Redhair Rosy Rush

ポジティブとネガティブ。いずれかに振り切った音楽はわかりやすい。それがポップだというなら、「Rush」はポップではないかもしれない。この曲はわかりにくく、だからこそいい。

実際の生活は、ポジとネガで割り切れるものではない。幸せに思えた日にも、小さな苛々は付きまとう。本作ではそんなリアルが「巻き込まれがち渋滞に最近」「絡まるイアホン解くのと同じ毎日」という2つのフレーズで表現される。

テレビでは大谷翔平の新記録樹立のニュース。その一方で、うだつが上がらない生活は続く。不意に襲いかかる諦めと閉塞感。あてのない渇望は「どっかいこうよ」というライトな言葉に集約され、「Don't rush」「Slow down」というエールが送られる。そしてトドメにもう1つ、「おなじ 違わないよ」というフレーズ。

この「おなじ」は何を意味しているのか？ 本作のセルフライナーノーツには「終わりは新しい終わりへの始まりだ。朝はどこかでは夜。辿り着くところはみんな一緒だし」とつづられている。辿り着くところはみんな一緒。待ち構えているのは死。だからこそ「おなじ」。

「地球がまわる音」という一節には人間が逆らえない運命、「I spend late morning with you」という一節には人間がつかみ取れる幸せがある。手の届かないところから手の届くところまで、過不足のないリリックが美しい。

Redhair Rosy「Rush」MV

Redhair Rosy「Rush」

2024年10月9日（水）配信開始 / HEROIC LINE / DO IT OURSELVES.

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楽曲クレジット

作詞・作曲：Ryosei Yamada
編曲：Ryosei Yamada、Taito Katahira、Yu Ando、Keisho Maeda、Masayuki Matsunaga