ナタリー PowerPush - Alice

次世代シンガーが語る 充実コラボ曲と故郷・福島

アメリカ人の父と日本人の母を持つシンガーソングライター、Alice。2010年に1stシングル「イチバンボシ」でメジャーデビューした彼女は、昨年6月に発表した4thシングル「moving on」がドラマ「名前をなくした女神」のオープニングテーマに起用され話題に。スリリングな楽曲とダイナミックなボーカルが印象に残っている人も多いことだろう。

ナタリー初登場となる今回は、彼女がデビューに至ったヒストリーを導入に、新世代ラッパー・SHUNとコラボした最新シングル「X LOVERS feat. SHUN」について直撃。明るくポジティブな人柄が垣間見える飾らないトークで、今作への思いを語ってくれた。

取材・文 / 川倉由起子

帰宅後はガンガンR&Bだった小学2年生

──デビューのきっかけはオーディション(「Voice of McDonald's 2010」)なんですよね。

はい。そこでグランプリをいただいて。

──以前から歌手への憧れはあったんですか?

小学校2年生のときに映画「天使にラブ・ソングを2」を観て、これはヤバい!と思って(笑)。そこから歌手になろうってソッコー決めた覚えがありますね。

──映画のどこがAliceさんの心に刺さったでんしょう?

出演者の歌にすごく魅了されたっていうのと、作品全体の音楽がブラックミュージック中心で、そのサウンドがどストライクだったんですよね。だから将来は絶対こういう音楽をやる道に進みたいなーって。

──でも、Aliceさん世代が小学2年生の頃っていうと……。

学校ではみんなSPEEDとか聴いてましたね。

──ですよね。でも、そっちには行かなかった?

学校帰りとかは友達と「果ーてーしーなーいー♪」って踊りながら帰ってましたけどね(笑)。でも、家に帰ったらもうガンガンR&Bっていう。

──あははは!(笑)

どっちも好きではあったんですけど、ツボっていう意味ではやっぱりR&Bだったんですよね。本格的に歌手を目指し始めてからは「とりあえずいろんな音楽を聴こう」と思って、ロックとかもひと通り聴いたんですけど。でも最終的にはR&Bにたどりついて。そこが私の居場所だなっていうか、心地いいなって思ったんです。

──歌手を目指してから「Voice of McDonald's 2010」でグランプリを獲るまで、オーディションは何度か受けたんですか?

そうですね。小学生のときから何度か。

──それでも夢を掴むまではやろうと?

はい。海外にも出たいっていう大きな夢もあったので。一度オーディションに落ちた際に母親に「今後どうするの?」って訊かれたとき、「それでも絶対デビューしたい。海外に修行に行ってもいいくらい私は本気だから」って伝えたんです。そしたら母親も本気でサポートしてくれるようになったし、自分自身も高校生のときは毎日ピアノとボイトレを欠かしませんでした。下校後、どんなに忙しくても。

今の感情をジャンル問わず表現できるものが正解

──オーディションに受かり、いよいよメジャーデビューとなったときはどうでしたか?

音楽の世界は今までとは別世界っていうイメージがあって、そこが一番不安でしたね。でも私は歌手としてやっていくわけで、そういった面ではこれからの音楽活動に対してワクワク感しかなかった。あんな曲もこんな曲もやってみたいっていう夢がたくさんあったし、それは現在進行形でもあるんですが、とにかく期待が高まりました。

──具体的に「こういう音楽を届けたい」っていうビジョンはありましたか?

音楽ってすごく深い歴史があって、私自身ももっと勉強したいし、しなきゃいけないと思っていて。そういった過程の中で、例えば自分が勉強したてのフレッシュなものでも、自分のフィルターを通してみんなに伝えたいと思いました。

──なるほど。

あと音楽って、楽しくなったり悲しくなったり、いろんな感情を教えてくれるじゃないですか? だから作品を発表するときは、自分自身が経験してきたそういう気持ちも誰かに届けられたらなって。

──ジャンルはやっぱりR&Bで?

いや、ジャンルにはこだわらずに行きたいなと。デビュー前は「絶対R&Bでナンバーワンになりたい」くらいに思ってたんですけど、実際この世界に入ってみて考えが変わったんです。たくさんの素晴らしい先輩方を見てると、皆さん音楽に対してすごく柔軟だし、もちろん時代や流行りがどんどん変わるのもあるけど、今って昔ほどジャンル同士の隔たりがない気がして。だからどんどんいいものは採り入れたいし、むしろ当てはまるジャンルがなかったら自分で作っちゃえばいいじゃん!っていう(笑)。

──いいですねー、それ。

周りのシンガーの友達も、最近はみんな「新しいことやりたい」って言ってるんですよ。だからそう考えると、結局は自分の今の感情をジャンル問わず表現できるものが正解なんじゃないかって。R&Bにこだわらず、伝えたいものが伝わりやすい音楽で表現できたらそれが一番だなって思いますね。

X LOVERS feat.SHUN / Amazon.co.jpへ

  • ニューシングル 「X LOVERS feat.SHUN」2012年4月11日発売 1223円(税込)SME Records SECL-1110
CD収録曲
  1. X LOVERS feat.SHUN
  2. BEAUTIFUL feat.宏実
  3. X LOVERS feat.SHUN(Alice karaoke ver.)
  4. X LOVERS feat.SHUN(SHUN karaoke ver.)
LIVE INFORMATION
Almost WEEKEND
2012年4月19日(木)
東京都 渋谷club asia
START 17:00
R-Festa
2012年5月6日(日)
福岡県 アルモニーサンク北九州ソレイユホール
OPEN 16:30 / START 17:00
Alice(ありす)

3月2日生まれ、アメリカ人と日本人の両親を持つ女性シンガーソングライター。子供の頃から歌手を目指し、2010年に行われたオーディション「Voice of McDonald's 2010」にて約1万5000人の応募者の中からグランプリに選ばれる。同年7月、シングル「イチバンボシ」でメジャーデビュー。2011年6月にはテレビドラマ「名前をなくした女神」オープニングテーマとなったシングル「moving on」をリリースし、大きな注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「JUST ONE」を発表する。2012年4月「SPRINGROOVE 2012」に出演。初の大舞台で圧倒的なパフォーマンスを披露した。4月11日に新進気鋭のラッパー・SHUNとの2度目のコラボレーションとなるシングル「X LOVERS feat. SHUN」をリリース。