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サカキナオ 雷命
昔話的な物語を現代的なポップナンバーへ、楽曲が始まった瞬間に体中に走る衝撃
文 / 森朋之
バキバキバキバキ、ギュイ~~~ン、ビリビリビリ!! 楽曲が始まった瞬間に体中に衝撃が走り、あっという間に惹き付けられる。このインパクトは本気でヤバい。“現代的なダンスチューン×日本の古典”という斬新なスタイルを提示したデビュー曲「神退治」、ハイブリッドなトラックメイクと“過去の亡霊から”逃れ、今を追いかけようとする姿を描いた歌がひとつになった「scream」、ディスコティックなサウンドに三味線、笛などの和的な要素を加えた「フラッシュバック!!」。これらに続いて発表されたサカキナオの第4弾作品「雷命」は、まさに雷鳴が轟くような刺激を備えた楽曲に仕上がっている。
冒頭で描写したのは、ギターの音。いったいどんなエフェクター使ったらこんな音になるの!?という疑問が頭をよぎるが、そんなことを考える暇はなく、バウンシーなベースラインと強靭なリズムのアレンジによって“踊りたい!”モードへと突入。Bメロではスムースなグルーヴへと移行するとともに、さらに洗練と野性味を併せ持ったメロディが響き渡り、思わず快楽的なフロウに身を委ねたくなる。リズムの起伏を捉えながら、歌モノとしての楽しさも抜群。このセンスはやはり普通じゃない。
「べらんめえ / 真っ逆さまに轟く雷命よ / 不束な光が背を刺す」から始まるサビのフレーズも強烈。この曲の背景にあるのは、“雷様が民衆を痛ぶっているところ、そのうちの1人が少ない勇気を振り絞り、それに抗おうと奮闘している”というストーリー。まるで「まんが日本昔ばなし」のような世界観だが、なぜかリアルで生々しい手触りがある。
いびつで攻撃的なギターリフ、しなやかで力強いトラックによって、昔話的な物語を現代的なポップナンバーへと結び付けた「雷命」。歌謡曲、J-POPが和洋折衷によって発展してきた音楽であることを考えると、サカキナオのスタイルは極めて王道で、しかも最新型だ。早く次の曲が聴きたいという欲望にかきたてられているのは筆者だけではないはずだ。
サカキナオ 「雷命」Official Music Video
サカキナオ

シンガーソングライター。eggmanとNTTドコモと吉本興業が立ち上げたNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」にて、2024年1月に初代グランプリを獲得。プロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより、第1弾シングル「神退治」を10月に配信リリースした。最新作は2025年4月にリリースされた第4弾シングル「雷命」。
サカキナオ(@sakakinao_official) | TikTok