今まで出会った人たちが背中を押してくれた
──ロンドン留学を経て、SHOGOさんはSHOGO and His Friends名義で1年ぶりに日本で音楽活動を再開します。
昔から仲がいいアパレルブランド・STUDIOUSの社長から「しょうやん、5周年のイベントに出てもらえない? メンツ決まってなくてヤバいんです」みたいな連絡がきて、「ライブまで1カ月しかない、やべー!」って言いながら、SHOGO and His Friendsを組んだんですよ。
──そんな流れだったんですね。
だから変な話なんだけど、人に頼まれたから急いでやった、みたいな。仲がいいヤツの頼みだったからこそ、軽い気持ちで音楽活動を再開できたんだと思う。ひさしぶりに深夜パックでスタジオに入ったりして。SHOGO and His Friendsはスカバンドなんだけど、とにかく曲がないから作ろうって3曲ぐらいオリジナルを作って、あとはイナゴの曲をスカアレンジでカバーしました。
──SHOGO and His Friendsにはホーンセクションもあって。
そうそう。もともと「スカバンドをやりたい」っていう夢があったから、それをやってみようと思って。メンバーには、のちにHEY-SMITHに入るかなす(Tb)とかもいました。そうこうしてるうちに、今度は舞台に誘われたんですけど、それも頼まれたからやってみようと。そしたら舞台のほうが忙しくなっちゃって、観に来てくれたファンの方に「音楽やんないんすか?」って言われちゃったんですよ。
──それは175Rが活動休止する前からのファンの方ですか?
そう。ちょっとイナゴはまだ無理だから、SHOGO名義でソロやるか、と。ソロは玉置浩二さんのライブを観に行ったときに「ソロやるんで曲作ってください」って頼んで、そこから始まるんですけど。僕は175Rのときにいろんなものを背負いすぎてパンクして、休止した経緯もあるから、自分で何か重い腰を上げて背負うってことがもうたぶん嫌になってて。だから振り返ると、SHOGO and His Friendsやソロプロジェクトの始動は、今まで出会った人たちが背中を押してくれて、その機会を与えてくれたことが大きいと思います。それが結果、175Rの活動再開まで続くんですよね。
言えない気持ちを「SAKURA」にぶつけた
──活動再開の発表があったのは2016年10月ですが、2016年3月に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで行われたSHOGOさんのワンマンライブ「SHOGO Special Live 2016『Thank you! Hello!』」のアンコールで、175Rがひさしぶりに集結して「SAKURA」を演奏したことも話題になりました。
実は計画があって、ここで活動再開を発表しちゃおうと思ったんですけど、ちょっと大人の事情で待ったがかかりまして。ファンの人もたぶん、「今日言うんだろうな」って予想してたと思うんですよ。なぜかと言うと、175Rが活動休止前に回ったツアーのタイトルが「175R Thank you! Hello! TOUR 2010」だから。結果活動再開の発表はできなかったから、その言葉では言えない気持ちを「SAKURA」にぶつけたんです。
──そうだったんですね。ひさしぶりに175Rとしてステージに立ってみて、どんなことを感じましたか?
休んでた期間はけっこう長いけど、いざ曲をパフォーマンスしたら体が覚えてましたね。ライブを観た人からも「休んでたような気がしない」って言われて。あと、活動再開を正式発表したときに、思った以上に反響が大きくて驚きました。ありがたいし、こんな俺らのために申し訳ございませんみたいな感じでした。
──発表前はどんな気持ちだったんですか?
「なんも反響がなかったら悲しいな」と思ってました。あとは「活動休止時みたいに、自分であんまり背負い込みすぎないようにしなきゃな」って。ただ本格的に活動を始めたらやっぱそうもいかなくなるんですよね。全曲作ってアレンジしてジャケットのアートワークを考えてってやってくと……「ああ、これだこれだ」って、体にズシズシくる。この感じ、ソロのときはなかったんですよ。
──1人のときとは違って、メンバーのことも考えるからなのでしょうか。
そう。やっぱり「メンバーのためにも」みたいなところがあるから。その違いはすごくでかいかもしれないですね。でも背負い込みすぎないように、最初からメンバーには「マイペースで行くから」って言ってて。自分の精神的な部分も含めて、続けられるように活動しようって。というか、実際レコーディングに入ってみたら、ほかの3人も活動休止時代のそれぞれの活動があるから、意外とスケジュールが取れなくて。「お前らそんな忙しいの? 俺は行けるよ?」みたいな(笑)。だから結果、マイペースにならざるを得なかったっていう。
パンクロックを遠ざけてた
──ニューアルバムの3曲目「Weakness」は2ビートの力強いパンクナンバーです。この曲に限らず、今作には活動休止前の175Rの作品に比べて、よりパンクロック色が強い楽曲がそろっていますよね。
インディーズ時代とかメジャーの初期は、ドラムをズタズタ鳴らしてた時期もあったんですけど、どんどんそこを遠ざけてた自分がいたんですよ。パンクバンド、聴かなくなっちゃって。
──それはなぜですか?
歴史に残るような曲を作りたいって思ったら、もっと違うアレンジで老若男女に届くような曲を作らなきゃって。パンクロックに出会う前の自分のルーツをたどれば、歌モノが好きで、尾崎豊さんの影響がすごいでかかったりして。だからソロでは、そのルーツをもう1回たどるっていうのをやったんですよ。玉置さんも含めて、自分が昔から聴いてたアーティストと一緒にアルバムを作り上げていくっていう。
──なるほど。
そこでもう気持ちいいぐらい歌モノをやらせてもらったから、おそらく今、その反動が来ていて。というか、反動で今回のアルバムができたんだと思います。ソロを経たことでSHOGO名義でやるものに関しては歌モノ、175Rに関しては自分が青春時代に聴いていたパンクとかスカっていう、自分の中でアウトプットする先が2つできたんです。
──パンクロック色の強いアルバムを作りたい、という思いはメンバーと共有したんですか?
しました。言葉で言っても伝わりづらいと思ったから、最初に「Weakness」と「Restarted」を仮レコーディングしてみんなに聴いてもらったんですけど、楽しそうでした。僕だけじゃなく全員がこういうサウンドから離れていたので、「なじみのあるSHOGO節がひさしぶりに来た」っていう。
次のページ »
アルバムイメージは“Back to the 90's”
- 175R「GET UP YOUTH!」
- 2017年4月5日発売 / EMI RECORDS
-
初回限定盤 [2CD]
3780円 / UPCH-29246~7 -
通常盤 [CD]
2700円 / UPCH-20444
- DISC 1
-
- 歓びの詩
- これから
- Weakness
- ROMAN ROAD
- トカイノネオン
- シャナナ
- Walk your way
- 君にまで
- 1999
- 4seasons
- 遠く遠く
- Restarted
- 新世界
- DISC 2(初回限定盤のみ)
-
「175R(e) BEST」
- ハッピーライフ
- 空に唄えば
- YOUR SONG
- 僕の声
- 「手紙」
- SAKURA
- 175R 活動祭開!青き春の野音!
-
- 2017年4月8日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
- 2017年4月15日(土)大阪府 大阪城音楽堂
- 175R(イナゴライダー)
- 1998年、SHOGO(Vo)を中心に北九州で結成。地元でライブ活動を展開すると共に、KEMURIやLA-PPISCHといったメジャーバンドと共演し、ファン層を拡大する。2003年にシングル「ハッピーライフ」でメジャーデビュー。同作と、同年リリースのシングル「空に唄えば」が共にオリコン週間CDシングルランキング初登場1位を記録した。この年の大みそかには「NHK紅白歌合戦」に出場。2004年には初の東京・日本武道館公演を行った。2007年に結成10周年目に突入したことを記念し、初のベストアルバム「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」をリリースし、初の47都道府県ツアーと海外公演を実施。2010年2月にメジャー6thアルバム「JAPON」をリリースしたのち、同年の12月より無期限の活動休止期間へと突入。およそ6年間の休止期間を経て、2016年12月に活動を再開する。2017年4月には7年ぶりのフルアルバム「GET UP YOUTH!」を発表。さらに東京・日比谷野外大音楽堂と大阪・大阪城音楽堂で「活動祭開!青き春の野音」と題した6年ぶりのワンマンライブを開催する。