ナタリー PowerPush [ALOHA]

最新型のクールな南国音楽を発明!? 福岡発、雑食性リラクシンミュージック

ALOHA(アロハ)は福岡を拠点に活動する4人組バンド。ブルーズ、ジャズ、ヒップホップ、ダブなどさまざまな要素を取り入れた彼らのサウンドは、音楽ファンならきっとしびれる最新型のグッドミュージックだ。今回は、5曲入りミニアルバム「TROPICAL COOL」を発表したばかりの彼らにナタリーが急接近。ボーカル&ギターを担当する中心人物、ニシオダイスケに、新作の狙いやバンドの姿勢について話を聞いた。

取材・文/大山卓也 インタビュー撮影/中西求

南国の日陰で流れる静かな音楽を目指して

インタビュー写真

「最初はトロピカルなアルバムにするつもりはそんなになかったんです。前の『CITY MOVIE』が都会的だったから、じゃあ今回はそこから旅行に行ったイメージかなって、それくらいの感じ。ただ、南国っていってもにぎやかなだけじゃなく、ぼくは静かなナンバーが作りたくて。暑い日に日陰で流れてるような感じにしたかったんです」

ALOHAは2005年から現在のメンバーで活動を開始し、2006年9月に1stアルバム「CITY MOVIE」をリリース。雑食の限りを極めたこの作品は、当初福岡を中心にひっそりと販売されていたが、TOWER RECORDSの腕利きバイヤー陣に”発掘”され、本格的な全国展開が実現する。そしてついに完成した2枚目のアルバム「TROPICAL COOL」は前作を覆っていた都会的な雰囲気から一変。どこか土くさく、南国のにおいを感じさせる、まさに「トロピカル」で「クール」な1枚になった。

「ただ、それもALOHAがこういうバンドっていうよりは、一部を切り取った感じなんですよね。つかみどころがないってよく言われるんだけど、なんかそれは、自分でもそうありたいと思ってるところで。つかまりたくないし、ずっと違うものを提示し続けたい。だから次のアルバムはちょっとエレクトロな感じになるかもしれないし。なんていうのかな、すごくいきあたりばったりなんです。そのときの自分の旬をつかまえて曲にしてるだけ。どうやっても自分らしくなっちゃうから、まあ今のところは一貫性あると思うんだけど(笑)。1曲1曲いつも絶対新しいことやってやる、いままでとは違う曲を絶対作ろうと思って作ってるつもり」

超わかりやすく、超ディープなものがやりたい

現在はメンバー全員が福岡在住。2007年には大物アーティストたちに混ざって、野外フェス「SunSetLive」にも出演している。そして地元・福岡ではキセル、□□□、タカツキバンドなどのゲストを呼んで自主イベントも企画。純粋に好きなものだけを集めて、オーディエンスと自分たちがいっしょに楽しむ姿勢は、彼らの音楽性そのままと言ってもよいだろう。

「うん、福岡出身っていうのは自分たちにとってすごく大きいと思う。福岡のバンドってなんか媚びない感じがありますよね。ぼくらやっぱり周りの人たちにはすごい影響受けてるし。全員けっこうゆるい感じだから、そのへんちょっと浮いてるかもしれないけど。なんですかね。福岡でいろんな人と出会って、いろんな音楽を教えてもらったりとかそういうのもあるかな。あと、ぼく『風街』っていう喫茶店でバイトしてるんですけど、そこで流れる音楽とかもけっこう好きで。古い音楽をよく聴いてますね」

「自分たちはゆるい感じ」と笑顔で語るニシオ。だが、ALOHAがやっているのは単なるルーツミュージックの追求ではないし、刹那的に楽しく踊れればOKという音楽でもない。常に人の心を動かしてやまない、まったく新しいポップミュージックの形を彼らは日々模索しているのだと思う。

「そうですね、最終的には『ポップス』って言われるようなものを作りたいんです。例えば大瀧詠一さんだったら、いろんな音楽の要素が入ってて、それを『大瀧詠一』の名前でぎゅっとまとめてるでしょ。ぼくもそういう感じでいきたくて。ブルースはブルースでも今までになかったような新しいブルース。ヒップホップのディープな人たちにも認めてもらいたいし。超わかりやすく、超ディープなものがやりたい。なんか、流行り廃りとかじゃなく永久不滅な、ずっと残るもんを作りたいです。聴き手もなるべく限定しないで、いろんな人が聴けるのがポップスだし、大人の人も聴けるし、キッズも入りやすい感じというか。だから、わかりやすく感情がボーンって高まったりする音楽じゃないんですよね。ぼくらの音楽を聴いて、聴いてる人の気分がゆるやかに変わっていくのが嬉しいんです。聴いた人にいろんな景色を見せたい、っていうのはいつも思っていますね」

作り手としての志の高さと貪欲な探求心、そして人生と音楽をリラックスして楽しむ姿勢。「目標はグラストンベリー・ロックフェスティバルに出演すること」というニシオだが、彼らを見ているとそれも決して不可能な話ではないように思えてくる。さまざまなジャンルを飛び越え、ここにしかない独特のサウンドを作り出す4人組。まずは新作「TROPICAL COOL」を聴いて、その世界の一端に触れてみてもらいたい。

ライブ映像「New OLDTIMY」 2008.4.5 青山月見ル君想フ

ジャケット写真

「TROPICAL COOL」

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2008年4月16日発売 / 1500円(税込)
RESI-2012
UMA/RESERVOTION RECORDS

収録曲
  1. FURAFURA
  2. New OLDTIMY
  3. ALL OF ME
  4. Hong Kong LOVER
  5. JUDY
プロフィール

ALOHA(アロハ)

2004年にニシオ(Vo.G)の個人ユニットとして結成。福岡を拠点に活動し、同年サポートで参加していたのMr.ドイラ(G)が正式加入。2005年にウラ(B)とUME(Dr)が加入しバンド形態となる。2006年9月には1stアルバム「CITY MOVIE」をリリース。POPY OILが手がけたアートワークも話題を集め、全国外資系CDショップを中心に高い評価を得る。2007年には福岡の野外イベント「SunSetLive」にも出演。2008年4月に2ndアルバム「TROPICAL COOL」を発表。多彩なゲストを招いての自主イベント「JUST NIGHT」も開催し、福岡の音楽シーンを大いに盛り上げている。

ライブスケジュール
4/24(木) 「震撼パトロール~夢中でがんばるキミに~」
大阪梅田Shangri-La
4/28(月) CRJ-Hiroshima presents《CRJ LIVE MARBLE vol.20》
広島クラブクアトロ
5/5(月) Rickie-G / cutman booche Release Live in FUKUOKA
福岡 Early Believers
5/6(火) aka rui heya
京都 club METRO
5/10(土) スイカ夜話~第11夜
青山月見ル君想フ
5/11(日) 「group_inou」&「ALOHA」発売記念ジョイント・インストアイベント開催!
タワーレコード渋谷店B1F「STAGE ONE」
5/16(金) ALOHA presents "JUST NIGHT vol.4"
福岡 大名ROOMS
5/23(水) ジャカランタン原因『SUCK THE FUKUOKA』
福岡 THE VOODOO LOUNGE

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