リベリオンを入り口に、Crossfaithや海外の音楽を聴いてほしい

──改めて、お二人の目線から今の日本のラウドロックシーンはどのように見えていますか。

小林　昨日うちのボーカル（宮田大作）が「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」のMCで言ってたんですけど、日本でラウドロックバンドがフェスのステージに立てるのは、実はすごく珍しいことなんじゃないかなと思って……周期って、あると思うんです。

Hiro　周期？

小林　メロディックパンクが流行ったり、ギターロックが流行ったりとか。

Hiro　うんうん。

小林　それで、ラウドロックシーンから離れていく人を僕は少なからず見てきてて。だからこそ僕ががんばるしかないと思ってますし、スクリーモとかメタルコアとか、ジャンル関係なく芯を持ってロックをやってれば、それはたぶん通じるんじゃないかなって。もっともっと伝わったらいいなって思いますね。

Hiro　僕は……実は日本のラウドロックシーンって、存在してるようで存在してないんじゃないかと思ってて。と言うのは、こうやってリベリオンがいてCrossfaithがいて、僕らの周りで言ったらSiMやcoldrainとかいろんなバンドがいるけど、さっき亮ちゃんが言ってた通り、フェスに出てるバンドってホンマに少ない。で、そのバンドたちが日本でツアーを回るってなって、ツアーの日程とか見ても、対バンの相手ってラウドロックシーン以外のバンドであることも多いと思うんですよ。

──確かにラウドロックシーンのバンドの対バン相手は、特にバラエティ豊かなイメージがあります。

Hiro　日本だとそうですけどアメリカとかイギリスでは、ラウドロック……もっと言うならメタルコアの中から、さらにジャンルが細分化されてもバンドがたくさんいるから、その細かいジャンルの何組かでツアーを回ったりとかするんです。そうやって活動してると、日本に帰ってきたときに「あ、言うてもやっぱラウドロックシーンのバンドって少ないな」って思います。そんなラウドロックシーンで、アミューズメントパークかのようにライブハウスに来るお客さんがいる中で、メッセージを伝えるっていうのはやっぱり難しいですよ。

小林　そうですね。

Hiro　だから最初はそういう気持ちで観てたとしても、帰り道に「ああ、なんかリベリオンの人、よくわからへんこと言ってたな」って“消化不良”を起こして、またそれを自分なりに咀嚼して「あ、あれってああいうことなんかな」って気付いてくれたらいいなって。やっぱり咀嚼しやすくて、手に取りやすくて、楽しくてうれしいものがいいっていうのもわかる。亮ちゃんが持っている言葉は難しかったりするから、スッと受け取ることはできないと思うし。

小林　うんうん。

Hiro　“消化不良”って言葉としてはネガティブな感じがするけど、そうではなくて、“消化不良”を起こすってことは、まだその人に何かを取り入れる余白や新しい進み方があるっていうことだと思うんです。そうやって、またライブを観に行って「おお！ 人生変わった」とか「これがホンマや！」って、何かを信じられるようになったら、それがロックバンドのいる意味やと僕は思うし、そういうリスナーが増えるように、僕らバンド側もいろんな方法で発信し続けるべきだなって。

小林　その通りだと思います。まずは単純に、ラウドロックを「こんなの歌じゃない」って毛嫌いする人が少なくなってくれればいいかなと思ってますね。それはもう僕たちががんばるしかないですけど、流行りがある中で、どうやって自分らの音楽を聴いてこなかった人たちに届けられるのか、伝えられるのかっていうのはずっと模索してますね。とにかくがんばるしかないって僕は思ってます……頭、あんまりよくないんで（笑）。

Hiro　頭よくないやつが歌詞であんな難しいこと言うか（笑）。

小林　いやいやいや（笑）。Crossfaithの音楽に向き合っていく姿とか、お客さんに対する姿勢っていうのはやっぱり見習うべきだと思ってます。僕、この対談のお話をもらったときに、Crossfaithの全アルバムをリリース順に並べてプレイリストを作ったんですよ。それで改めて聴いてみたんですけど「常に挑戦されてるんだな」「やっぱり壮大だな」っていうことを思って。メタルコアっていうジャンルで括ることのできないバンドになってると言うか……進化じゃなくて“深化”してるっていうイメージを持ちました。

Hiro　“深化”してるって、うれしいな。

小林　正直もうずっと……今も全然手の届く存在ではないですし、僕にとってCrossfaithはヒーローです。「ラウドロックシーンのバンドが少ない」っていう話も出ましたが、やっぱり今の日本の音楽シーンにおいて、ラウドっていうものに市民権を与えてくれた先駆者なんじゃないかなと思ってます。僕個人としては、リスナーにとって僕らの音楽が「こういう音楽もあるんだよ」っていう入り口になってくれたらいいなって。それでCrossfaithみたいなカッコいいバンドや海外の音楽を聴いて、いろんなバンドを自分らで探してほしい。最終的に「やっぱりリベリオンも好き」って言ってもらえれば僕はそれでいいかなと思ってます。

Hiro　亮ちゃんはそうやって、自分の思いで道を見つけて進んでいることが素晴らしいと思う。今のまま突っ走ってほしい。それで、僕はまた会ったときに「元気してる？」って話を聞きたい。

小林　今日はこうやってHiroさんと公の場で一緒にお酒が飲めてお話できて、すごくハッピーでした。楽しかったです。ホントにありがとうございました。

a crowd of rebellion「Gingerol」収録曲MV