all at once「The Greatest Day」インタビュー|人生を彩る進化遂げた歌声、ジャンルに縛られない僕らの挑戦は続く (2/2)

ケンザさんのようなイケメンな声を出したかった

──KEN THE 390さんが参加している「myself feat. KEN THE 390」についても聞かせてください。ラッパーとのフィーチャリング楽曲は初の試みですね。

NARITO この曲は新しいですよね。この曲を通じてヒップホップに触れられたことで、ヒップホップというジャンルをもっと掘り下げてみたいという気持ちにもなりました。

ITSUKI 制作のきっかけとしては、「いろいろな楽曲に挑戦したい」という気持ちがある中で、「ヒップホップに焦点を当ててみるのはどうだろう?」「ヒップホップアーティストとのフィーチャリング曲を作ってみるのもいいかもしれない」と思ったタイミングがあったんですよ。そこで「僕たちの声に合うアーティストの方って誰なんだろう?」とチームみんなで考えていったところ、僕らが以前からリスペクトしていた、ケンザさんの名前が挙がったんです。

NARITO 実は試しに僕らもラップの部分をレコーディングしてみたんですよ。だけどイマイチカッコよくならなかったので、ケンザさんにお願いできて本当によかったなって。

ITSUKI ケンザさんのようなイケメンな声を出したかったよね。

──お二人の声色もクールなトラックにマッチしているように感じました。

NARITO 自問自答をテーマにした曲なので、自分自身の心に問いただすような気持ちで歌いました。

ITSUKI ブリッジが終わったあとの「あの日 から shine the light」というフレーズがキーになっていて、ここから物語が前に進んでいくんですよ。暗すぎず、かといって明るいわけでもなく、静かに決意を固めていくようなテンションを意識しながら歌ったので、ぜひ変化を感じ取ってもらえたらうれしいです。

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すごく一生懸命カッコつけました

──そのほかの新曲についても聞かせてください。2曲目に収録されている「デジャブ」は、リズムを打ち出したさわやかな1曲ですね。

NARITO 人生のBGMになるような、いい意味でサラッと聴ける曲が欲しいなと思って作り始めた曲です。シンプルだからずっと聴いていられるし、ライブではみんなと一緒に盛り上がれそうだなと。

──この曲の聴きどころといえば、やはりサビに入る前のITSUKIさんのセリフでしょうか。

ITSUKI すごく一生懸命カッコつけました(笑)。パートを振り分けるタイミングで2人とも試したんですよ。だけどディレクターさんやレーベルのスタッフさんも含め、「NARITOはなんか違うね」という話になり……。

NARITO 僕がこのセリフを言うと、なぜだか言葉の重みがなくなってしまうんですよ(笑)。

ITSUKI それで「ということは、俺がやるしかないんだよな。マジか」と思いながらレコーディングブースに入って。やるからには、全力でカッコつけようと思って。1テイク目と2テイク目では笑っちゃったんですけど、3テイク目はなんとかうまくできました。

──ライブでの生披露も楽しみにしてます。

ITSUKI 生披露でも全力でカッコつけます!

NARITO 色気ムンムンでお願いします! 俺もその隣でカッコいい顔できるようにがんばらないと。

複雑な感情を表現した「風のしわざ」、退勤BGM「もういんじゃない」

──7曲目の「風のしわざ」も素敵な曲です。遠い場所に行ってしまった大切な人へ思いを馳せつつ、少しずつ前に進んでいこうと自分自身に言い聞かせているような曲で、軽やかな曲調ながら、寂しさや少しの強がりがにじんでいるように感じます。

NARITO 僕自身も経験があるんですが、「あの人の匂いがまだ残っている気がする」という感覚になることってあるじゃないですか。そういった感覚や「あの人にまた会いたい」という気持ちを“風のしわざ”にするという楽曲で、言葉にならない複雑な感情を歌でどう表現したらいいだろうかと、レコーディングは苦戦しました。正解がなかなか見つからなくて。

ITSUKI 苦戦した甲斐もあり、気持ちを込めて歌えたんじゃないかと思います。ご家族やお友達など、会えなくなってしまった人を思い浮かべながら聴いていただけたらうれしいです。Bメロの「fou lu lu」や「faraway」のところはゴスペルっぽくなるように意識しながらコーラスを重ねたので、音の重なりも聴いてほしいですね。

──8曲目の「もういんじゃない」は、どんなシチュエーションで聴いてもらいたいですか?

ITSUKI すべてを放り出したくなったタイミングですね。

NARITO 「帰りてえ!」って思いながら残業しているときとか。

ITSUKI Twitterで曲ごとにハッシュタグを作っているんですけど、この曲には「#退勤BGM」とハッシュタグをつけています(笑)。

NARITO 「もういいんじゃない」だと何かをあきらめてため息をついているような感じがするけど、「もういんじゃない」だとちょっとポップになるから、それがまたいいですよね。

──この曲のボーカルは全体的に難易度が高そうですね。例えば、サビの「未来は曖昧で」のところは音程の上下が激しいですし。

ITSUKI 「未来は曖昧で」のところは確かに難しかったです。それに、この曲は今までのall at onceの曲に比べてキーが低いんですよ。1番や2番は慣れていない音域なので特に難しかったですね。裏話をすると、2番のサビが終わったあとのラップ調のパートには、レコーディング中にNARITOがメロディを作ってくれた部分があるんですよ。

──レコーディング中にメロディが変わることもあるんですね。

ITSUKI はい。「これだと歌いづらいから」とか「言葉が潰れてしまってメッセージが伝わりづらいから」といった理由で、メロディや歌詞をその場で変えさせてもらうことはけっこうあります。

反り立つ壁を楽しみながら登っているのがall at once

──今日話してもらった新曲も披露されるであろう東名阪ツアー「all at once live tour 2023 "The Greatest Day"」が、アルバムリリースの3日後、4月15日にスタートしますね。リハーサルはもう始まっているんでしょうか?

ITSUKI 始まってます! 初めてのことをやろうと思って、準備している最中なんですよ。アルバム制作を経てさらに進化した、新しい僕たちを見てほしいですね。

NARITO 僕たちall at onceはまだまだ成長していきます。僕たちの成長過程のようなものをみんなに見てもらいたいです。

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──そういえば前回のインタビューで「壁を打ち破りたい」と言っていましたが(参照:all at once「プレイメーカー feat.大野雄大(from Da-iCE)」インタビュー)、その後心境に変化はありましたか?

ITSUKI たぶん、壁は一生目の前にあるんですよ。

NARITO 音楽を続けている限りはね。

ITSUKI そう。やっぱり“壁を打ち破る”ということをずっと続けられる人こそ飛び抜けた存在になれるんだろうし、逆に言うと、第一線で活躍している方が戦い続けているならば、僕たちは当然よりがんばらなきゃいけないですよね。壁は一生あり続けますし、あり続けたほうがいいんだと思います。

NARITO なんか、「SASUKE」をやっているみたいな感じです。

ITSUKI ん?(笑)

NARITO 目の前に反り立つ壁を、楽しみながら登っているのがall at onceなんだろうなと。……あれ? 伝わってない?

ITSUKI うーん、まあいっか(笑)。

ツアー情報

all at once live tour 2023 "The Greatest Day"

  • 2023年4月15日(土)愛知県 SPADE BOX
  • 2023年4月16日(日)大阪府 BananaHall
  • 2023年4月22日(土)東京都 Veats Shibuya

プロフィール

all at once(オールアットワンス)

ITSUKIとNARITOによるボーカルデュオ。2020年に本格始動し、テレビアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマとエンディングテーマを同時に担当した。2021年10月に1stアルバム「ALL AT ONCE」をリリース。2022年10月に大野雄大(Da-iCE)とコラボレーションした「名探偵コナン」のエンディングテーマ「プレイメーカー feat.大野雄大(from Da-iCE)」を発表した。2023年4月、丈⻘(SOIL&"PIMP"SESSIONS)、KEN THE 390とのコラボ曲を含む2ndアルバム「The Greatest Day」をリリース。同月にアルバム名を冠した東名阪ツアーを行う。