれば、自分なりの個性を乗せてくることもあるし。
──最後にラップを担当することが多いモラレスさん。「ノリとセンス」以外に心がけていることはありますか?
モラレス ラップって正解がないと思うんですよね。そこが一番難しいところで。本当に毎回、自分が感じるようにやってみるしかないんです。「ノリとセンス」って言うと何も考えていないように聞こえるかもしれませんが、「こうしなくちゃいけない」という正解がない中、自分なりにいろいろ試している最中というのが正確なところかもしれないです。
野島 私がきあらを見ていて感じるのは、歌やラップに対して研究熱心な一面があるということ。自己分析も鋭いし、リハーサル中も納得できないときは「今のはちょっとダメだったから」と言って、何度もその場で口ずさんでいるんです。本当に歌うことが大好きなんでしょうね。向上心がすごいし、決して「ノリとセンス」だけの人ではないですよ。
モラレス もちろん私もラップだけじゃなくて歌うパートもあるんですけど、そこは気持ちを完全に切り替えています。歌に関しては「ノリとセンス」だけでは絶対に通用しないと思いますし。
栗本 私は歌っているときのきあらが大好きなんです! 特に「fragile」の冒頭のパートは本当に感情がこもっていて、ついつい聴き入っちゃうくらいで……。確かにラップもきあらしかできないスタイルではあるんですけど、もっと歌の面にも注目していただけたら私もうれしいです(笑)。
4人が実感するet-アンド-の“進化“と”深化”
──グループ結成が発表されたのは今年4月でしたが、水面下での練習期間も含めると2年近く4人で活動していると伺っています。今日に至るまで、どういった点が変わったと自分たちで感じていますか?
野島 最初は楽曲の方向性も今のようなスタイルではなかったんです。プロデューサーの菊池さんとも相談しながら、自分たちならではの音楽を探っていったイメージです。でも一番大きく変わったのは、マンスリーライブをやるようになってからかもしれないですね。
山崎 やっぱりライブだと歌い方もCD音源とは変わってくるんですよ。そもそもライブって1回こっきりのものだし、実際にファンの方が目の前にいると私たちの気持ちも変わってきますから。もちろん音源通りに丁寧に歌わなくちゃいけないところもありますけど、ライブならではのアレンジを加えていきたいという気持ちは常に持っています。
モラレス 「toi et moi」のレコーディングをしたのって、私たちからするとけっこう前の出来事なんですよ。当然そこから私たちの歌も進化しているはずだし、「今だったら、こう歌うのに」と音源を聴いて感じることも正直あります。
栗本 最初の頃はライブでもガチガチに緊張しちゃって、表現力という部分が全然足りていなかったんですよね。そのことに途中で気付き、感情を込めることに力を入れるようになりました。バラードだったら切なさを表現するため手振りを入れながら歌ったり、ノリがいい曲だったらリズムに合わせて体を動かすようにしたり。
モラレス 9月にマンスリーライブが始まるのに向けて、1カ月前くらい前から練習をしたんです。その1カ月間が、私たちにとってすごく大きかったんですよね。さらに言うと、9月のマンスリーライブも1回目の公演と2回目で内容的に全然違っていて。
野島 今だから言えますけど、マンスリーライブ初回の昼公演はあまり満足できる出来ではなかったんですよね。「1カ月みっちり練習してきたのに、なんでこんなに緊張するんだろう」と不安を抱えながらステージに立ちましたし。もちろん全力でやってはいたんですけど、とにかく余裕がなさすぎたんだと思います。でも、その数時間後にやった夜公演は気持ち的にもパフォーマンス的にもまったく違っていたんです。変に気張ることもなくなっていて。
山崎 あれは不思議な体験でしたね。1回ライブをやることで、こんなにもグループが成長するんだって自分たちでも驚きました。
──でも昼公演と夜公演の間の数時間で、急激に歌唱力が上がることはないですよね。
野島 そうなんです。だからそう考えると、やっぱり気持ち、それから場数ってすごく大事なんですよ。10月のマンスリーライブは9月の反省も踏まえてステージに立ったから、同じ曲をパフォーマンスしても印象は違っていたはずですし。et-アンド-のライブは1回として同じ内容にはならないので、ぜひ実際に会場まで足を運んでいただき、私たちの進化を目撃してほしいと思います。
──et-アンド-の楽曲には独特な雰囲気があって、単純に歌うときの難易度が全体的に高くないですか?
野島 そうですね。確かに「〇〇っぽい」という言い方ができないサウンドだと思います。だから発想としては「今はこういうものがバズるから、似たことをやって乗っかろう」じゃなくて、「et-アンド-が発信するもので世の中をバズらせよう」という方向です。
モラレス やっぱり人前に立って何かを表現する以上、自分たちらしさを打ち出していかないと。
野島 当たり前ですけど、結局、ステージ上で歌うのは自分たち自身で、その私たちがパフォーマンスするのは自分たちの楽曲。だから正解は私たちが決めるしかないんですよ。そのことに気付けたのがすごく大きかったですね。自信を持って堂々とパフォーマンスできるようになりました。
プロフィール
et-アンド-(アンド)
野島樺乃、栗本優音、モラレスきあら、山崎カノンの4人からなる女性ボーカルグループ。「第1回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」で優勝を果たすなど、高い歌唱力を持つことで知られる元SKE48の野島をリーダーとして結成された。ミドルテンポに裏拍のリズムをとるレゲトンをベースにした音楽が特徴で、サウンドプロデュースは作曲家の菊池一仁が務めている。2021年6月に愛知・SKE48劇場で行われた野島のソロライブ内でステージデビューし、7月にデビューシングル「#tokyo」を配信リリース。9月にマンスリーライブ「Monthly LIVE 2021『RGB』」をスタートさせ、11月に初のCD作品であるミニアルバム「toi et moi」を発表した。
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